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01-04.成長と指針

 八歳になった!


 体も成長し出来ることも増えてきたので、そろそろ本格的に動き出そうと思う。

一応、これまで魔法の訓練は行ってきたし、ついでに貴族令嬢としての勉強も山程させられてきた。


 どうやら、私は元々のリリィ程優秀ではないらしく、以前の数倍以上の時間を使って勉強させられることになったのだった。


 とんでもないブラックである。この幼女生活。


 殆ど自由になる時間の無い中、なんとか見つけた時間で魔法の練習に熱中した。

その結果ゲームに登場した魔法の内、魔力量の足りるものは一通り使えるようになった。


 ゲームではキャラ毎の適正により、使用できる魔法に限りがあった。

だが実際に使ってみると、多少魔力消費量は増えるものの使うこと自体はできたのだった。


 この時点でも、魔法に関してはこの国の平均的な水準を大きく上回っているようだ。


 教育係の教えてくれた魔法は初期魔法程度のものであり、中級以上の魔法は王宮に務める専門の魔術師の一部が使える程度らしい。

上級以上はもはや伝説の域だ。


 この国の戦闘魔法職は、初級魔法をどれだけ高威力で出せるかを極めていく。


 そのためか、適正以外の魔法を鍛える者は基本的にいない。

火と水の二属性を比較的高威力で出せるこの教育係は、この国では優秀らしい。


 魔物との戦闘は未だ経験していない(=LV1)ので、私の魔力量は初期値のはずだが、中級以上の魔法も使うことが出来る。

(一発打つと殆ど魔力が尽きて戦闘継続は不可能になるが)


 リリィのスペックはやっぱり反則だ。


 本来のリリィは闇と風が得意属性なのもあり、この二つはより良く馴染んだ。


 風が使えるならばと、ゲームには登場しない飛行魔法を習得しようと研究をつづけ、初めて空を飛べた時には文字通り飛び上がって喜んだ。


 そのまま思わず魔力が無くなるまで飛び続けた結果、数日家に帰ることができなくなり、大騒ぎになったのだった。


 無事に家に帰り着くと、心配していた両親にもみくちゃにされ喜ばれた。


 事情を説明する段階になって、魔法の事は秘密した方が良いかと思い、一人で屋敷を抜け出して探検していたら迷子になったとだけ説明した。


 その後は激怒した父によって、より厳しく躾られるようになったのだった。

思えば、あの時から父の笑顔を見たことがない。

私のせいで、またこの家族のあり方を変えてしまった事に心が痛む。


 とはいえ、魔法の研究そのものは生き残るために必要だ。

続けるしかない。


 闇の属性は扱いが難しかった。

ゲームに登場するのは破壊するための魔法しか無かったし、この世界で闇と光の適正は一般的ではないらしく、文献等で調べてもなんの情報も得られなかった。


 魔法の訓練はこっそり行っているため、あまりあからさまに物を壊すわけにはいかない。


 庭にあった岩や木、地面などに試し打ちをしてなんとなくの威力は測っていたが、闇属性の威力は分かりづらかった。

というのも、魔法を当てた岩や木等、あたった対象が丸ごと消滅してしまうのだ。


 水や岩の魔法矢で穴が空いた的は見れば、なんとなく威力も想像できる。

だが、闇魔法によって的ごと消えてしまう様は何度見ても原理がよくわからない。


 魔物に対して撃った場合はどうなるのだろう。

どんな魔物も丸ごと消滅するなら最強だけど、流石にそれはないだろう。


 対魔物を想定した場合、純粋な火力ではそもそもの魔力量が足りないため、たかが知れているだろう。

いまだ本格的な戦闘を経験していないので、実際のところはわからないが。


 光だけは他の属性ほど自在には扱えなかった。

一応魔法は発動するが、威力も低く魔力消費量が極端に多い。


 ゲーム知識を思い返しても、主人公であり勇者でもあるセーナ以外に適正を持っていた者は存在しなかった。


 治療系の魔法は光に多く、水にも初級魔法だけ存在した。


 ゲームではHPの数値を回復していくため、繰り返しかければ水属性でも全回復できた。

だが、現実になった影響か、水の回復魔法は止血や応急処置程度の効力しかなかった。


 これではなにかあった時に困りそうだ。


 これらの事もあり、セーナをゲーム本編開始前、つまり学院に入学する十五歳になる前から育ててしまうことを思いついた。


 十五歳になって勇者の称号を得るまでは、私同様セーナのレベルも上げるわけにはいかないが、私の経験からも、魔法や剣技を事前に訓練しておくことは大きな力になる。


 ゲーム中の本人の言葉から、現在はザンバック王国、ヴィオラ領のピッコ村という場所にいるはず。


 他の貴族家の領地内にある村から勝手に人を連れてくるのは不味いかとも思うが、こっそり飛んでいけばバレはしないだろう。


 問題は、地名だけでは場所がわからない事だ。

小さな村まで乗っているような詳細な地図となると、重要な機密情報でもあるらしく、領主ぐらいしか持っていないらしい。


 また、セーナを家族の元から引き離して連れ出すなど、一日で出来ることでは無いだろう。

何日も家を空けたら行方不明事件の二の舞いである。


 転移魔法でも使えたらと思うが、今のところ見つけられていない。

ゲームでは一瞬でダンジョンと行き来していたが、そんなに都合良くはいかないか。


 上手く連れてこれたとしても、どうやって家族に説明しよう

行方不明事件以来、外出は一切禁止されているので、知り合った理由について言い訳が思いつかない。


 できれば専属従者にでもしてしまえれば都合が良いのに。


 セーナを仲間にすることができれば、もう一つ目標が達成できるかもしれない。


 ゲームでは魔力増幅の指輪と魔力自動回復の指輪が存在した。

アクセサリ類は一つしか装備できず、どちらかしか使用できなかったが、現実になった影響で複数の装備品をつけることができるようになっていたのだ。


 両方手に入れることができれば、火力不足も継戦能力も飛躍的に上昇するはず。


 ただし、どちらもダンジョン最奥で手に入れられる報酬なので、今の私が一人で手に入れるのは不可能だろう。


 解決しなければならない問題は多いが、ともかく行動の指針は決定したのだった。



補足


リリィが住んでいるのは王都です。(定期的に空飛ぶ幼女が目撃されています)

王都はゲーム本編の開始地点のため、周辺の魔物はこの世界では最弱(LV5~10程度)です。


この時点でのリリィは人類の戦力を過小評価、魔物の戦力を過大評価しているため、

教育係より遥かに威力の高い魔法を使えているのに、魔物には効かないのではないかと考えています。


この教育係はLV20程度の力があるので、王都周辺の魔物なら問題なく倒せる力はあります。


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