03-07.仲直り
気がつくと保健室だった。
いつまでもセーナに縋り付いて泣いている私を見かねて、レオンが保健室まで運んでくれたそうだ。
戦っている最中にいつの間にか人が集まっていたらしい。
思い返すと、随分と恥ずかしいことを大勢の前で叫んでしまった気がする……。
私とセーナの戦いは学院中の人間が目撃することになり、私たちの力は誰もが知るところとなった。
早くも私を見て堕天使って噂してる人たちまでいる始末。
自分でも思ってたけど、広まっちゃうのそれ!?
天使扱いされてたのに必殺技が闇魔法だしまあ……。
結局、セーナは目を覚まさなかったので、そのまま屋敷に連れ帰った。
「帰ったか」
父は何も言わずにセーナも迎え入れてくれた。
セーナをベットに寝かせ、改めて父の元へと向かう。
「セーナをまた家に置いてください」
父に頭を下げて頼み込むと、セーナから一時的に屋敷を離れることは相談されていたから問題ないとのたまった。
一時的?
「帰って来るつもりだって知ってたの!?」
人生で初めて父にブチギレた私は、珍しく味方に回ってくれた母と共に父を責め立てるのだった。
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「リリィ? 寝てるの?」
目を覚ますとアランシアの屋敷だった。
ベットに突っ伏して眠るリリィの頬をつつく。
可愛い寝顔。
わたしの目が覚めるのを待っていたら、眠ってしまったのかな? ふふふ♪
……リリィの闇魔法を思い出す。
こちらがどんな魔法を放とうとも全て吸収され、自分自身も強力な引力でその場から離れられなくなった。
なんとか障壁で食い止めても、障壁すらもが段々と飲み込まれていく光景は、今思い出しても震えが湧いてくる。
魔王もやはりあんな攻撃をしてくるのだろうか。
リリィはよくわたしの魔法を見てインチキだって騒いでいるけれど、あれの方がよっぽどじゃない。
今回は運良く耐えられたけど、次は無理だろう。大切な指輪を一つ失ってしまった。折角リリィがくれたものなのに。
これは罰なのだろう。
わたしもリリィの事を信じていなかったのだ。
人に散々当たっておいて、情けなくて堪らない。
「大好きよ。リリィ」
寝ているリリィの頬に顔を近づけて、再び眠りについた。
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「それで? 敗者の申開きを聞こうじゃない!」
いまだ起き上がれないセーナは、ベットに寝たまま上半身を起こしていた。
その眼の前にはベットの上に腕を組んで仁王立ちする私。
「はしたないわよ。リリィ」
「言っておくけどわたしはまだ怒ってるんだからね! 洗いざらい吐くまで許さないわよ! もう二度と離れないように全部の気持ちを話してしまいなさい!!」
離れないようにのあたりで何故か涙声になった。
セーナがいなくなったことがトラウマになっているようだった。
「大体のことは決闘中に言っちゃったと思うけど。そうね。まだ言ってないとしたら、二つあるわね」
「勿体ぶってないでさっさと言いなさい!」
「まずは、ごめんなさいリリィ。あなたに散々あたってしまったけど、わたしこそリリィの事を信じられていなかった。もう二度と裏切らないと誓うわ」
「それは何よりね!!」
「もう一つは……愛しているわ。リリィ」
「えーと?」
こいつ今なんて言った?
「添い遂げたいという意味の愛しているよ」
戸惑っている私を見て、セーナは念を押してきた。
「だからわたしは、何でもリリィの一番でなければ気がすまないの。リリィに一番信用されたいし、リリィに一番好きでいてもらいたい。もう遠慮なんてしないわよ。だってわたしはリリィのものなんだから」
かなりの時間をかけて、セーナの言葉を咀嚼した私は、何も言えずに真っ赤になって逃げ出した。
「ふふ♪ かわいい♪ リリィ♪」




