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2-2.謁見

「此度、魔王の復活とその魔王を打ち倒す勇者の存在が予言された」

「其の方がセーナで間違いないか?」



「私がセーナで間違いございません。陛下」



私、セーナ、父の三人で王様の前に跪く。




王様とセーナが話をしている中、私を見ながらひそひそ話している兵士達が目に付く。

そんな中、隊長と思われる人物が、あろうことか陛下に近づき耳打ちする。



「なんと!それは誠か!」


「は!間違いないかと!」



そんなやり取りが聞こえたあと、陛下と隊長さんの視線が私に向き、

つられて謁見の間にいる人達の視線も集中する。


父様!視線が痛いです!



「アランシア公爵が娘、リリィよ、3年前の地竜討伐に心当たりはあるか?」



冷や汗が噴出した。

ばれてーら!



セーナが調べてくれた結果、

あの時の私は顔まで泥だらけの傷だらけだったので、

兵達は正確な顔つきまではわからなかったらしい。


幸い似顔絵が出回るような事もなく、一安心だと忘れ去っていた。




流石に当時実際に目撃した兵達の目はごまかせなかったようだ。



身長が伸びなかったせいで姿形が殆ど変わっていなかったのも誤算だった。

髪の色でも変えてくるべきだったか・・・

そもそもこんなところに出てくるべきでは無かった。


どの道、この様子では王子の婚約者として表舞台に出ればバレるのも時間の問題だったけど。



「そう身構える必要はない。そなたの行いは称えられこそ責められるものではないのだから。」

「噂の天使はやはりアランシアの娘だったか。目撃情報も多数よせられておったしの。」



おっとそっちの情報まで結び付けられちゃうのか。


いつまでも黙っているわけにはいかないし、逃げ場も無さそうなので観念する。


「地竜の件は私です。陛下。微力ながらお力添えさせていただきました。」



私の言葉に満足そうに頷く陛下。


「勇者と天使とは!魔王復活の予言に騒然としたものだが、これは心強いではないか!」



謁見の間は歓声に包まれる。



ほら、皆嬉しそうですよ!

父様もそんな怖い顔で私を見てないで笑顔笑顔!


帰ったらどんな説教が待っているのかとガクブルである。





その後、陛下からのお話があり

後日改めて、私に褒美を与える場を用意することと、

セーナへの王立学院入学の打診(実質強制)が行われ、その場は解散となった。






セーナと引き離される事も懸念していたが、そのような事がなくて本当に良かった。

勇者を従者にしていても認められるのは、天使の噂と地竜の実績があったおかげだろう。


まあ、結果オーライということで。




屋敷に帰り着き、今度は説教タイムかなとビクビクしていると、

父は何も言わずにまたすぐ出かけていった。

今日はまだ忙しいようだ。



部屋に戻り、一先ず一つ目の重大イベントが無事終わったと、セーナと共に喜んだ。







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その後、一月もしない内に今度は私が王宮に呼ばれた。

地竜の件で褒美をいただけるそうだ。


セーナもセットで呼ばれたあたり、

勇者と天使を大々的に喧伝する目的もあるな。





「ご無沙汰しております。レオン王子」


「久しぶりだね。リリィ。会えて嬉しいよ」

「セーナ嬢も壮健かい?まさか君が勇者になるとは驚いたよ」


「お久しぶりです。殿下。私は変わらずリリィ様の従者でございます。どうか今後もそのように。」




相変わらず、王子相手でもセーナは手厳しい。

美人になったセーナがぴしゃって言うと結構圧が強いからもう少し手心加えて欲しい。

この王子はそんな事気にする玉じゃないけど。




予想通り、今回は前回と比べ物にならない数の人が集まっていた。

まあ、前回の魔王復活なんて予言をいきなり大衆に向けて発表しないだろうから当然か。


今回の式典では、魔王に関する事は話さず、

セーナのことは天使に付きそう者として大衆に知らせるのが目的なのだろう。

少しずつ良い方から噂を広げて、衝撃を和らげる準備をしてから発表するようだ。



もうなんか、完全に政治利用されてるんだなと思い少し憂鬱になる。

正直、私の現在の戦闘力なんてたかがしれてるよ?


最近なんか、セーナとの模擬戦も負けっぱなしなんだから。

地力の差が少なくなってくると感情の読めるセーナは対人戦に強すぎるんだよ!

私以外の感情はそこまで読めないそうだから、そう上手くはいかないらしいけど。






式典が始まり、

天使を一目見ようと集まった群衆にビビりながら、

セーナを引き連れて陛下の前に跪く。



陛下が長々と私の活躍を語りだす。


地竜の出現によって、多くの兵が犠牲となったあの~

当時12歳ながら~

果敢に~

etc...etc...


ちょっと盛りすぎじゃね?

そもそも私の戦闘シーン誰も見ていないはずなのに、そんな情景が思い浮かぶように語られても・・・


残念、手足を撃ち抜いたのは最後なんだなこれが

喉を撃ち抜いたのは最後じゃなくて最初なんだぜ!


内心くだらないちゃちゃ入れをしながら、

陛下の話を半分聞き流している内に、無事式典は終わった。



勲章と国宝の魔道具を貰った。

なんだろうこの魔道具

ゲームでは登場しなかったはずだ。



指輪の形をしていて、名前は「かいゆの指輪」というそうだ。

かいゆってなんだっけ?

後でセーナに聞いてみよう。

教えてセナエモン!



公式発表前とはいえ、王子の婚約者のためか、貴族位を貰ったりすることはなかった。

ネット小説では貴族位とか領地とか定番だったのに。

別に欲しくもないのにちょっと残念になる。

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