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01-11.悪役令嬢の日常

「お嬢様、逃がしませんよ」


 一月もする頃にはセーナが敵に回っていた!


 どうしてこうなった……


 いつものように脱走しようと着替えてベランダに立つと、セーナに肩を掴まれてしまった。


「なぜ止めるの!」


「公爵様に言い含められておりますので」


 たった一月で、セーナは屋敷中の人間から信頼されるようになっていた。

教育係のメイドから、メイド長、執事長、はてはお父様まで……


 最近ではお母様すら、私よりセーナをかわいがっている気がする!


 まるで魔法でも見せられているかのようにあっという間のできごとだった。


 流石コミュ強!

だけでなく、メイドとしての所作ももはや完璧だ。


 何この完璧超人!さす主


 ますます、ゲーム時代のセーナから遠ざかってる気がするけど大丈夫かなぁ。


 お父様から信頼されたセーナは私のお目付け役に任命されたのだった。


 仕方がないので、普通の服に着替え直す。

せっかく苦労して捻出した休みだったのに……


 今日はどうしよう。

魔法の研究しようかしら。


 悩んでいる私を見て、セーナが提案してくれる。


「お暇でしたら、わたしに魔法を教えていただけませんか?」


 今でも毎日セーナの魔法訓練の時間は取っている。

早く飛行魔法を使えるようになりたいセーナはそれだけでは物足りないのだろう。


 私にとっても楽しい時間なので、迷わず承諾する。


 また運動用の服に着替えて、裏庭に向かう。




----------------------




 セーナの魔法訓練をしていて嬉しい発見があった。

どうやら、現在のセーナのレベルはかなり低いようだ。


 村で魔物を撃退していたときは、光魔法で強烈な閃光を発生させていただけで、致死性のものではなかったらしい。


 それでも、大半の魔物にとって光魔法は天敵のため、かなりのダメージを与えていたようだが。


 ともかく、まだ勇者ではないセーナには成長限界があるはずなので、レベルが上がりすぎていないのは助かった。


 セーナの適正属性は光、水、火の三つだった。

私ですら闇と風の二つなのに……


 セーナは闇魔法は一切使うことができなかった。

風は微妙だが、なんとか飛行魔法は使えるようになりそうだ。


 逆に、光は相性が良すぎるせいか、かえって制御できないことも多い。

かなり集中しないとすぐに暴発してしまう。


 感情が見える能力に至っては、完全に制御できていない。

本当に魔法なのだろうか。


 闇以外の初級魔法は一通り使えるようになり、早くも中級魔法を学び始めている。

私のときは数年がかりだったのに・・・


 まあ、ゲームの知識で魔法名と効果を知っていても、実際の使い方は手探りだったのだから仕方ない。


 魔力量は私ほどではないようだ。

その代わりというか、剣技もずば抜けている。


 残念ながら、私には剣の才能は無かった。

ゲームの装備も杖オンリーだったし、リリィは元々そうなのだろう。


 セーナが放つ魔法を見ながら改善点を指摘していくと、みるみる上達していく。


 相変わらず、私の感情はよく見えるそうで、そのおかげで指摘箇所がわかりやすいらしい。


 試しに心を閉じれないか試して見たが、全く上手くいかなかった。

しかし、試したこと自体もわかるらしく、珍しく泣きそうな顔になったセーナに、二度とやらないと誓わされた。


 一通り訓練が終わると、部屋に戻り二人で語り合う。

相変わらずセーナは会話が好きなようだ。


 普段はメイドとして丁寧な口調だが、この時だけは砕けた口調になってくれる。


 殆ど聞いているだけの時もあれば、巧みな話術で何もかも喋らされてしまう時もあり、油断ならない。


 お互い初めてできた同年代、同性の友達なのもあり、益々仲良くなっていくのだった。

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