表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Another World  作者: 夏瀬ひろみ
6/6

『ダンジョン』

奴隷たちの心配がなくなった俺は、街から一番近い未踏破ダンジョンに来ていた。

このダンジョンの規模は大きく、最低でも300階層はあると考えられている。

勿論規模が大きいため敵も強く、物資も途中で補給できないためここに来る冒険者はほぼいない。

居たとしても低階層10階くらいまでだ。

そこからは一気に難易度が上がるらしく、潜るものは自殺志願者くらいだと言われている。

だが、俺にとってそんなことは関係がない。

目標はダンジョンの踏破であって、低階層で苦戦している場合ではないのだ。


ダンジョンの中に入ってみると異世界が広がっていた。

広大な自然が視界一杯に広がる。

おそらく空間を時空間魔法か何かで作っているのだろう。

俺も時空間魔法を使用できるから、何れ挑戦してみもいいかもしれない。


300階層とダンジョン攻略への先は長いと思われるので、軽く走りながら進んでいく。

少し進むと敵が出て来たが、覇気を放出するとあっけなく死んでしまった。

弱すぎる。

ここまで弱いと妨げにすらならない。


一応倒した魔物はアイテムボックスにしまっていく。

素材は有効利用たほうがいい。

アイテムボックスは設定次第では触れなくても自動で回収してくれる為、スピードを落とすことなく覇気で殺しては回収していく。

また、魔物などはそのまま丸ごと回収できるが、解体して不要な部分を処分してくれるようにもできる。


このダンジョンには10階層毎にフロアボスがおり、そいつを倒さなければ次の階層には進めないようになっている。

俺も倒さなければならないので、少し楽しみにしていたのだが。

ボス部屋に入ったときには既に物言わぬ骸と化していた。

そうであって欲しくはないが、十中八九俺が原因だろう。


10層のフロアボスはゴブリンエンペラーだったようだ。

ゴブリンエンペラーをゴブリンだと思って侮ることなかれ。

本来ならこの一体だけで小さな街を落とすこともできるほどの力を持った魔物だ。

現に部屋の至るところに冒険者の物と思われる骸骨と装備品が落ちていた。


通常はこんな浅い階層でゴブリンエンペラーなどの強力な魔物が現れることはないのだが。

それだけこのダンジョンが異常な難易度であるということだろう。

しかしそのお陰で素材も手に入ることだし、こちらとしては願ったり叶ったりだ。

ついでに冒険者が残した装備品も回収しておく。

使えないものも鋳造すれば再び使えるようになる。


フロアボスを相手にすることなく通過した俺は、そのままの流れで階層を駆け上がった。

驚いたことに100層までずっとこの調子で戦うことはなかった。

しかし100層目を越えると敵のレベルが一気に跳ね上がり、一番弱い敵でもLV900とさっきまでと桁が変わっていた。


ここからは流石に武器を使わなければならなくなり、魔法で攻撃したり、刀で切り伏せていった。

しかしそれでもまだ余力を残して攻略できるレベルではあった。

フロアボスには多少苦戦を強いられたが良い訓練になったと言えるレベルのもの。

それが150階層を超えると更に敵は強くなり、ステータスが俺より少し弱いか同等くらいにまで上がっていた。


流石にこのレベルの魔物に囲まれれば俺でもかなり厳しい。

俺はここまでレベルを一度も上げずに経験値を貯めているので一気にレベルを上げられるはずだ。

そろそろいい頃合かもしれないとは思うが、この生きるか死ぬかのギリギリの戦闘にどこか心が弾んでいる自分がいてレベルを上げることを渋ってしまう。

結果として俺はこのスリルという刺激に負けて、取り敢えず次のフロアボスを倒してから上げる可判断することにして160階層まで進んだ。


流石にここまで来ると何度か死ぬ一歩手前の危ない状況にまで追い込まれることもあったが、反って俺はそんな状況の方が力を発揮できるようで、戦闘に埋没していった。

戦闘に集中しすぎて終わったあとには周りが森林から溶岩地帯及び氷雪地帯になっていることもあったが、俺としては非常に満足のいくものだった。


160階層のフロアボスはサイクロプスだった。

やはりフロアボスだけあって、これまでの魔物と比べても圧倒的強者であることは一目瞭然だった。

そんな相手に俺は全身の血が沸々と煮えたぎってきた。

口角が上がっていることも分かる。

相手のステータスは俺よりも遥かに上だ。

ステータスで俺が優っているのはスピードだけで、それも極僅かな差。

体長も優に3メートルはある。

一瞬の隙が命取りになる。

ステータスに大きな差がある以上長期戦は間違いなく俺にとって不利になるだろう。


一気に決める!

俺は日本刀で全力で斬りかかった。

単純な加速だけでは俺の攻撃が防がれてしまうことは容易に想像がつくので、サイクロプスが防御の態勢に入った瞬間に、風魔法と火魔法を使って爆発を足元で起こして方向転換しながら急加速する。

サイクロプスはその突然の動きに対応が遅れた。

先ずは一太刀入れたと思ったが、ここで想定外のことが起こった。

俺が振った刀はサイクロプスの横腹に当たった瞬間、傷つけることなく折れてしまったのだ。

直ぐに跳躍し距離をとろうとするが、攻撃範囲を離れるより早くサイクロプスの腕が俺に直撃した。


当たった瞬間凄まじい衝撃が俺を襲った。

コートの物理攻撃無効によって直接の攻撃ダメージは無効化されているが、衝撃までは無効化されていなかった。

俺はゴム毬のように宙を舞い、再び地面に叩き付けられた。

叩き付けられたその衝撃だけで肋骨数本と左腕が折れた。

折れた肋骨の内数本が内蔵を傷つけたのか口から血がこぽこぽと溢れ出てきた。

全身が悲鳴を上げるが、回復魔法を掛けながら無理やり立ち上がり、右手でmp7をホルスターから抜き放ちトリガーを引く。


いつもならなんとも思わないMp7の反動で痛みが全身を駆け巡るが、構わず撃ち続ける。

一発一発のダメージはそれほどでもないが、しかし確実に銃弾はサイクロプスの硬い皮膚破壊し、着実にダメージを負わせていた。

リロードは左腕が使えないので無属性魔法でマガジンを操り行い、銃口を氷魔法で冷却する。

俺の周囲には空薬莢が大量に転がり、最早足場がなくなっていた。

サイレンサーを外していたので銃口からフラッシュマズルが迸り、冷却しているが白煙の糸が登る。

かなりの銃弾を浴びせ、そろそろ用意しておいたマガジンが底を尽くという時、突如強い魔力をサイクロプスから感じ爆発を利用して急いで右に回避行動を取る。


その直後、サイクロプスはその特徴的な目から強力なレーザーを放ち、俺がさっきまでいたところに直撃した。

視界に入ったサイクロプスは既に全身から血を流し、あと一押しで倒せそうだった。

俺はレーザーを放ったことでクールタイム(膠着状態)に入っているサイクロプスに急接近し目玉に銃弾を撃ち込んだ。

目玉は皮膚ほどの強度は無いようで、銃弾が目玉に当たると目玉は飛び散ってグチャグチャになり、更に立て続けに打ち込まれた弾丸が網膜を突き破り、脳天を破壊し尽くした。

サイクロプスはその巨体を倒し、それからピクリとも動かなくなった。


ふと何気なく俺がさっきまでいたサイクロプスのレーザーが当たった場所に視線を向けると、地面がグツグツと煮えたぎっていた。

あれがサイクロプスの取って置き、所謂必殺技だったのだろう。

属性魔法が使えないサイクロプスが唯一使える魔法で、ここぞと言う時の最大の切り札。

心底回避できてよかったと思う。


重症を負っているのにも関わらずしっかりサイクロプスをアイテムボックスに収納し、怪我も治さずにステータス画面を出す。

そしてレベルを一つだけ上げてみた。

すると自分でも強くなるのがわかるくらい、自分のなかで大きな変化が有った。

先程よりもずっと強くなっている。

しかし傷はレベルが上がっても治らないようだ。

実はこれを確認したくて今まで治療をしなかった。

まぁ、別にここまで重症である必要はなかったのだが。

時間が経つにつれ自動回復によって怪我はなおっていくが、治癒を施して回復する。

全回復したか確認するためステータスを確認すると、俺は目が点になった。



市原 翔太(17)  種族 人以外のなにか

LV 2***レベルアップできます

HP 16,000,000/16,000,000

MP 10,000,000/10,000,000

Str 60,000,000

Dex 80,000,120

Vit 80,000,000

Int 150,000,000

Agi 75,000,000

Mnt 79,000,000


スキル

武術LV99

体術LV99

剣術LV99

刀術LV99

短剣LV99

投擲LV99

弓術LV99

槍術LV99

棒術LV99

調教LV99

射撃LV99

威圧LV99

隠蔽LV99

解析LV99

遠見LV99

鍛冶LV99

調合LV99

隠密LV99

潜水

吸血

指揮LV99

料理LV99

手加減

ステータス操作

経験値操作

言語理解

空間把握

危機察知

無詠唱

同時展開

魔力操作

攻撃力上昇

HP自動回復上昇LV99

MP自動回復上昇LV99

部位欠損回復

治癒速度上昇LV99

状態異常無効

呪術無効

呪詛返し

限界突破

アイテムボックス

意思疎通

経験値増加

必要経験値減少


属性

全基本属性(火、水、土、風、光、闇、無)

全派生属性(雷、氷、炎、天気、飛行)

全ユニーク属性(時空間、契約、破壊、召喚、創造、重力)


称号

超越者

覇者

絶対者

理から外れしもの

刀術を極めしもの

剣術を極めしもの

射撃を極めしもの

武術を極めしもの

魔術を極めしもの

魔法を極めしもの


あまりにも一気に上がり過ぎ出はないだろうか。

1レベル上がっただけでこれだけステータスが上昇するなんて、予想外だった。


「まだまだレベルを上げれるんだが・・・。

もう、どうせなら全部上げちゃうか。」


余りにも現実離れした出来事に、自分事でありながら自棄になってしまった。

その結果俺は今まで貯めてきた経験値をフルに使いレベルを上げれるだけ上げてしまうという暴挙に出てしまった。

そして、俺は自分のステータスを見て全てを諦めた。


市原 翔太(17)  種族 不明

LV error

HP error

MP error

Str error

Dex error

Vit error

Int error

Agi error

Mnt error


スキル

武術LV99

体術LV99

剣術LV99

刀術LV99

短剣LV99

投擲LV99

弓術LV99

槍術LV99

棒術LV99

調教LV99

射撃LV99

威圧LV99

隠蔽LV99

解析LV99

遠見LV99

鍛冶LV99

調合LV99

隠密LV99

潜水

吸血

指揮LV99

料理LV99

手加減

ステータス操作

経験値操作

言語理解

空間把握

危機察知

無詠唱

同時展開

魔力操作

攻撃力上昇

HP自動回復上昇LV99

MP自動回復上昇LV99

部位欠損回復

治癒速度上昇LV99

状態異常無効

呪術無効

呪詛返し

限界突破

アイテムボックス

意思疎通

経験値増加

必要経験値減少


属性

全基本属性(火、水、土、風、光、闇、無)

全派生属性(雷、氷、炎、天気、飛行)

全ユニーク属性(時空間、契約、破壊、召喚、創造、重力)


称号

超越者

覇者

絶対者

理から外れしもの

刀術を極めしもの

剣術を極めしもの

射撃を極めしもの

武術を極めしもの

魔術を極めしもの

魔法を極めしもの

システムを越えたもの

神を越えしもの


errorである。

errorのオンパレードだ。

レベルまでerrorになっている。

種族に至っては不明と表示されている。

俺は間違いなく人間だ。

絶対人間だ。

人間だよね?

自分が人間である自信を失いそうになりながら、なんとか気を保つ。

しかしながら、なにかとんでもないことになってしまった気がする。


まずerrorってなんだ?

ステータスがerrorになることなんてあるのか?

いや、現に俺がなっているんだ。

場合によっては起こりうるのだろう。

最早自分のステータスについて考えることが馬鹿らしくなってしまい、俺は考えることを放棄した。


ステータスを上げてからは、迷宮の攻略スピードがさらに上がった。

上がったなんてものではない。

格段に上がった。

それはそうだ。

もはや敵がいない上、走る速度だって今までの比にならないのだから。

結果最下層までたどり着くのに僅か1日しかかからなかった。


最下層のボスはとても意外な相手だった。

その相手とは、邪神である。

しかしここまでひたすら階層を下って来たため、自分が今何階層にいるのかわからなくなっており、ラスボスの階層だとは梅雨ほども思っていなかったため、出てきて早々に普通のフロアボスだと思って片づけてしまった。

まさかこんなところにいるとは思わなかった。

そしてこれほど弱いとも思わなかった。

倒したあとに、迷宮をクリアしましたと言うアナウンスのような声がなければ間違いなく気が付かなかった。


そして、現在俺の目の前には1つのウィンドウが表示されていた。


*

ダンジョンをクリアしました。

以前のダンジョンマスターに勝利したため、当ダンジョンの相続権が生じます。

このダンジョンを相続しますか?

*


という、非常にめんどくさそうなものがでていた。

面倒そうだし何よりダンジョンに興味がない為、相続を拒否しようと思ったとき、一つの案が思い浮かんだ。

それは、このダンジョンの最下層に拠点を造れば安全ではないだろうかというものだ。

しかしそれには大きな前提条件がある。

それは「ダンジョンの今の状態は引き継がれるのか?」ということである。

もし引き継がれなかったとしたらダンジョン作成を1から自分でしなければならなくなる。

そんなものを引き継ぐのは当然勘弁だ。


「引き継ぐことも可能です。」


俺の一人の呟きに帰ってくるはずのない返答が有った。

声の方に振り向くと一人の女性が立っていた。

正確には声と共に現れた。

鑑定で確認したところ、彼女はダンジョン運営のサポート役のようだ。

今俺の前に現れたということはこのダンジョンの相続についての手続きのためだと考えられる。

彼女の存在についてもその他についても色々な疑問はあるが、先ずは優先的に重要なことだけ聞くことにした。


「どうでもいいことは全て省いて単刀直入に聞く。

ダンジョンを運営していく上でダンジョンマスターがダンジョンに居なくても特に問題はないのか?」


「はい、構いません。

その代わり、借りのダンジョンマスターを配置する必要がございます。」


俺の代わりを立てれば問題ないということなら相続してもいいかも知れない。

これから俺は旅をしながらのんびりと暮らす予定でいる。

ここに縛り付けにされて閉じ込められるのは御免被る。


「なら引き継いでもいいか。

ダンジョンのシステムについて教えてくれ」


「かしこまりました。

先ずダンジョンでは……」


そして長いダンジョンの説明が始まった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ