表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔汁キンミャー焼酎を異世界で  作者: 水野しん
第七章 ミスリルの約束
PR
94/230

94話

「毎度あり」


 買ってしまったけど、欲しいのはこれじゃなかった…でも、これはこれで予言書みたいなものなのかもしれないしね。

 しかし、早苗とは一体何者なんだ。母ちゃんの様な…気もするけど……うーーん、どうでしょう?


 ここ以外に本屋はあと三軒あるらしいので、近い所から順番に巡ってみよう。




 先程の本屋から歩いて三分、二軒目の本屋に着いた。ジーパンにアロハで歩いていても珍しがられなくなったな。


 中に入って絵本の棚を探すが見つからない。

「すみません、指輪の物語の絵本を探しているのですが…」


 店主のおばさんが教えてくれた棚にあったのは、チコリの物とは違っていた。

 この際だ、作者違いを揃えてみるか。


「全部でいくらですか?」


 こうして全ての本屋を巡ってみたものの、チコリが持っているのは買えなかった。

 その足でオルカの宿に寄ってみる。


「チコリ、その本はどこの本屋で買ってもらったのかな?」


「んん?」

 服の裾を掴まれて連れられていった先は本屋ではなく、例の雑貨屋だった。紙パック入りのキンミャー焼酎もここで買ってるんだよね。


「あら、チコリちゃん。偉いわね、ちゃんと連れてきてくれたのね」


「か、母ちゃんっ!」

 そこにいたのは紛れもなく僕の母ちゃんだった!






「うーん、迷ったかニャ」

 特に方向音痴って事もないんだけど、これだけ広いと迷う事もあるのニャ。


「お腹も空いたし、ここいらでお昼にしますかニャ…えーと、サンドイッチはどこかニャ……あれ?あれっ?袋にでっかい穴が空いてるニャ!どこかに落としてしまったニャァ……とりあえず水を飲むニャ」


 途中で会った人族の王様は親切だったニャ。

 沢山もらった食糧も…うニュー、落としてしまったニャ………ハッ!遠い目をしている暇はなかったのニャ。先を急がないとなのニャ……でも、お腹が空いて歩けないニャ…………。


『こっちに何かの気配がする…ゴーシュは左から回り込んで……』


 誰かいるのかニャ…。


「あれま、猫人族の子じゃないの」


「どなたかは分かりませんが…お腹が空いて歩けないのニャ……」


「これ、食べるか?」

 大きな男が干し肉を口の前に差し出してきたので、カプっと食らいつく。


「う、美味いニャ…モグモグ…」


「ゴーシュ、この子を拾っていこうか」


 こうしてボクは旅の途中で拾われてしまったのニャ。






「何で母ちゃんがここにいるんだよ!」

 ここはアンバー、異世界なのだ。


「葉山一族は昔からこの世界に干渉して生きてきたんだよ。お前、大五郎に会ったんだろ?」


「ダイゴロウって、王様やってる大五郎か?それともトダ村のダイゴロウか?どっちも同じ顔してたけどな」


「王様やってる大五郎だよ。あれはお前の叔父さんだ。小さい頃にしか会っていないからねぇ、覚えてなくて当然なんだけど…ちょっとしたアクシデントで時間移動したらしくてね、私らでも二度と会う事は出来なかったんだよ。それでも伝承から大五郎なのに気付いて、なるべく助けてやろうと躍起になっていたんだけどねぇ…」


 しゃがんでチコリをなでつつ言う。

「賢司は会えたんだねぇ」


「確かに会えたな。幸せそうに暮らしてたぞ、何せ奥さんは七人もいたしな」


「この世界には大五郎の遺した子供達が至る所にいるんだよ。過干渉って事で力は大分抑えられちゃったけどね」


「武志と里見も知ってんのか、この事」


「お前達兄弟にはこれから教えるはずだったんだよ」


「それで、これからどうすりゃいいんだよ」


「賢司がやりたい事をやればいいんだよ。この世界は色んな世界から干渉されて成り立つ、珍しい世界なんだからね」

 何だかとても聞きたくない事のような…。


「そうだ、トダ村に行ってみよう」

 母ちゃんとチコリを連れて、トダ村に行く事にした。






「おいーっす!猪持ってきたよー」


 この声はエミリーだな。

「いつもありがとう。カウンターの上に置いてもらえる?」

 声をかけながら表に出てみると、エミリーと小脇に人を抱えたゴーシュがいた。

「わっ、どうしたの、その人…」


「森に落ちてたんで拾ってきちゃった。猫人族の子みたい」


「拾ってきたって…」


『お腹が空いたのニャ…』


「煮込みはあるけど食べる?」


 丼で三杯も食べて落ち着いたのか猫人族の子は寝てしまった。

「それじゃ、その子はよろしくねー」


「ちょ!」

 上手いこと押し付けられたなぁ。これから皆が出勤してくるっていうのに。

 カウンターに突っ伏している子のほっぺを見ていたら、何だかとってもぷにぷにしたくなってきて、ぷにぷにしていたらナターシャから見つかってしまった。


「また新人ですか?最近は猫の子ばかりですね」

 そう言って笑っているけど、ホント、この子はどうしたらいいの!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ