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魔汁キンミャー焼酎を異世界で  作者: 水野しん
第二章 それぞれの思い
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19話

 いつもの様に結界の外に出る。

 ここでは料理人も食糧の調達をやる。


 木々が生い茂るこの森は、我々エルフ族が住むようになってから緑を拡大した。狩猟の対象となる動物も増えたが、それを餌にする魔物も多く住み着くようになった。この魔物も見た目に反して美味しい食べ物になるので狩られてしまうのだが。


 結界から二、三キロ離れた所に川が流れていて、そこも魚が多く泳いでいる。今日は大き目の魚か水棲モンスターを捕りたいところだ。


 竹で編み込んだ筒を数か所に仕掛け、槍を持って岸辺を歩いていた。この時期の川沿いは蜜バチが好む白い花が咲き誇っていて、甘い香りを漂わせているので熊の活動範囲内でもある。

 少し下流に歩くとワニの群れを発見した。手頃な体格のものに槍を投げると急所に刺さり、一発で仕留められた。


 肩に担いで元の場所に戻り、持ってきた弁当で昼食にする。

 黒パンに鳥肉とトマトを挟んだものにオレンジのジュースだ。今年のトマトは酸味がちょうどいい。


 仕掛けを上げるとウナギにナマズ、カニがかかっていた。今夜はスタミナ料理にするか。

 木の実を採りつつ村へ戻った。



 使っている包丁もかなりちびてきた。

 村の鍛冶屋も良い仕事はするが、個人的には人間の使う包丁がしっくりくる。今日は新しい包丁を買いに近くの町まで出向くことにしよう。


「まいど。今日は何をお探しかな」

 町で贔屓にしている金物屋の主人は相変わらず愛想がいい。私も少しは見習うべきか。


「包丁を探しに来た。肉用と魚用の二本が欲しい」

 主人は聞くなり、奥から何本か包丁を持ってきた。


「大きな獲物を捌くならこれだね。力を入れなくともすっと切れる。魚は三枚に下ろすならこれ。それにこいつは日本人とかいう男が持ち込んだ物で、魚を生で食べる時に使う物らしい。お客さんは料理に貪欲みたいだから一応ね、刃物的にも珍しく価値がある物だし」


 確かにその包丁はスラッと長く、刃の部分も平坦ではなかった。握らせてもらうと手に馴染む。

「魚用はこれをもらう」


 道具に愛着が湧くなどということがあろうとは、思ってもみなかったが、これは掘り出し物だった。


「まいどあり。気を付けて帰るんだよ」


 外へ出ると日差しが眩しかった。それに一瞬気を取られ、馬の身体に鞄が当たってしまった。乗っていたのは騎士。威張り散らしている騎士を見かけた事があったので、難癖をつけられるかもと構えていると、馬から降りるや否や向こうから謝ってきた。


「いや、すまない。急いでいたので避けきれなかった。ケガはないか?」


「ああ、大丈夫だ」


「そうか、それなら良かった。すまぬが急いでいるものでな…そうだ、お詫びにこれを分けてやろう。新しくできた薬でな、これから市場に出回る予定の物だ」


 縦長の箱を渡すと騎士は去っていった。


「キンミャー?」


 その透明な液体は、村では薬として役に立っている。

もう数話、こんな感じの展開が続きます。

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