修行編 其ノ壹
本日2話目!!
解き放たれたこの欲望を誰も止められやしないのだッ!!!
1週間後に模試があるけど気にしてはいけない。うん。これ、大事。
あの間から出てみると横幅2mの通路が延々と続いていた。
「天井の広さもさっきのとこと変わらない……。そのことはさして問題じゃない。それよりも生き物の気配がする。こういう所で出てくるのは、アイツしかいないよな。──っと」
♦智成は特段、気配を感知することが得意というわけではない(視線には敏感)。にも拘らず気配を感じ取ったということは…………
「──第一村人(?)発見! 村人という表現が正しいかはさておき。予想通りアイツのお出ましか。というか数歩しか歩いてないのに、もうエンカウント? いくら何でも早すぎねぇ? つうか、ここダンジョンなのか?」
♦その言葉どおり彼の視線の先、前方10mのとこに二足歩行の生き物がこちらに向かって歩いてきている。
あれはゴブリン、だよな。スライムに並ぶ雑魚キャラとして挙げられるあの緑の生き物。あっ! そういえばあれがあったじゃん。
〈真・鑑定〉天恵
全ての物事の詳細を知ることが出来る。
これこれ。ということで〈鑑定〉ッ!
「あり?発動しない。遠すぎるのか?」
──接敵まで7m
「ほんじゃ、もう一回〈鑑定〉!」
──と唱えると情報が脳に流れ込んできた。
─────ゴブリン─────
…………??? 終わり、だと? ショボっ!
定番のランクとかでないの? まあ、念のため一応、もう一回。〈鑑定〉!
─────ゴブリン─────
ランクE
…………お? 説明は?
─────ゴブリン─────
ランクE
人間に対立する人型生物で、独自の言語などを持ち、粗野な部族社会を形成する種族。あわせてボブゴブリンなどの近縁種も確認されており、生まれた時から役割が決まっているとされている。
雌ならどの種族からでも繁殖が可能で、ある意味、生殖のプロフェッサー。その中でもヒューマンから生まれた個体は強力なものが多く、被害件数が他の種族(獣人、エルフ、ドワーフ)よりも断突で多い。
……おぅふ……丁寧な説明をありがとう。まさしく女性の天敵って感じがするね。
何を鑑定できるかを知ってないと表示されないみたいだ。
ということは……
─────ゴブリン─────
ランクE
人間に対立する人型生物で、独自の言語などを持ち、粗野な部族社会を形成する種族。あわせてボブゴブリンなどの近縁種も確認されており、生まれた時から役割が決まっているとされている。
雌ならどの種族からでも繁殖可能である意味、生殖のプロフェッサー。その中でもヒューマンから生まれた個体は強力なものが多く、被害件数が他の種族(獣人、エルフ、ドワーフ)よりも断突で被害件数が多い。
ゴルタリタッタ族 ガロ
──ぉお? てい!
─────ゴブリン─────
ランクE
人間に対立する人型生物で、独自の言語などを持ち、粗野な部族社会を形成する種族。あわせてボブゴブリンなどの近縁種も確認されており、生まれた時から役割が決まっているとされている。
雌ならどの種族からでも繁殖が可能である意味、生殖のプロフェッサー。その中でもヒューマンから生まれた個体は強力なものが多く、被害件数が他の種族(獣人、エルフ、ドワーフ)よりも断突で被害件数が多い。
ゴルタリタッタ族 【ガロ】
生後6ヶ月(人間換算 12歳)
ゴルタリタッタ族の一匹。序列は57位で下から3番目に位置する下っ端。族長からの初めての命令でやる気に満ちている。それだけでなく、帰ったら愛しのギャシー(12歳、幼馴染み、序列50位でガロより強い、ゴブリンには珍しいメス ──百分の一の確率で生まれる──)と結婚することが決まっている。そのため、ちょっぴり緊張もしている。
──ってぅうおぉい! どんだけやねん。流石、天恵といったところか。凄すぎて思わずエセ関西弁がでてもうたやん。ついでに殺しづらくなってしもうた。ゴブリンの事情なんていらんねん。
そして目の前には……
「もう接敵まで2mもないやん! おもろすぎて夢中になってしもうた。」
♦慌てて魔力を体に巡らし、魔法を構成できる最低限の密度まで錬る、智成。エセ関西弁は継続中。
「ゴフゴル、ゴリゴリゴフフゴフ(おれ、ムラにカエったらケッコンするんだ)」
まさか、あのセリフをゴブリンから聞くことになろうとは……! 誰が予想できようか。いや、できるはずがない。反語、登場ッ! 驚きが続きすぎてキャラが定まらねぇ。つうかゴブリンの言葉も理解出来んのかよ。半端ねぇーな。
「ほんじゃま、さくっと殺っちゃいましょうか。〈緑風の刃〉!」
♦ほんとに使えないのか試したかったが故の行動。真空刃をイメージして練られた魔力はブーメランの形をしており、うっすらと緑色を帯びている。
──シュパッ!
小気味よい音を立てながらゴブリンを左右に切り分けた。
「なんだ、けっこう使い勝手いいじゃん。まぁ、俺が異世界出身というのもあるんだろうが。毎日妄想した甲斐があったぜ。ということで、(どういうことなのか自分でも分からないが)君の尊い(?)犠牲は忘れないよ。絶対に、きっと、多分、もしかしたら……」
♦だんだん弱くなっていく誓いの言葉。きっと彼は数秒の後にはもう忘れているということを薄々感ずいているのだろう。もしくは、もともとそんな気持ちなどなかったのか。
【〈風魔法〉を習得しました。】
おっ? 毎度お馴染みの──といってもまだ二回目だが──抑揚をまったく感じない機械音だ。しっかし、こんなに簡単にスキルってのは覚えれるものなのか?
♦そんなことは決して無い。決して、だ。彼が異常なだけなのだ。と言うかスキルのお陰である。もっとも、誰も彼の疑問に答えるものは居ないので疑問は疑問のまま解決せず、冒険は続く。
「あっ! ゴブリンが光ってる。………………ん? 残ったのは……これは魔石? 〈鑑定〉!」
─────ゴブリンの魔石─────
ランクE
最弱な魔物と言われる忌々しい緑の生物の魔石。純度も魔力量も大したことない。せいぜい火をつけるためのマジックアイテムに使われるぐらい。
あり溢れてるが故に売りにいっても二束三文で買い叩かれるのがオチ。
ありゃりゃりゃ? 随分と嫌味が書いてある。誰かが更新してたりするのかな? 神様とか? もしかしたら高尚な学者さんとか? そうだとしたら、差別するのは、いただけないね。どうでもいいんだけど。
魔石にもランクがあるんだね。ロレンツォさんが言ってなかったてことは知られてないのかな? そんなことは無いと思うが。
要らないし大した価値もないそうだから、かさばるし、ほっといて次行こう、次。
どんなやつが、実験た……ゴホン、犠せ……ゴホン、ゴホン生け贄……ゴホン、遅かった(笑)
……よしっ! (何が?)
改めて、どんなやつが、次の餌食になるのかな?
♦お気づきだろうか? 全く直そうとしてないことに。挙句の果てに、餌食なんて言葉まで持ち出してきている。さっきゴブリンの鑑定結果で彼にも生活があるということを知ったばかりだというのに……。
♦興味がないことにはとことん興味がない智成であった。
……気のせいかな? 貶されたあと、正解! ってつい言いたくなったんだが。
♦兎にも角にも、彼の冒険はまだまだ始まったばかりだ。




