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まずはここから始めよう!  作者: 雲母あお
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15/26

15 告白現場に居合わせてしまった

次の日、私より早く来ていた白坂に、

「おはよう。」

と挨拶すると、小さな声だったけど、「おはよう。」と、返してくれた。


これだけで十分だ。

心の中で白坂に「ありがとう。返事をしてくれて。」とお礼をいいながら、大丈夫、今まで通りできる、と自分を励ましていた。


数日こんな日が続いたある日、

「ねえ、白坂と何かあった?」

赤山さんが話しかけてきた。

「…」

何て説明していいのか分からず声が出せずにいると、


「そう…。なんでもないならいいけど、何かあったんならこじらせる前に相談してね。白坂は、からかってばっかりいるけど、黒田のことよくみている、いいやつだよ。」

ズキンッ。心の奥から音が聞こえた気がした。けれど、その音を無視した。

「ありがとう。」


そうだね。赤山さん。

私のことなんか見ていた白坂には、もったいない時間を過ごさせてしまったな。

ふう。一息吐く。


白坂に、私は一人でも大丈夫ってところをみせられるように頑張って、早く白坂らしい生活をしてもらって、白坂の視界から、そして私の視界からお互いが消えてしまえばいい、そう願うようになっていた。


それから、白坂とは挨拶以外話さない日々が続いた。


ある日の放課後、いつものように誰もいない教室に一人、窓の外を眺めていた。

「なんか…、なんだろうな…。」


白坂から声を掛けられなくなって、私の周りから白坂がいなくなってしばらくして、クラスの何人かに、「別れたのか?」とかからかわれ、そのたび白坂が、


「関係ないだろう。」


と返事をして私を無視するということが何度かあった。

そのたび、締め付けられるような気持ちになったけど、そのショックにもだんだん慣れてきていた。


「白坂が告白してくれた日から1か月くらい経つな。時が癒してくれるって昔の人ってすごいな。本当にそうだ。」


んーと伸びをすると、教室をでた。

なんだかすぐに帰る気にならず、校庭の周りの紅葉した木々の下をゆっくりと散歩していた。

あの校舎の角を曲がると、花火をみたベンチがある。

一緒に花火をみたことが、遠い昔のように思えた。


校舎の角を曲がると、ベンチの前に一組の男女が立っていた。

男子の方は私に背を向けているので顔は見えない。

見えないけど、あれはたぶん白坂だ。


慌てて踵を返し、ベンチから見えないように校舎の影に隠れた。

白坂は私に背を向けているので気づいていない。

女子の方には見覚えがあった。

このあいだ白坂と一緒に登下校していた子だ。やっぱり可愛い。



「私、白坂君のことずっと好きでした。つきあってもらえませんか。」




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