15 告白現場に居合わせてしまった
次の日、私より早く来ていた白坂に、
「おはよう。」
と挨拶すると、小さな声だったけど、「おはよう。」と、返してくれた。
これだけで十分だ。
心の中で白坂に「ありがとう。返事をしてくれて。」とお礼をいいながら、大丈夫、今まで通りできる、と自分を励ましていた。
数日こんな日が続いたある日、
「ねえ、白坂と何かあった?」
赤山さんが話しかけてきた。
「…」
何て説明していいのか分からず声が出せずにいると、
「そう…。なんでもないならいいけど、何かあったんならこじらせる前に相談してね。白坂は、からかってばっかりいるけど、黒田のことよくみている、いいやつだよ。」
ズキンッ。心の奥から音が聞こえた気がした。けれど、その音を無視した。
「ありがとう。」
そうだね。赤山さん。
私のことなんか見ていた白坂には、もったいない時間を過ごさせてしまったな。
ふう。一息吐く。
白坂に、私は一人でも大丈夫ってところをみせられるように頑張って、早く白坂らしい生活をしてもらって、白坂の視界から、そして私の視界からお互いが消えてしまえばいい、そう願うようになっていた。
それから、白坂とは挨拶以外話さない日々が続いた。
ある日の放課後、いつものように誰もいない教室に一人、窓の外を眺めていた。
「なんか…、なんだろうな…。」
白坂から声を掛けられなくなって、私の周りから白坂がいなくなってしばらくして、クラスの何人かに、「別れたのか?」とかからかわれ、そのたび白坂が、
「関係ないだろう。」
と返事をして私を無視するということが何度かあった。
そのたび、締め付けられるような気持ちになったけど、そのショックにもだんだん慣れてきていた。
「白坂が告白してくれた日から1か月くらい経つな。時が癒してくれるって昔の人ってすごいな。本当にそうだ。」
んーと伸びをすると、教室をでた。
なんだかすぐに帰る気にならず、校庭の周りの紅葉した木々の下をゆっくりと散歩していた。
あの校舎の角を曲がると、花火をみたベンチがある。
一緒に花火をみたことが、遠い昔のように思えた。
校舎の角を曲がると、ベンチの前に一組の男女が立っていた。
男子の方は私に背を向けているので顔は見えない。
見えないけど、あれはたぶん白坂だ。
慌てて踵を返し、ベンチから見えないように校舎の影に隠れた。
白坂は私に背を向けているので気づいていない。
女子の方には見覚えがあった。
このあいだ白坂と一緒に登下校していた子だ。やっぱり可愛い。
「私、白坂君のことずっと好きでした。つきあってもらえませんか。」




