13 あれ?
次の日、自転車を学校に忘れたことに気づいてさらに落ち込んだ。
とぼとぼ歩いて学校に行くと、すでに白坂は登校していた。
そして、昨夜思い悩んだのが馬鹿らしくなるほど、白坂は“普通”だった。
その態度を見ていたら、放課後に近づくにつれ、だんだん腹が立ってきた。
昨日のあれは何だったの?またからかったの?今度は告白で?
私に免疫をつけさせるため、とか?
昨日思い悩んだ分、なんだか考えが捻くれていく。
この間、感情に流されて反省と後悔をしたばかりだというのに…。
その日の放課後、白坂はなかなか教室から出ていかなかった。
私も教室から出づらくてなって、なかなか席を立てずにいたら、気付くと、私と白坂以外教室には誰もいなくなっていた。
どうしよう…ますます帰りづらい。
昨日のこと、逃げ出してしまったことだけでもあやまってから帰ろうか…。
そう思っていると、
「昨日の本気だから。すぐに返事してとは言わないけど、考えておいて。」
それだけ言うと、すっと教室を出て行ってしまった。何も言えなかった。
「逃げ出したこと謝れなかったな…。」
すぐには席を立つことができず、しばらく座ってから家に帰った。
それから何日か、白坂はいつも通りだったけれど、告白されて意識しているせいか、いつもは気にならなかったことが、気になるようになっていた。
とにかく、白坂は友達が多い。それも、男も女も関係なく、だ。
一日観察していると、休み時間の度に違う女子が白坂を訪ねてくる。
廊下で楽しそうに話して、チャイムが鳴る前に席に戻ってくるのだ。
あれ?いつもこんなに女子が来ていたっけな?
それすら分からないんだから、よほど周りを見てこなかったのだろう。
これじゃ、誰とも話ができるわけないな、と反省しつつも、やっぱり気になってみてしまっていた。
相変わらず、白坂は毎日のように宿題を見せてといい、私からのスパルタ教育を受けている。
本当に何も変わらないのだ。
本当に告白されたのかな?
と、ある日は夢だったのかもしれないと思う日もあった。
数日後の放課後。一人になった教室で、校庭から聞こえてくる運動部の声に耳を傾けながら、いつものように、ぼんやり校庭をながめていた。
「!?」
男女仲良く帰宅する姿が目に入った。
「白…坂…?」
よく見てみる。やっぱりあれは白坂だ。
一緒にいる女の子は誰だろう。うちの学校の制服を着ているけど、見たことがない子だった。
ドクンッ。心臓が嫌な音を立てた。
次の日の朝、自転車をこいでいると、もう少しで校門というところで、一組のカップルが仲良さそうに登校しているのが目に入った。
「あれって、白坂…?」
昨日の放課後の風景がまた頭をよぎった。
昨日一緒に帰っていた子かな?気づかないふりをして二人の横を通り過ぎた。
「黒田?」
白坂の声が聞こえた気がしたけど、きっと幻聴だ。最近考え過ぎていたから。
それから、白坂とあまり口をきかなくなった。
何を話していても、女子と楽しそうに話していた白坂の顔が思い出される。
私と一緒にいるときに見せない笑顔…。
つきあっているのかな?私に告白したばかりなのに?返事しなかったから?
でも、待つって言ってたよね?考えておいてって。
それからずっと真剣に考えてたんだよ?




