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「では、今からわたしつきとして過ごす上で気を付けてもらいたいことを言うわね。まず、わたしと話す時にはもう少し口調を崩してもらいたいわ。そして、わたしは基本的にこの屋敷では一人で行動する事が多いの。だから、わたしが部屋にいる時やリーナやユリウスに話がある時以外は他のお仕事をしてもらって構わないわ」
「分かりました」
「それと、明日屋敷の外に行くのだけれど、ユリウスも一緒に来てもらっても良いかしら?屋敷を出るのは十二時くらいになるわね」
「大丈夫です。ご一緒させていただきます」
「ありがとう。お願いするわね」
とりあえず、今言わなければいけないことは言ったと思う。
「……あ、そうだ。ユリウス、わたし、剣術を習いたいの。強くなって損になることはないでしょう?できれば他の武術もなんだけれど、教えてくれそうな方を知らない?」
「旦那様にご相談するのでは駄目なのですか?」
「うーん……お父様に言ったら止められそうな気がするのよね。だから、家族には内緒でお願いしたいわ。……そうすると難しいかもしれないけれど……。無理だったら諦めるわ」
「では、私がお教えしましょう」
お父様には知らせない、でも先生を見つけてほしいという理不尽なお願いをしていることに申し訳なさを感じていたわたしだったが、ユリウスの言葉に目を瞬く。
「え?良いの?」
「はい。これでも武術は何種類か嗜んでいますので」
驚きだ。インテリに見えたユリウスは、なんと武術もできるらしい。
ヴァイスといい、ユリウスといい、やはり人は見た目で判断してはいけないなと思った。
「では、申し訳ないけれどお願いしても良いかしら?」
「はい。まずは剣術と護身術からお教えしましょうか。でも、その前にセレスティーナ様の体力を見せていただきたいですね。武術はとても体力を使いますから。そして、セレスティーナ様の体力を見て稽古の流れを決めさせていただきたいと思います。……一時間くらいなのですが、いつから行いますか?」
「明日、外出した時に剣を買うわ。だから、明日からお願いしたいわね。剣術でなくて、体力を調べるだけなら今日できるかしら?」
それを今日できるのであれば、剣術を習える段階に一歩近づく。それに、わたしは前世について思い出した時から筋トレを毎日しているのだ。体力は多少ついたはず。
「……ですが、そのための服がないのではないですか?」
「……あ。そうだったわ……」
盲点だった。わたしの頭の中にある、明日買うもののリストに「動きやすい服」が追加された。
「……残念だけれど、明日からでお願いするわ」
「リーナ、ユリウス。わたしは六時前に戻ってくるわね」
剣術の話が終わり、今の時間は四時。わたしは今から夕食の準備をするまでの二時間を図書室に行って魔法の練習をすることにした。
魔法をほぼ覚えたとはいえ、忘れないように、そしてもっと上達するためにわたしは毎日魔法の練習をしている。
魔法とは、たくさん使えば使うほど、上達していくものなのだそうだ。読んだ本に書かれていた。それを信じて毎日練習している訳だが、確かに始めた頃と比べると使うのが楽になっている
。
魔法は所有者の身体の中にある魔力を使って発動しているので、あまり過度に使いすぎると身体の中の魔力が減ってしまい、体調を崩してしまうのだそうだ。この世界の人は、ある一定の魔力が体内にないと身体に影響をきたしてしまうのだとか。その影響は目眩や吐き気、ひどいときには気絶したり、最悪の場合には死亡してしまったりするらしい。
けれど、わたしは今まで魔法を使っている時にそんな症状が出たことはない。さすがに体調を崩してしまうのは嫌なので、そんな時には魔法の練習を中断しようとは思っている。
……だから、そうなるまでは練習するんだけれどね。しかも、魔法を使うと何故かすっきりした気分になるんだよね。
図書室で本を読み、魔法の練習をした後は部屋に戻る。部屋ではリーナとユリウスが待っていた。
お風呂に入り、マッサージを受けて着替えると、わたしは夕食のために食堂へと向かった。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。