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ある朝、僕の“それ”が消えた。  作者: 花束 いと


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第27話 想い

 田所の「はあああああ!?」という叫びが、学校中に響き渡る。



「付き合うって、意味分かってんのか……?」

「もちろん」

「手繋ぐぞ」

「うん」

「キスも」

「だね」

「セックスも!!!」



 ゼェハァと肩で息をしながら、田所は僕を見つめる。



「……ほんとに、付き合ってくれんのか?」



 その問いに、僕は真っ直ぐうなずいた。



「これから知っていきたいんだ。

 田所のこと、恋愛対象として……きちんと見たい」

「……は」

「ダメか――」



 次の瞬間、頬に強い衝撃が走った。

 田所の右ストレートが、もろに入ったのだ。



「ダメに決まってんだろッ!!」

「え……」



 田所の顔が赤い。

 でもなんか、さっきまでとは違う。


 眉が吊り上がって、今にも飛びかかってきそうだ。



「要するにお試し的に付き合おうってわけだろ。んなもん、俺は望んでねぇ!!

 完っ全に惚れてから出直してきやがれッ」

「……」

「ったく、どこの恋愛小説読めばそんな馬鹿みたいなこと言えんだ」

「読んでるんだ」

「わりぃかよッ」



 バキッという音と共に、僕の頬がぶたれる。

 あまりにも痛い。

 なんで同じところに……。



「俺が、どんだけ傷ついてるか分かんねぇだろ」



 田所の声が震える。

 怒りから?

 いや……それより、どこか揺らいでいるような。


 僕は奥田さんに「お試しで付き合おう」と言われたら、きっと喜ぶ。

 結果的に結ばれなくても、それまでは幸せな時間が過ごせるから。


 だが、田所は違ったのかもしれない。



「俺だって……付き合いてぇよ」

「え……?」



 思わず田所の顔を見る。


 彼の顔は――色んな感情を混ぜ合わせたみたいに、ぐちゃぐちゃになっていた。


 頭を抱えるようにして、田所が声を絞りだす。



「でも、俺は両想いで付き合いてぇんだよ……。

 一人であれこれ気にすんのは、もううんざりだ……」



 ……僕は、田所のことを何も知らない。


 彼が僕に片想いしていたことはもちろん、

 どんな苦労を背負いながら、僕の友だちを続けていてくれたのかも。



「ごめん。僕が、軽率だった」

「ッ、許すわけねぇだろ」

「……そう、だよな」

「おら」



 田所が、親指でグラウンドをさす。



「グラウンド百週――それで勘弁してやる。

 男見せてみろやッ!!」



 喉がひゅっと鳴る。


 でも、悪いのは僕だ。

 ここで拒絶なんて……出来ない。



「……惚れ直すなよ」

「そしたら、責任取れ」



 こうして僕は、夜明けまでグラウンドを走り続けることになった。









ここまで読んでくださり、誠にありがとうございます!

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