~第11幕~
漫才王になろうGPがバレンタイン最終決戦に向け一層盛り上がる中で更なるニュースが世間を厚く賑わせた。
「CRYSTAL EDEN 伊達賢治、新ドラマの製作決定」
「楽しみだよなぁ」
「CRYSTAL EDEN 伊達賢治、潜伏期間に倉木理亜奈と熱愛の夜」
「楽しみだよなぁ」
「どこが!? 世間はこっちで騒いでいるじゃない!?」
「でも、同じベッドで寝ていたのは事実だ。距離は置いたけども」
「世間がそれを信じてくれるワケじゃないでしょう!?」
「いつの時代だってそうさ。勝手に騒ぎたい人が騒いでいる」
「あのね、これで私が貴方から性加害を受けたって言えば、時代の寵児の言われている貴方だって一瞬のうちに消える事だってあるのよ!?」
「ふうん、じゃあやってみれば?」
「…………何なのこの人」
倉木理亜奈の住むマンションの一室で凝りもせず賢治は彼女と密会を重ねていた。
週刊誌がそれを騒がない訳もない。
伊達賢治本人が直撃取材に対して「同じベッドで寝るには寝た」と答えたからだ。
しかし、実際はそれ以上の事はなかったと倉木は自身のSNSを含めて猛反論した。
その賢治が特に反省を述べる事もなく彼女の家へまたやってきたのだから彼女は呆れる。
だが、そこにはちゃんとワケがあった。
「今度のやつはテレビで毎週放送するドラマだ。キャスティングも考えるに考えなくちゃいけない。元々は君を主人公に喫茶店の話を考えていたけども、こういうお家騒動がでてしまった以上はそんな待遇を君に贈る事もできない」
「嫌味を言いに来られたのですか?」
「まさか。それでも君には出演して貰おうと思う」
溜息をつきながらも彼女は少し微笑んでみせた。
この会社は女優としての自分をやはり大事にはしてくれるのかと。
「僕らのドラマ製作史は君の活躍あってからこそだからね。そこを外すことはできないよ。ただこの物語で世に発信したいメッセージは君が抱えるテーマとは相反する訳でないが、そこまで深入りする訳でもない」
「つまり何が言いたいの?」
「君もこのメンバーの仲間になって、そこを一緒に考えて欲しいんだ」
「う~ん、これって原作がそこまで仕上がってないと言う事ですか?」
「まぁ~そう捉えて貰っても構わないよ」
「なんか不思議な感じ」
「うん?」
「ドラマとバラエティーを足して混ぜてみたいな感じですよね? それって」
「いい表現だね。まさしくそれはこのドラマの目指す理想かもしれないよね」
そして賢治は話す。
この翌日その新ドラマのタイトルが世に発表された。
「DROP OUT!!!~林萌香の生きる道~」
主演は綺羅めくる。メインキャストにブレイク中のアイドルであるジストペリドの如月湊、そして色モノ俳優と妙に話題にされるフェニックス大。その面子に続く形でクリスタルエデンの看板である倉木理亜奈と大物女優と謳われる蒼月しずくの名も重なる。ただそのテレビドラマの内容は「喫茶店のお話」であると公式サイトで掲載されただけであった――
賢治と倉木の熱愛疑惑報道はこの話題をより盛り上げる為に彼がわざと振り撒いたネタなのかもしれない。何が嘘で何が真実なのか。それは本人が明らかにしない限りは分からないものだが、それも含めて楽しんで欲しいとインタビューに答える賢治の笑顔は妙に厭らしいものであった――
∀・)連載作品の告知を連載作品のなかでやるというね(笑)『「DROP OUT!!!~林萌香の生きる道~』は4月1日より本当に連載開始になります(笑)こちらの作品を読み終えたら是非そちらも読みにいってくださいね。お待ちしております。ではではまた次号。




