千葉という名の新天地
初等少年院を仮退院したがその後しばらくして警察に逮捕された。再度、少年院送致となり新潟県にある中等少年院を仮退院したのが平成4年。私は19歳になっていた。
私が中等少年院に入院している時に父親から手紙が届いた。
内容は、転勤で千葉市に引越したとのこと。
結果、私の帰住先も両親の住む千葉市に決定した。
群馬県から下の、いわゆる都会方面に足を踏み入れたことのない私は、東京にほど近い千葉駅という大都会の駅を出た瞬間、正直、心が浮き立った。
モノレールにバスターミナル、有名百貨店など、畑ばかりの群馬と比べると ( 千葉も駅から少し離れると畑ばかりだが ) そこはまさに新天地に思えてならなかった。
3ヶ月ほど経ったある日、千葉駅周辺で声をかけられた。
「今田じゃねえか」
私は誰も知り合いのいないはずのこの新天地で、いきなり声をかけられて驚いた。
声の主を見ると、中等少年院で仲が良かったクリハラだった。
クリハラは、
「なんで、お前、千葉にいんの?」
と、聞いてきた。
私は、帰住地が変更になった経緯を簡単に話した。
「ふーん、なるほどなぁ」
「まあいいや、ラーメンでも食いながら話でもしようぜ」
「ところでお前、何で来たの?車か?」
クリハラは聞いてきた。
「バス」
「バス?免許もってねえの?」
「年少入る前に取り消しになった」
「で、いつ取れるの?」
「1年間の取り消しだから、もう、取れるんだけど」
「合宿行って取ってこいよ」
「今田、お前、どこ住んでんだ?」
「仕事してんのか?」
「女いんの?」
クリハラは、矢継ぎ早に質問を浴びせてきた。




