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お仕置き編

愛花先輩に手を引かれて、階段を上る。

どうやら地下15階の滅却激烈拷問室に行くつもりはないらしいので少し安心した。


「いつもここ使ってるんだ」

「いつも?」


質問には答えず。愛花先輩は教室の扉を開ける。

中に入ると隅に連れて来られ、そこで抱きしめられた。職業癖で、私も先輩の背中に手を回す。


「ソファの上で抱き合うのも良いけど、立ちながら抱き合う方が、その人を全身で感じられて好き。寝ながら抱き合うのはもっと好きだけどね」


中々凄いこと言ってるような……

愛花先輩は誰かと寝ながら抱き合ったことがあるのだろうか?

身近な人を想像してしまいそうになったので、話題の修正を図る。


「これがお仕置きですか?」

「ううん、違うよ。早くお仕置きして欲しい?」

「そ、そんなことないですけど」


修正の仕方を間違えてしまったので、また欲しがってる顔をしていないか心配になった。


「お仕置きの前に、ちょっとだけ奈凪ちゃんとお話したいな。こうやって二人っきりになるの滅多にないし」

「お話しですか」

「うん、何か悩んでることない?」


丁度、さっき頭に浮かんだ悩みを言ってみる。


「前に『欲しがってる顔』してないか聞きましたよね?アレ、姉とか綾坂にもしてるらしいです。しないようにしたいんですけど、どうすれば良いか分からなくて」


愛花先輩の顔がパッと私の肩から離れて、こっちを向いた。


「笑顔だよ!え・が・お」


愛花先輩の弾ける笑顔が私を照らす。


「笑った顔は、えっちな顔に見えないよ」


確かにそうだ

笑った顔とえっちな顔は対極にあると思う

無邪気に笑ってる人に対して、そういう感情は起きない

常に笑っていることは難しいが、『お嬢様』を相手してる時とか、部員と変な感じになった時とかに笑顔になるのは十分可能だ

もっと早く、愛花先輩に相談しとけば良かった。


「あ、そんなにニカって笑わなくて良いよ」


やり過ぎて「わりぃ俺死んだ」って言った時の処刑寸前ルフィみたいな顔しちゃってたよ。


「ニコって感じで十分。うん、それで完璧」


笑顔のレッスンは終わった。

ご褒美代わりにナデナデして貰い、頬がにへらと緩んだが、すぐにそれは止む。


「……じゃあここからはお仕置きだね」

「は、はい」

「奈凪ちゃん、ああいうことはみんなが見てる前でやっちゃ駄目だよ」

「はい」


見てなければ良いのか?という疑問は置いておく


「恋人でもいきなりやったら駄目だからね?」

「はい」


世の中の恋人同士は逆膝枕をやっているのか?という疑問も置いておく


「分かったかな?」

「はい」

「今からどんなお仕置きされると思う?」

「ドビーは悪い子!!」


私は愛花先輩から離れて壁に頭をガンガンと打ちつけた。


「……そこまでしろとは言わないよ。奈凪ちゃんたまに変な子になるよね」


壁から引き剥がされて、愛花先輩の正面に立たされる。


「指舐めて。これがお仕置き」


差し出された手の指を見つめる。

綺麗な指だ、爪が薄く光ってる。


「パン買ってこい」

「……私をナメてなんて言ってない。あんまりふざけてるともっと違うとこ舐めさせるよ?」

「す、すみません」


またピキらせてしまった。

言われたことが唐突過ぎてギャグに走ってしまったことを反省する。


しかしこれがお仕置きになるのだろうか?

どちらかと言えば、愛花先輩の方が嫌だと思うのだけど


「ドキドキしちゃ駄目だからね」

「分かりました」


平常心で指を舐めることを求められた。

特訓は終わりだと言っていたけど、きっとこれはお仕置きと特訓を兼ねている

愛花先輩は、お仕置きと言いつつ自分を犠牲にして私を鍛えてくれるんだ

だったらその献身に応えるしかない


勇気を出して愛花先輩の中指の先端に唇を付ける。


「それじゃ駄目、ベロで舐めて」


口を軽く開け、僅かに舌を出してチロっと触れた。

人前で舌を出すのって恥ずかしいな。


「もっと出して」


言われた通りに舌をもっと出して、愛花先輩の指の腹に触れた。

自分が今、キモい顔をしてないか心配になる。

出来るだけ顔を見ないで欲しい


「そのままペロペロして」


一呼吸置いてから意を決して舌を出し入れする。

時折、音を出してしまって恥ずかしい

平常心でこんなことするなんて無理だ


「横も舐めて」


顔を少しずらしてから横も舐める

舐めるたびに愛花先輩の指が濡れた

自分が可憐な先輩を汚してしまっているようで、はしたない気分になる。


「咥えて」


顔を正面に戻して指の先端をパクっと咥えると、愛花先輩の指が少し奥に入ってきた。

咥えてとしか命令されてないのに反射的に舌が動く

えっちなことは嫌いだと思ってたはずなのに


「……噛んで」


命令の内容に驚いて、指を咥えたまま上目遣いで愛花先輩の顔を見る。

目が合った瞬間、先輩の瞳孔が開く


急に指を引き抜かれたので、軽く歯に当たって痛かったが、それ以上に指と舌の間に一瞬出来た唾液の線が気になった。


愛花先輩は無言で濡れた指を見つめている。

気持ち悪くさせちゃったかも

特訓なのに、あんな気分になっていたことが見透かされた?


「えっ?」


ハンカチで愛花先輩の指を拭こうとしたが、先輩は指を自分の唇の前にもって行き、ぺろっと舐めた。

暫く舐め続けてから今度は口に咥えてちゅうちゅう吸い出す。


唖然としながら眺めていると、愛花先輩の動きが止まり、指を口から出した。

正気を取り戻したかと思ったが、それは違った。


「痛っ!」


強く肩を押されて押し倒される。

倒れた時に跨がれてしまったので動けない

愛花先輩は私の肩を抑えながら譫言のように呟いた。


「………いいよね?」

「な、何がですか?」

「喰べちゃっても良いよね?」

「食べるって……」

「奈凪ちゃんが悪いんだからね」

「お、怒らせたなら謝ります」

「奈凪ちゃんから誘ってきたんだから私は悪くないよね?」


その一言で、自分がどんな顔をしているのか分かった

無理矢理、表情を変えて愛花先輩に向ける。


「愛花先輩、私の笑顔どうですか?練習通りに出来てますか?」

「……笑顔」

「そう、笑顔です。誘ってないですよね?誘ってない子を食べちゃったらダメですよ。今度は私が愛花先輩にお仕置きしちゃいますよ」


愛花先輩の瞳孔が元に戻る。

私からさっと離れた先輩は壁を背にしてぺたんと座った。

ほっとしたのも束の間、先輩はブラウスのボタンが外れそうな勢いで脱ぎ出す。


「噛んで!ここ噛んで!お願いだから!!」

「え、え、え?」


躊躇したが、このまま大声を出され続けて誰かに見つかるのはまずいから、言われた通りに指で示された首筋を噛むことにした。


「もっと強くして!痛くしなきゃ駄目!」


目を瞑ってから歯を立ててカリッと噛む


「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」


愛花先輩の謝罪に驚いて口を離すと「そのまま噛み続けて」と言われる

さっきより落ち着いた声だったので、指示に従って噛み続ける。

噛み続けてる間、先輩はずっと謝罪を口にしていた。




「……もう大大大、ありがとう。前兆は無かったんだけど、奈凪ちゃんの顔見たら取り込まれちゃったみたい」


愛花先輩にとんとんと肩を叩かれ、先輩から離れた。

首筋に私が付けた跡が鮮明に残ってる。


「って、人のせいにして最悪だね。私」

「そんなことないですよ。せっかく対策教えて貰ってのに忘れてた自分が悪いんです」

「悪いのは『禁忌』を犯した私」

「愛花先輩は『禁忌』犯してないです。私が嫌がる所、どこも触っていないですよね?」

「奈凪ちゃんに怖い思いさせちゃったのは事実だよ。麗奈に言ってくるね」


立ちあがろうとした愛花先輩を抱き止める。


「二人だけの秘密にしましょう」

「もうこれ以上『罪』を増やしたくないの」

「愛花先輩にどんな罪があるのか分かりませんが、悪いと思うなら私の分の罪も背負って下さい」

「……セリフちょっと上手くなったね」

「惚れました?」

「奈凪ちゃんのばか」


私の冗談に気が緩んだのか、愛花先輩はそのまま身体を委ねてくれた。

暫くそのままにしていたが、綾坂から着信があったので部室に戻ることにする。




「それどうしたの!?」


部室に戻った途端、綾坂から声を掛けられる。

愛花先輩の跡が見つかったのかと思ったが、綾坂は私の額を見つめている。

どうやら「ドビーは悪い子」ってした時にたんこぶを作ってしまったらしい


「自分でやった」


綾坂の視線が私の前髪の髪留めから離れる。


「ホントっぽいんだけど!なんでそんなことしたん?」

「なんとなくボケで」

「ボケでそこまで体張るナー!!」


信じてくれないだろうと思ったが、意外にもあっさり信じてくれた。

愛花先輩の顔を盗み見ると、少し笑っていて安心した。

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