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還暦厄災記  作者: 蘭鍾馗


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19/20

【後厄の7】兄の失踪、もしくは帰還

十月末のある晩、電話が鳴った。


九時頃だ。

私の場合、こんな時間に掛かってくる電話は、経験上碌な用事ではない。


出てみると、電話の声の主は、田舎の家がある地区の自治会長だと名乗る。

いやな予感がする。

いや、詐欺とかではなくて、もっと面倒なやつ。


「○○町のお宅は、今誰も住んでいないはずだと思うが、家の明かりがずっと点いている。誰か中に居るようだ。警察を呼んで確認したいが良いか?」みたいな内容。


はい、宜しくお願いします。


あれだ、兄だ。


一時間くらいしてから、再び電話が鳴る。今度は警官からだ。お疲れ様です。

「中に人が居ました。貴方のお兄さんだそうで、アパートを引き払って戻って来たんだそうです。本人確認がしたいので、この電話で声を聞かせますから確認して下さい。」

確認した。兄である。


頭、痛い。

家を売りに出しているのは知っているはず。なのになんでまた戻って来るのか。

まさか・・・ボケてきたのか?


あと、引っ越した時に電気も水道もガスも止めた筈だが、なんで電気が点いているのか?


実は、兄がアパートから失踪して戻って来るのは、これで3回目なのである。なんか、引っ越し先のアパートで気にくわないことがあるらしい。

こういう時、今までは田舎にいる姉が対応して(こんこんと)説得してくれたのだが、その姉がこの間突然認知症なってしまい、頼れなくなった。なので、私が対応するしかないのだ。


でも、実家は九州、私は東京。田舎遠すぎ。すぐには対応出来ない。義兄に頼るのもなかなか難しいだろう。

あと、兄が私の話を聞く気があるかという問題があって、これが実は一番厄介だったりする。


ああっ。

どうすんだよ。


本件、まだ解決していません。






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