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還暦厄災記  作者: 蘭鍾馗


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14/20

【後厄の2】姉、認知症になる

2023年、私は還暦を迎えました。でも、還暦は厄年でもあって、この年、私の身の回りで様々な厄介事が起きることになってしまいました。私自身にとっては今見ても頭痛の種でしかないのですが、他人が見たらちょっと面白いかもしれない。そう思って、日記をネタ帳に、私の還暦の年に起きた厄災をまとめてみました。還暦の厄年、あなたは大丈夫でしたか?

 五月のある日。夜、義兄より電話。姉が急に認知症になったらしい。今、入院中だと。この間、玄関を出た所で、そこから一歩も動かなくなってしまったのだとか。


 ええ?


 そういえば、姉と最後に会話したのは、一月半ば頃だ。その時は普通に会話できていた。

 ただ、なんとなく違和感があったのを覚えている。

 何というか、話が少しくどかったのだ。

 その時は、何か愚痴モードだったのかな、と思っただけだったのだが、今になってみると、あの時から少々おかしかったのかも知れない。


 でも、認知症って、進行が割とゆっくりした病気じゃなかったっけ?そんなに急になるものなのか?


 とりあえず、私が九月の頭に帰省予定なので、その時に義兄と食事をしながら、この件についてゆっくり話を聞くことになった。


 九月某日、義兄と某ホテルのレストランで食事をした。

 その時に、姉の認知症について義兄に話を聞いた。

 主治医の話では、いわゆるアルツハイマー型ではなく、ちょっと特殊なタイプの認知症にかかってしまったらしい。

 話を聞いて、私が理解した限りのことをまとめると、こうだ。


 体の免疫システムが暴走して、脳細胞のシナプスの「つながり」を攻撃する。

 脳細胞自体は攻撃されないが、シナプスの「つながり」が損傷するので、その部分の記憶が無くなる。そこで、脳細胞はそれに対抗しようとして、新たなシナプスの「つながり」をどんどん作ろうとする。すると、それが「偽の記憶」になってしまう。

 つまり、記憶が消える一方で、新たな偽記憶がどんどん作られるという、ちょっとやっかいなタイプの認知症らしいのだ。

「つまり、リューマチの脳みそ版みたいなもの?」

 そう聞くと、まあ、そんな解釈のしかたもあるか、みたいな顔をしていたので、まあそんなに間違った解釈でもないようだ。

 症状は出る日と出ない日があって、出ない日は普通に会話出来たりするらしい。


 その翌日、朝から田舎の家や土地などの様子を見て回った後、夕方、姉が入院している病院で義兄と待ち合わせ、一緒に見舞いということになった。

 その日は、症状の出ない日だったようで、拍子抜けする位普通に会話できた。

 話が出来て良かった。


 でも、もしかしたら、これが姉との最後の会話になるかも知れない。

 この件について、私にできることはもう何もないので、そうならないよう祈るしかない。


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