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83. 取り戻した日常


昨夜は大変な騒ぎだった。俺が天下統一とか叫んだばっかりに、ちっこいオッサンが騒ぎだした。やらないから無理だしね、と話しかけても踊りは止まらない。夜明けまで騒いでいたのだ。庭はテオの縄張りとか言っていたが、テオは小屋から出てこなかった。精霊はいいのか。


表面上の平和を取り戻した朝がやって来る。食堂にはエレノアとエンジュがいた。


「ユキツネ、陛下?遅いよ。最近朝寝坊し過ぎじゃないの。ちゃんと起きてご飯食べなきゃだよ」


「おはようございます陛下?ご飯がなくなっちゃいますよ」

ー何故二人とも陛下が疑問系なんだ。あとエンジュ、普通の人は朝はパンとスープがあれば取り敢えず平気だと思うぞ。どうやらエレノアが余分に頼んだ物を貰っている様だ。今は食料が制限されているからね。


しかしいつも通りの二人にホッとする。気を抜ける相手がいるのが嬉しい。だがこんな光景もそろそろしおどきだろうか。王様が食堂にいるのは多分良くない。別の部屋で食事するべきか。その話をエレノアにすると。


「ええー、ユキツネ食堂に来なくなるの?普通の王様がしないから。だってこの国は普通なんて存在しないよ。南国の王様も皆と食事するって聞いたよ」


「そうか………… 俺は形にこだわり過ぎかな。なんか平均とか、常識って物につい捕らわれてしまうんだ」


「普通じゃない国なんだから普通にしなくてもいいでしょ。エルフだって別の場所に行けば全く違うもの」


「ユキツネ様が王様で良かったって私は思ってます。お仕事が苦手な私でもこうして雇ってもらえているし」


この国がいい国だって思ってくれている人も沢山いるんだ。俺はどうしても形にこだわってしまう。どのみち他と同じには出来ない。我が道を進まなくちゃだな。


最近は新しく国営の店が出来た。主に魚人族の捕ってきた魚や干物、いわゆる海鮮を扱う店だ。海鮮と言っても生は余り出回らない。週に一度仕入れるのでその時に鮮魚があれば出せる。海藻もまだ馴染みが薄いので、徐々に馴染んで貰うべく店頭で簡単な調理販売している。


客の前で作る事で食べ方を提案しているのだ。店員は客に聞かれれば食材の食べ方を教えられる様にしてある。商品の中で人気なのはフルーツゼリーだった。


寒天を使ってジュースを固めるだけだが、店頭に並べば直ぐに売り切れてしまう。魚屋って感じじゃないな。魔石を使った冷蔵庫が設置されているから、出せるのだが。一般の家庭では冷蔵庫は無いからゼリーは店でしか食べられない。


こうして海藻や魚に馴染んでもらい、海の幸が浸透していく事だろう。


それにしても立派な国になったもんだ。最初は城だけがあって無人の街が出来た。究極のぼっちにも耐え、エルフがやって来た。ドワーフも来た。何故か王様になっちゃったけど、国としての形は整った。後は余所から付け入れられないように、警戒して国を守る。


そしたら次の王様を探すんだ。俺はひっそり引退してスローライフを楽しむ。次の王が困った時には手を貸せばいい。




俺の役目はほぼ終わったんじゃないか。









━━━━━━ そんなの駄目よ ━━━━━━








誰かが囁いたんだ。





十人の小人、一旦の区切りとして暫くお休みします。少し書き貯めてから再開したいと思います。


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