東の国
風呂上り、シュンは先に待っていると、ユキミ達もやって来た。
「それじゃ、牛乳でも飲みましょうかね」
シュンは買っておいた牛乳を仲間に渡す。
受け取ってチフリは言った。
「意外と気が利くんですね」
シュンは「余計なお世話だ!」と返す。
ユキミは渡されて、素直に言った。
「ありがとう」
顔が湯で火照って、赤みがちなユキミが、少しだけはにかんだ笑顔で言うので、シュンは慌てて目を背ける。
「いいってことですぜ」
そんな空気の中で、サキタマは騒ぎ始めた。
「ワシは! ワシの分は!!」
シュンは面倒くさそうに牛乳を押し付ける。
「ほらよ」
「くぁー!! うまいのじゃ!!」
シュンも牛乳を飲む。冷たさとまろやかさが身に染みた。
「銭湯で牛乳ってのは東の国の文化らしいが、いい文化を持ってきてくれたもんだ」
そこで、ユキミが頷く。
「私も東の国出身だが、温泉を出たら牛乳を飲んでいたな……」
しみじみと昔を思い出す。
シュンは天井を軽く見上げて言った。
「温泉か、いつか入ってみたいもんですなぁ」
「く、く、来るか? 私の国に……」
ユキミに言われ、はははとシュンは笑う。
「そうですね、行ってみたいもんですわ」
今度は、ユキミが俯きながら言った。
「といっても、私の国は雪国で、雪と温泉しか無いが……」
「良いじゃないですか、雪と温泉! ユキミさんの国のこともっと教えてくださいや」
教えてくれと言われ、ユキミは話す出す。
「う、うむ。私の国は、寒いので作物があまり育たなくてな。ソバやりんごが名産でな」
「ほうほう」
「私は小さい頃から、そばを食べすぎて嫌になった……」
ユキミの言葉にシュンは笑う。
「食いすぎて嫌になることってありますわな! 俺も海の近く出身なんですがね、魚ばっかり食べて嫌になったことありますわ」
シュンの海と言う言葉にユキミは目を輝かせる。
「海か!? 海の近く出身なのか!? 私、海を見た事が無いんだ! どんな風なんだ!?」
急に身を乗り出して食い気味で言ってくるので、シュンは驚いた。
それを見てユキミはテンションがしおしおになる。
「あ、すまん。つい……」
シュンは笑い飛ばして海について教えてやった。
「海はどこまでも水があって、広くて、いい所ですぜ」
「やはりそうなのか!」
「冒険者として一段落ついたら行ってみましょうかい?」
ユキミはまたも目を輝かせる。
「行きたい! 行ってみたいぞ!」
そこでサキタマが割って入る。
「ワシは水が嫌いだから行かんぞ」
シュンは真顔で返す。
「安心しろ、お前は連れて行かない」
「何かその言い方はムカつくのじゃー!!!」
シュンとユキミはクスクスと笑う。




