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努力で生き抜くこの世界  作者: こっさむ
第八章 ひとりではない学び
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書く数と任せる先

ご覧いただきありがとうございます!

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それでは、どうぞお楽しみください。

夕食後、寮の机に4枚の共有票を広げた。


翌日の実習では、班を組む前に自分ができることと苦手なことを書き、役割を決める。氏名、Lv、基礎ステータス、技能、経験、交代条件。どこまで公開するかは本人が選べるが、書いた内容に嘘を混ぜることは禁止されていた。


「固有能力は空欄でもいいんだね」


ルシアスが注意書きを指でなぞる。俺は自分の《ステータス》を開き、《超越》と《超回復》の欄で目を止めた。説明するには、限界を越えた経緯や、死にかけたあとの回復まで話す必要がある。班の役割を決めるために必要な情報ではない。


「俺は書かない」


「僕も持っていたとしても書かないかな」


エリオットが軽く答え、ローディも頷いた。


「空欄は嘘じゃない。公開しないって決めた欄だろ」


「でも、危険に関わることは書く」


俺は固有能力を空欄にし、共有する項目を書き込んだ。


---


レオン・アルヴェイン


12歳


Lv24


冒険者


筋力45


耐久48


敏捷54


魔力20


精神46


《格闘術 Lv4》


《剣術 Lv6》


《回避 Lv6》


《走行 Lv5》


《不屈 Lv5》


《観察 Lv5》


《魔力操作 Lv4》


《魔力放出 Lv1》


《生活魔法 Lv1》


《水操作 Lv3》


《戦域把握 Lv5》


《追跡 Lv3》


《風操作 Lv3》


技:《誘導歩》


魔法技:《風弾》《水弾》《水鞭》《風圧》


---


3人の手が止まった。


「多いとは思ってたけど、書かれると多いね」


エリオットが自分の票を隣へ置く。


---


エリオット・レイフォード


12歳


Lv18


筋力36


耐久33


敏捷49


魔力15


精神38


《剣術 Lv6》


《回避 Lv5》


《走行 Lv4》


《観察 Lv3》


《不屈 Lv3》


《魔力操作 Lv2》


---


技能の数は俺より少ない。


「剣術は同じだ」


「数字はね」


エリオットは鞘に入れた細身の剣を膝へ置いた。


「剣だけでやるなら、僕が前に出たい。レオンは剣の途中で足も手も魔法も使う。でも、僕は剣を抜いてから納めるまで、剣の間合いを崩さない練習をしてきた」


「俺より上だと思ってる?」


「剣だけなら。総合なら、今は君の方ができることが多い」


嫌味ではなかった。俺も、以前に何度も剣だけで負けた動きを覚えている。同じ《剣術 Lv6》でも、積んだ中身は同じではない。


ルシアスの票には、次の項目が並んでいた。


---


ルシアス・フェルド


12歳


Lv14


筋力17


耐久20


敏捷23


魔力43


精神33


《魔力操作 Lv1》


《魔力放出 Lv5》


《生活魔法 Lv1》


《水操作 Lv1》


《風操作 Lv2》


---


「魔力43……」


「レオンの倍以上。でも、昨日見た通りだよ」


ルシアスは《魔力放出 Lv5》の横へ、開始が速い、大量に出せる、と書く。その下に、少量維持、弱化、分岐、停止が苦手、と加えた。


「できることだけ書いた方が強そうには見える」


「でも、それで少ない量を任されたら困る」


「僕も困るし、班も困る」


最後にローディが票を中央へ押し出した。


---


ローディ・ガーン


12歳


Lv16


筋力39


耐久44


敏捷21


魔力9


精神36


《盾術 Lv5》


《運搬 Lv4》


《不屈 Lv4》


《観察 Lv3》


《格闘術 Lv3》


---


本人は魔力9の横へ小さく線を引き、《盾術 Lv5》を二重に囲っていた。


「前なら守れる。横と後ろは見える奴に言ってほしい。足場が悪いときは先に止める。走って追う役は向かない」


「魔力を使う課題なら?」


「別の役を探す。昨日みたいに全体を見るか、道具を運ぶ」


4枚を並べると、基礎ステータスも技能も同じ形にはならなかった。俺は剣、格闘、回避、魔法、観察、追跡を書ける。3人より多くの役割を担当できるように見えた。


「これなら、班が変わっても俺が足りないところへ入れる」


そう言うと、ローディが俺の票を指で叩いた。


「足りないところ全部に入るつもりか?」


「必要なら」


「剣はエリオットの方が上だって話をしたばかりだろ」


ルシアスも自分の票を持ち上げる。


「最初に大きく出すだけなら、僕の方が早い」


「盾の正面なら俺だ」


ローディが続ける。俺は3枚を見直した。俺にも剣があり、水と風を動かせて、攻撃を避けながら周囲を見ることもできる。だから担当できる。しかし、担当できることは、その範囲で一番適していることと同じではない。


エリオットが俺の共有票の余白へ、縦線を1本引いた。


「左に『できること』、右に『先に任せる相手』を書けば?」


「自分の票なのに、他人の名前を書くのか」


「班で使う票だからね」


俺は《剣術 Lv6》の右へエリオット、《魔力放出 Lv1》の右へルシアス、正面防御の右へローディと書いた。どこまで任せ、何が起きたら交代するかは、明日、課題を見て決めればいい。


自分ができることを増やすために、俺は長く訓練してきた。だが、書ける項目の数は、抱える役割の数ではなかった。

お読みいただきありがとうございました!

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感想や「ここが良かった」といったご意見もお待ちしております。

それでは、次回の更新でお会いしましょう!

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