↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
努力で生き抜くこの世界  作者: こっさむ
第二章 才能の壁
PR
16/257

レベルアップ

ご覧いただきありがとうございます!

よろしければ、この話の読み終わりにでも【ブックマークへの追加】や【★★★★★評価】をポチッと押していただけると、今後の執筆の大きなモチベーションになります!


それでは、どうぞお楽しみください。

目を覚ましてから、二日。


まだ左腕はまともに動かせなかった。


傷口はゼノが処置してくれた。噛まれた場所は深かったらしい。


「骨は無事だ」


包帯を巻き直しながら、ゼノが言った。


「運が良かったな」


「……うん」


運が良かった。本当にそれだけだと思う。


あと少し牙の位置が違えば。あと少し剣が遠くに落ちていれば。今ここにはいない。


「しばらく左腕は使うな」


「どれくらい?」


「最低でも数週間」


長い。


「走るのは?」


「まだ駄目だ」


「剣は?」


「駄目だ」


「魔法は?」


「寝ろ」


全部駄目だった。


仕方なく、俺はベッドの上でステータスを開いた。


そこで、初めて違和感に気づいた。


――――――――――


名前:レオン・アルヴェイン


年齢:8


Lv11


職業:なし


筋力:18


耐久:20


敏捷:20


魔力:6


精神:20


技能:


《格闘術 Lv1》


《剣術 Lv4》


《回避 Lv4》


《走行 Lv4》


《隠密 Lv3》


《運搬 Lv4》


《解錠 Lv2》


《不屈 Lv5》


《観察 Lv2》


《魔力操作 Lv1》


《魔力放出 Lv1》


《生活魔法 Lv1》


《水生成 Lv1》


特殊能力:


《超越》


――――――――――


「……?」


もう一度見る。


Lv11。


戦う前はLv9だった。


「ゼノ」


「なんだ」


「レベル上がってる」


ゼノはこちらを見もしなかった。


「そりゃ上がるだろ」


「二つ」


そこでようやく顔を向けた。


「ホーンウルフを一人で倒したなら、それくらいはあり得る」


俺はステータスを見直す。


Lv9からLv11。


筋力は16から18。


耐久は17から20。


敏捷は18から20。


魔力は5から6。


精神は18から20。


技能だけじゃない。数字そのものが増えている。


「レベルが上がると、ステータスも上がる?」


「今さらか?」


「ちゃんと考えたことなかった」


ゼノが少し呆れた。


「お前、技能ばっかり見てるからな」


それはそうかもしれない。


鉱山では、拳が上手くなることしか考えていなかった。ゼノと会ってからも、剣術、回避、走り方、魔力操作。ずっと技能ばかり見ていた。


通常レベルは、気づけば上がっている数字という感覚だった。


「いい機会だから説明してやる」


ゼノが椅子を引いて、ベッドの横へ座った。


「技能レベルと通常レベルは別物だ」


俺は頷く。


「技能は、その名の通り技術だ。剣術なら剣の扱い。格闘術なら身体の使い方。魔力操作なら魔力を動かす技術」


「通常レベルは?」


「生物としての基礎だ」


ゼノが俺の胸を指す。


「身体そのものが、経験を得て強くなる」


分かりやすい。


「筋力が上がれば、同じ剣を振っても重くなる。耐久が上がれば、同じ攻撃を受けても耐えやすくなる。敏捷が上がれば、動き出しや反応が速くなる」


「魔力も?」


「ああ。魔力の総量にも影響する」


俺は魔力6を見る。一しか上がっていない。他より低い。


「少ない」


「お前は魔力の伸びが悪いからな」


やっぱりそこも才能らしい。


「精神は?」


「恐怖や痛み、混乱なんかへの耐性に関わる。集中力にも多少影響する」


精神20。他と同じくらいまで上がっていた。


「じゃあレベルを上げれば、一番早く強くなれる?」


聞くと、ゼノは首を横に振った。


「そこまで単純じゃない」


予想通りだった。


「まず、何をしても同じだけ経験値が入るわけじゃない。自分より遥かに弱い相手を倒し続けても、ほとんど成長しなくなる」


「強い相手ほど多い?」


「基本はな」


ホーンウルフを思い出す。


大量の経験値。だからLvが二つ上がった。


「それに、レベルが上がっても技術は身につかない」


ゼノは壁に立てかけてある俺の剣を見る。


「筋力が二倍になった素人と、筋力が低い剣士が戦ったら、必ず素人が勝つと思うか?」


「思わない」


「そういうことだ」


身体の土台。技術。両方必要。


「逆も同じだ。どれだけ剣が上手くても、身体が追いつかなければ出せる力には限界がある」


なるほど。


だからゼノは走らせる。剣だけじゃない。体術も。身体作りも。全部やらせる。


「じゃあ、レベルと技能は両方上げた方がいい」


「そうだ」


ゼノが頷いた。


「ただし、もう一つある」


「何?」


「ステータスの上がり方も人によって違う」


また才能。


「同じLv10でも、筋力が高い奴もいれば魔力が高い奴もいる。生まれつきの資質や、それまで何をしてきたかでも偏る」


俺のステータスを見る。


筋力18。


耐久20。


敏捷20。


魔力6。


精神20。


かなり分かりやすい。


「俺、魔法向いてない」


「何回言わせる」


もう知ってる。



その日の夜。


身体の具合を確認した。


右手を握る。以前より少し力が入る。


脚。立つ。まだ傷の影響でふらつく。


でも、身体そのものが少し変わっている。


レベルアップ。


これまでにも何度かあった。


四歳でLv2。


鉱山でLv3。


七歳でLv6。


ゼノの修行でLv7。


八歳になる頃にはLv9。


でも、今まではいつ上がったのか、ほとんど意識していなかった。


日々の労働。訓練。脱走。戦闘。いろんな経験が積み重なって、少しずつ上がっていた。


今回だけは違う。


一度の戦いで大量の経験値を得た。だから一気にLvが二つ上がった。


「……強敵ほど経験値が多い」


独り言が漏れた。


その瞬間。


「馬鹿なこと考えるなよ」


隣の部屋からゼノの声がした。


聞こえていたらしい。


「まだ何も言ってない」


「顔で分かる」


「見えてないでしょ」


「声で分かる」


何なんだ。


ゼノが部屋へ入ってくる。


「強い魔物を倒せばレベルが上がる。だからもっと強い奴と戦おう、とか考えたんだろ」


「少し」


「やめろ」


即答だった。


「なんで」


「今回、死にかけただろ」


正論。


「レベルを上げるために死んだら意味がない」


「でも強い相手ほど――」


「経験値は多い。だから何だ」


ゼノの声が少し低くなる。


「強くなることと、無謀になることは違う」


黙る。


「実戦は必要だ。自分より少し強い相手と戦うのも必要だ」


ゼノは続ける。


「だが、勝率が一割の相手に十回挑めば一回勝てる、なんて考えるな」


「?」


「その前に九回死ぬ」


分かりやすい。


「お前の《超越》もレベルも、死んだら終わりだ」


「……うん」


「強くなりたいなら、生きろ」


ホーンウルフとの戦いを思い出す。


生きて帰る。それが本当の勝ち。


昨日、自分で思ったばかりだった。


「分かった」


「本当か?」


「多分」


「不安だな」



さらに三日後。


ようやく軽い運動を許された。


走るのは禁止。剣もまだ禁止。


だから歩く。


小屋の周りをゆっくり一周。以前なら何でもない距離。今は左腕の傷が痛む。


一周。休む。二周。休む。


焦らない。


傷が治るまでは、治す。それも修行。


ゼノに何度も言われた。身体を壊してまで続けるのは努力じゃない。


だから今は、歩く。


魔力操作。観察。頭の中で戦いを思い出す。


やれることだけやる。



十日後。


左腕を少し動かせるようになった。


ゼノが包帯を外して傷を見る。噛み跡はまだ残っている。


「剣は?」


「まだ片手だけだ」


「右だけ?」


「ああ」


「やる」


「軽くだぞ」


久しぶりに外へ出た。


木剣を右手だけで持つ。重い。両手で持つより遥かに扱いにくい。


「振ってみろ」


右足。腰。肩。腕。


振る。


ブレる。


もう一度。


ブレる。


「片手だと全然違う」


「当然だ」


ゼノが言う。


「ホーンウルフ戦では最後、右手一本で剣を使ったんだろ」


「うん」


「なら覚えておけ」


そういう修行か。


「武器を失う」


ゼノが一本指を立てる。


「片腕を負傷する」


二本目。


「足場が悪い」


三本目。


「相手が想定外の動きをする」


四本目。


「実戦じゃ、いつも万全とは限らん」


俺は木剣を見る。


確かに。あの戦いでは全部起こった。


「だから、これからは崩れた状況での戦い方も教える」


「怪我したまま?」


「治ってからだ」


残念。


いや。


残念じゃない。



一か月後。


傷はほぼ塞がった。


左腕には牙の跡が残った。少し動かしにくいが、剣は握れる。


その日、久しぶりにステータスを開いた。


――――――――――


名前:レオン・アルヴェイン


年齢:8


Lv11


職業:なし


筋力:18


耐久:20


敏捷:20


魔力:6


精神:20


技能:


《格闘術 Lv1》


《剣術 Lv4》


《回避 Lv4》


《走行 Lv4》


《隠密 Lv3》


《運搬 Lv4》


《解錠 Lv2》


《不屈 Lv5》


《観察 Lv2》


《魔力操作 Lv1》


《魔力放出 Lv1》


《生活魔法 Lv1》


《水生成 Lv1》


特殊能力:


《超越》


――――――――――


Lv11。


ホーンウルフを倒す前より、身体の数字は確実に上がっている。


でも、俺は知っている。


あの魔物ともう一度戦えば、今でも簡単には勝てない。


数字が二つ増えたからといって、死にかけた経験がなかったことにはならない。


むしろ、あの戦いで一番大きかったのはレベルじゃない。


自分がどれだけ弱いか。何が足りなかったか。それを知ったことだ。


「レオン」


ゼノが木剣を持って立っている。


「今日から実戦形式に戻す」


俺も木剣を構えた。


「百回?」


「いや」


ゼノが笑った。


「今日は十回でいい」


珍しい。


「その代わり」


嫌な予感。


「俺は片手しか使わん」


「……それなら一発入れられる?」


「無理だな」


腹が立つ。


踏み込む。


右から斬る。


ゼノは左手だけで木剣を動かした。


軽く受け流される。


そのまま額を打たれた。


「痛っ」


一回目。


強くなったはずなのに、何も変わらない。


いや。


違う。


起き上がる。


今の動き。前より少し見えた。


レベルが上がった。身体が強くなった。技能も積み重なっている。


でも、それを戦える力に変えるには、まだ練習が必要だ。


「もう一回」


構える。


ゼノが笑う。


「来い」


俺は踏み込んだ。


通常レベル。


技能レベル。


ステータス。


経験。


全部必要だ。


どれか一つだけじゃない。


その全部を積み上げて。


俺は強くなる。

お読みいただきありがとうございました!

「面白かった」「続きが気になる」と思っていただけましたら、画面の下(または目次ページなど)にある**【ブックマーク登録】と、【★★★★★評価】**で応援していただけると本当に嬉しいです!


感想や「ここが良かった」といったご意見もお待ちしております。

それでは、次回の更新でお会いしましょう!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。