第二章第一節-Ⅲ YOU
[YOU]
2014.5.26 10:12:32 羽暮ビル跡地拠点
side:ミア・エイプリル
やはり、性急だっただろうか。
鴉那さんは呆気に取られた様子でこちらを見つめてくる。
だけど、時間的猶予はどこまであるかわからない以上、少しでも情報共有はしておかなければ。
こういう時だけはよく当たる第六感が、あまり余裕はないと告げてくる。
「……嫌な予感がする。
カレン。顔合わせは終わったし予定通りあなたは周囲の警戒を。もしかしたら目覚めたことで向こうに漏れ出ているかもしれない。
カタリナは最悪の場合を考えて備品の回収と1番から5番まで待機状態にしてきておいて。
それが終わり次第警戒に回って、もし何かおかしな反応があったらチャンネル148.42で回して頂戴」
「了解」
「OKよ」
「よし、解散」
周りのことは二人に任せよう。
改めて、少しでも私たちと、鴉那さんを取り巻いてる状況を共有しないと。
「ごたついてて申し訳ないですけれど、私たちの今の状況と何故鴉那さんが狙われているのかを、私たちが分っている範囲でお伝えしようかと」
「あ、アナでいいよ?毎回さん付けで固く話すの大変かなと思って……」
「ありがとうございます……アナさ……アナ。
なかなかなれませんね……
では気を取り直して、アナ。まず私たちの生い立ちから、少し長くなるかもですけど聞いてもらえれば。
敵襲は来たら即応体制になりますのでアナさんは誰かと脱出してください。大丈夫そうですか?」
「そんなに差し迫ってヤバい感じなんだ……?」
「ええ、残りが数分か数時間か数日かはわかりませんけど、そう遠くないうちには間違いなくくるかと。
ここは完全に私たちだけしか知らない拠点ですけど、おそらく今回で潰されるでしょうね」
「……そこまでして、私を助けた意味があるの?
少なからずリスクを背負ってるように見えるけれど」
「あります。私たちの血縁上の親というだけではなく、おそらくあなたは、特異点になりうる存在ですから」
「特異点……?」
「ええ、あくまで私の推理による可能性の域は出てませんけれど。
だからマスター……いえ、麗子は貴方を消そうとしたのだろうと、あらゆる可能性を秘めたあなたは、危険因子だと判断して」
「ええっと、可能性?」
「ええ、これから話すのは私たちの過去、そしてそこから私の考えた仮説です。
なので、正確かは分かりませんが……最悪の場合、この国の人間は麗子にコントロール下に置かれかねない、そういうレベルの話なのです」




