↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/58

第一章第三節⑨ Made in Japan

[Made in Japan]

2014.5.21 10:47:23 星見里研究所内部(廊下)

side:神空 鴉那


間一髪だったね。

目の前の降りきったシャッターの向こうにいたら、きっと越えることはできなかっただろう。

……あれ、でも、私が逃げた時、こんなシャッター降りてたかな?

「なあアナ」

「どうしたの?」

「さっきの地図が手元にないんだが、持ってたりしないか?」

「ううん、持ってないかも」

「っちゃあ……やらかしたか……すまん、ここからは地図がねぇ」

月夏でもそんなドジするんだ。

「大丈夫、この先は私も何度も連れて行かれたところだから」

第三試験室。

様々な技能試験も行われた、叶うならもう2度と踏み入れたくない場所。

でも、その先にあの人影が、師匠につながる可能性があるんだから。

「もう、戻ることもできないからね」

「だな……覚悟決めっか!」

カードキーの認証システムは……非常灯で赤い廊下に、ポツンと水色の画面が浮かんでいる。

あそこが、第二試験室の入り口。

「月夏、あそこが入り口だね。キーカードは無くして無いよね?」

「そっちは大丈夫だ。ほら」

暗いけど、割れてる様子などはなさそうだった。

「うん、大丈夫だと思う。

……もしかしたら、奴らがでてくるかも……ううん、きっと出てくる。

月夏、覚悟はいい?」

「ここまできてできてないとでも?」

「ふふっ、それもそうだね。

行こう、何が待ち受けてるとしても」

カードキーを翳す。

CHECK……ACTIVATED.

ドアが開いた。

エアロックは……今は機能してないね。

ただ、その先のドアを超えたら、何があるかわからない。

内潤卦を全身に、ショクバミで右腕を鉤爪に……ありとあらゆる可能性を考えて備える。

「先鋒は私がいくから」

「おう……任せた」

後ろは大丈夫。だから、前だけを見極めろ、アナ!

左手に逆手持ちしたライトを構えながら、第二試験室の通路に入る。

真っ暗な試験室内だけど、不気味なほどに何の気配もない。

敵はおろか、ネズミ1匹さえも。

……おかしい、静かすぎる。

「……妙に静かだな」

「うん、でも気を抜かないで」

壁を背にして一歩ずつ横に進んでいく。

奥からも、第三試験室側からも、気配は感じない。

何もないのか、それとも罠なのか。

細心の注意だけは欠かさぬようにしながら進み続ける。

カツン、カツン……

足音だけが響く中、ついに第三試験室との連絡ゲートまで何事も起きなかった。

「なあ、アナ」

「しっ、ちょっと確認するから警戒してて」

「お、おう」

ドアに耳をあてるが、ゴォォォという低い音しか聞こえない。

先程同様、カードキーは認証され、ドアも開いた。

「ふぅ……で、何かあったの?月夏」

「いや、何か感じなかったか?なんというか、視線のようなものを」

「視線?……ごめん、わからなかったかも。

でも、この状態で少しでも違和感があったら、多分何かあると思う。

月夏、多分、この先も何もないなんてことはないと思う。

進む準備は?」

「おう、任せとけ」

頷いて返す。

第三試験室への、ドアが開いた。


嫌な意味で、懐かしい光景だった。

部屋の半分は稽古場になってて、残りの半分にはコンピューターがたくさん。

いつもわからない画面をチカチカと照らしていた。

そしてなにより、一番奥にある貯水槽には、今も蛍光色じみた色の液体がなみなみと入っている。

それらが、蛍光灯に照らされて、あの日と変わらない光景を映し出していた。

……そう、隣の部屋は停電しているというのに。

人がいないということ以外は、何一つ変わらない、忌々しい場所のままだった。

「……行こう、この奥が、第三倉庫だから」

連れ込まれて、嬲られた記憶もある、あそこへ……

なぶられ……ズボン……やめ……

落ち着け!今はフラッシュバックなんかしなくていい!

落ち着け私!!

「大丈夫か!?」

月夏に肩を揺すられて我にかえる。

「あ、ごめんね……うん、大丈夫。

行こう、もう目の前に……」


バギィ!


突然背後、さっき通ったばかりのドアから異音が響く。

「月夏!散開して!」

左腕で突き飛ばし、自分も右へ飛ぶ。


バギ、ゴリ、ガリリと異音が響き、ついにドアも変形し、破られた。

そこにいたのは、これまでの奴らよりもずっと大きい、そして何よりも肥大した腕部が特徴的な新手だった。

「ミュータント……」

月夏がポツリと漏らす。

それに呼応するように声にならない叫びをあげる化け物。

その敵意は……何故か月夏に向いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。