表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アナリティクス・プロジェクト  作者: 神空鴉那
第一章 第二節
17/26

第一章第二節① Fall in the web of SpideR

[Fall in the web of SpideR]

2014.5.19 23:18:24 姫ノ舞市郊外

side:白波 月夏


「よかった無事だな」

家から1ブロック先にある駐輪場は無事だったようで、愛車は一昨日置いたところに鎮座していた。

流石に歩きで県北に行くのは無謀すぎるし、何よりあの家の状態だ。近くだとすぐに警察に捕まって事情聴取されてそれどころではなくなるだろう。

ガソリンは……よし、これだけあれば中継の町までは着ける……よな?

「アナ!こいつで行くぞ!昌樹(あのバカ)のヘルメットだからサイズが合わなきゃ申し訳ないが!」

イグニッションをかけつつ鴉那に半ヘルを渡す。一瞬きょとんとする鴉那。

「えっ……と?」

「あ、もしかして2ケ……タンデムは初めてか?座って振り落とされないようにしがみついてりゃいいんだが」

「月夏にしがみついておけばいいの?」

あー……少し想像して思考が停止した。

「そーだなー、行くまでに怪我しちゃいけないからなー」

後ろに野郎しか乗せたことねぇからその辺ぬかった!

「……なにか、問題があるの、かな?」

こちらの棒読みに不安そうに尋ねてくるが、ただ自身の経験値の低さによるショートなのでそこまで気落ちさせても申し訳ない。

一度深呼吸を挟む。

「すまない、大丈夫だ。俺もさっきので疲れてるし、アナも同じだろ?少し乗り心地は悪いかもだが、これで進む方がいいんじゃないか?」

「そうだね!じゃ、しっかり捕まってるから!」

そう言って密着する鴉那。

「そ、そこまでじゃなくても落ちねぇからさ!!」

そんな無防備な鴉那に、理性が急ブレーキをかける。

まだ原付は発進していないのに急ブレーキというのも変な話ではあるけども。

果てしない情けなさを感じつつ、少し協議して腰に手をまわすことで落ち着き、そのまま夜へと駆け出した。


休憩を挟みながらもなんとかスマホで調べた目的としていた場所に辿り着いた。

浮寺(うきでら)町、星見里(つきなし)方面へ向かうバスの始発駅のある町。

姫ノ舞(ひめのまい)はかろうじて地方都市のラインだが、ここは本当の田舎町。

月も雲に翳り、自動販売機とわずかな街灯の光だけが灯る、本当に暗く寂れた町の趣があった。

だが、それ故に出来ることもある。

「着いたぞ」

「ん……」

少し眠そうだな、もう丑三つ時も近い時間だし、何より先の戦いでの疲労はバカにならないのだろう。

俺自身も、かなり疲労感は溜まっている。

「一旦原付はここに置いていく。今日のところは、公園で少しでも休ませてもらおう」

始発まではもう4時間ほどある。少しでもお互い休んでおきたい。

「わかった……」

少しうつらうつらとしている鴉那に肩を貸しながら、近くの公園のベンチへ腰かける。

「ん……月夏……」

おそらく半分寝てるのだろう。すごく眠そうな声。

「そこに、いて……ね……」

と言うと、寝息を立て始めた。

……これもしかして動けないやつか?

とはいえ、起こすのも可哀想だし、肩を貸すしかなさそうか。

……側から見たら仲のいいカップルなのだろうか。

警察のパトロールが来ないことを祈りつつ、とりあえずスマホで時刻表とマップを眺める他なかった。


明け方前に鴉那を起こし、休憩したコンビニで買っておいたおにぎりと飲み物で朝飯を済ませた後、俺たちは駅まで戻ってきていた。

東の空が白み始めた頃、通りの向こうからディーゼルエンジンの重い音が聞こえてきた。

「来たな」

星見里行きバス。

他の乗客は見当たらず、自分たちだけが薄明るいバス停に立っていた。

「あのバスに乗ったら、師匠に……」

「そうだな、きっと会えるさ」

その時はきっと、遠くない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ