親友曰く、
よろしくお願いします。
親友視点です。
私の親友はとっても可愛い。
本人含めて、表情に出ない、なんていうけど。
私からしたら、あんなに分かりやすい女の子はいない。
表情に出にくいからって特に意識してないからだろうけど、嘘がない、というか、嘘が分かりやすいのだ。
その上、口から出るのは素直な言葉だから、私みたいなのにとっては、たちが悪い。
★
世の中全部嘘まみれ、皆精一杯どろどろなものに飾り付けて取り繕ってる。
なんて、当時中学生の私はストレートに厨二病だった。それも斜に構えて恥ずかしいやつ。
でも仕方ない。
パパもママも友達も、皆そうだった。
『今日は早く帰るから』
早かったことなんて一度もない。
『いつも頑張ってるの知ってるわ』
ろくに喋ってないよね。
『私達、親友だもんね!』
ごめん、誰?
当然私も本音なんて言わなかった。
うん、そうだね、分かった。なんて笑って言えばそれで皆満足するから。
そんな時に出会ったのが、後の親友である。
はじめて会った時の印象は、なんだこいつ気持ち悪いな、だった。
だってそうだろう。
本当に表も裏もない奴が、なんでここまで無垢に生きているんだ、なんて思っていた。
そう、分かってる、私は厨二病だった。
しかも今の私からすれば、もし炸裂すればとんでもなく厄介なタイプだったと思う。
壊そう、と思った。
誰も信じられなくなるくらいに壊して、穢してやろうと思った。味方なんて誰一人いない状態にして、最後の最後に私が裏切ったらどんな顔するんだろう、そんな風に思った。
無理だった。
私の放つ言葉の裏の意味とか正確に分からない癖に、こっちがちょっと体調悪い時にはすぐ気付くし、親友だね、なんて嘯いたら喜色満面この世の春だ、なんて顔でも態度でも言葉でも言ってくるし、私のペースなんてすぐに崩れた。
その純粋さに浄化されたせいで、私が耐えられなくなって意地悪をしようとした、なんて懺悔したら悲しそうにしながらも『話してくれてありがとう、そういう風に思われてたのは知らなかったけど、一緒に居て楽しかったのは本当だから、まだ友達で居てくれる?』なんて言ってくるのだ。
私は涙ながらに『親友になってください!お願いします!』と土下座した。コンマ数秒以下の判断だった。多分これが最速です。
それからは本当に親友になった。彼女は心が広すぎる。
とはいえ、最初からペースを乱されてた私は特に何か変わるようなことはなく、普通に遊んで過ごした。
なんてことはない、浄化されて暗黒面から光堕ちしただけで、多分最初から私は彼女の厄介オタクだったのだ。
★
そんな彼女に恋人が出来た。
相手に嫉妬はしたが、高校時代にゴミみたいな奴らのせいで彼女の自己評価は大分低くなっていたから、浮かれた彼女を見て安心する方が強かった。
ちょっとしたことに一喜一憂する姿を見て、中学生か?なんて思ったりしたけど、多分それが彼女達のペースなんだろう。微笑ましく私は親友の恋路を見守っていた。
彼女から紹介された(誰かに紹介するのははじめてだったらしい、親友でよかった)恋人はちょっと頼りなさそうだし、なんか拗れた恋愛してそうだな、なんて思ったりもしたけど、彼女のことを大切にしていたのは見て分かったので、私は安心していた。
私の親友を任せるね、この屈折した想いはゴミ箱にシュートしてくる。
なんて思っていた当時の私を殺したくなったのは当然だった。当時の私も今、目の前の光景を見たら同意する筈。むしろ早く殺れ、と言うだろう、私は詳しいんだ。
なんで、私の親友がずぶ濡れで泣いてるんだよクソ野郎。
★
雨の日に、電話があった。
それも割と遅い時間に。
強がっているのが分かる声に嫌な予感がした。
「ごめんね、こんな時間に、お風呂も借りちゃったし。車も濡らしちゃった」
「何言ってんの?むしろ呼ばなかったら激怒してたよ!グーだよ、グー!パーじゃない!」
たかだか車を濡らしたくらいでなんだ、泣いてる親友の為なら私の愛車も本望だろう。
「……聞かないの?」
「話したいなら聞く、話したくないなら聞かない、安眠出来るように抱きしめたげる。子守唄もつけよう」
私のテキトーな言葉にようやく頬を綻ばせた親友はポツポツと話し出す。
めちゃくちゃムカつくので思い出したくはないが、私には泣いてる親友を抱きしめるくらいしか出来なかった。
「それで、もう無理だと思って別れてきちゃった。家近いから傘もいらない、なんて強がりも全然知らない人にしちゃったし」
「そっか、まあ無理なら仕方ないよ。そういうこともある。私がいるから家も実質近いし」
「なあにそれ」
「取り敢えず、私の気が済むまで泊まってくこと!これ決定ね!……嫌でも泊まらせるから」
「ううん、助かる……一人だと、どうしても辛いから。ありがとね」
珍しく弱々しい親友を見ると悲しくなる。
笑わせてあげたいし、泣かせた奴らをぶん殴って這い蹲らせたくなる。
同時に、あの時私が一瞬でもやろうとしていたことの結果が目の前になったことで、背筋が凍って寒気がする。悍ましいとすら感じる。
正直なところ、私は親友に屈折した想いを抱いている。
今のところ、それを告げるつもりはない。私を親友だと頼ってくれてるから。一般的じゃない、って否定的な人がきっと多いから。
なにより、断る時にはきっと申し訳無さそうにするのが分かるから。
どんな時でも笑顔で居て欲しい、悲しむ顔を見たくない、なんて言うつもりはないけど。
好きな人の笑顔が見られるなら、まあ、満足だ。
親友─────松田さんの親友
はい、名前を考えるのが苦手です。
実花姉さんとか考えるくらいなら親友の名前考えればよかった。




