戦場で 主信じる 蒼生の
「……主様」
蒼生軍の女戦闘員たちは、整然と隊列を組み、静かにその瞬間を待っていた。
前方にそびえるのは、神聖国リュシオンの鉄壁。
幾重にも重なる法撃陣。
整えられた絶対防衛線。
その威圧は、万の刃よりなお鋭い。
肌が粟立つ。
肺が震える。
空気そのものが、異物へ変質したかのようだった。
これが――戦場。
生と死が、理不尽なまでに隣り合う場所。
「……っ」
わずかに揺れた吐息。
緊張により高まる鼓動が、全身へ脈打つ。
だが、誰ひとり視線を逸らさない。
彼女たちは蒼生軍。
恐怖に従う者ではない主に従う者たちだ。
そして――その主は今、この絶望的な戦場を覆そうとしている。
静かに。
だが確実に。
大気の流れを読み。
敵の思考を読み。
幾重にも策を巡らせながら。
その背には、一切の迷いがなかった。
だからこそ、感じる。
戦場で、“何か”が動き始めていることを。
「……始まる」
思わず漏れた声。
美女戦闘員たちも、息を呑む。
主の視線は、ただ前だけを見据えていた。
その瞬間。
神聖国の布陣が、ほんのわずかに揺らぐ。
一瞬。
本当に、一瞬だけ。
だが、それで十分だった。
――噛み合った。
主の戦略が。
胸の奥が熱を帯びる。
恐怖ではない。
忠誠。
昂揚。
そして、勝利への確信。
「主様……どうか」
彼女たちは、すでに覚悟を終えていた。
この命も。
この身も。
この戦場すらも。
主の言葉ひとつで、刃へ変わる。




