踊り娘舞剣士少女の対峙と信じる決意
「草薙さん――」
ごくり、と。
ビキニアーマー舞剣士踊の少女は、小さく喉を鳴らした。
目の前に広がるのは、神聖国の防衛陣。
幾重にも重なった結界。
隙なく配置された法撃陣。
そして、侵入者を“絶対に通さない”という意思そのもののような、冷たい軍勢。
まるで世界そのものが拒絶している。
――ここから先へは行かせない。
そう傲然と言い放つかのような、圧倒的布陣だった。
ぶるり。
少女の魅惑的な肉体が、小さく震える。
踊り子装束の奥。
まだ幼さかおる身体が、戦場の気配に怯えるように硬くなる。
わかってしまうのだ。
ここは、本物の戦場だと。
脅しではない。
見せかけでもない。
この先に待つものは、死。
積み重ねられてきた屍。
流され続けた血。
祈りも、叫びも、願いも踏み潰してきた“神聖”の力。
受け止める感受性の強い彼女には、それが嫌というほど伝わってきた。
空気が重い。
大地が、染み込んだ死を覚えている。
息を吸うたび、胸の奥が冷たくなる。
それでも――少女は唇をきゅっと結んだ。
震える指を握り締める。
「……でも」
小さな声。
けれど、その瞳には確かな光が宿っていた。
「草薙さんなら、きっと何とかしてくれる」
言い聞かせるように呟く。
その名を口にした瞬間、
胸の奥に散りかけていた勇気が、わずかに熱を取り戻した。
少女は深く息を吸い――
すっと背筋を伸ばす。
踊り子として鍛えた身体が、静かに構えを取る。
恐怖は消えない。
脚だって震えている。
それでも彼女は、前を向いた。
草薙の背を信じるように。
そして、自分もまた戦うのだと――
その小さな身体に、覚悟を宿して。




