聖枢の脅威
並ぶ――聖餐の少女たち。
戦の法装に身を包み、
静かに跪く乙女たちの列は、まるで祭壇そのものだった。
その表情には一切の曇りがない。
唇がわずかに開く。
零れ落ちるのは、祈り。
それは清らかな旋律でありながら、
どこか歪んだ響きを孕んでいた。
祝福と破壊。
慈愛と殲滅。
相反する概念が、
同じ歌の中で溶け合っている。
――神に捧げるには、あまりにも美しく。
――人を殺すには、あまりにも澄み切っていた。
◆
その中央に立つ存在。
【聖枢騎士】
ただそこにいるだけで空間そのものを支配する。
それは象徴。
神聖国の意志、その具現。
少女たちは一斉に頭を垂れる。
「ご命令を」
「神聖国の名の下に」
重なり合う声。
それは祈りであり、
同時に、絶対服従の宣誓だった。
その瞬間――世界が、静止したかのように沈黙する。
◆
次の瞬間。
光が弾ける。
その姿はまるで、
天上より降りし使徒。
だが――その進む先は、救済ではない。
音はない。
だが確かに、響いている。
それは――“歓喜の歌”。
祈りの旋律。
祝福の調べ。
そのすべてが、
殺戮のために紡がれていく。
天へと届くその歌は、
同時に地上へ死を降らせる。
◆
そして――最前列。
聖枢が、わずかに口元を歪めた。
それは笑み。
慈愛でも、祝福でもない。
ただ純粋な、愉悦。
「ああ……」
低く、満ちる声。
「日本人を焼くのは――久しぶりだ」
その一言とともに。
聖歌は、より一層高らかに響き渡った。
まるで――殺戮そのものを祝福するかのように




