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扉の先
そこは異界へと通じる扉と呼ぶべき領域だった。
この先に待つのは、常識では測れぬ存在。
ただ近づくだけで、総身が震える。
――“彼”がいる。
暴走した力を制し、己のものとした異形の存在。
その気配が、確かにこの奥から流れ出ている。
(……行く)
一歩、踏み出す。
逃げる理由はない。
退く道もない。
ならば――正面から、貫くのみ。
瞬間、光が身体を包み込んだ。
転移。
ほんの刹那の出来事――
だが、その過程で。
「……ッ!」
無数の光景が、脳裏を駆け抜けた。
断片。
ほんの一欠片に過ぎない。
だがそれは、この先に待つ存在が辿った記憶――
地獄としか呼びようのない、凄惨な過去の一部だった。
血。
叫び。
崩れ落ちる世界。
常人であれば、目を逸らさずにはいられない。
それでも――彼は、目を逸らさなかった。
その苦痛も、絶望も、すべてを見据える。
この先にいる存在を、理解するために。
そして――光が、収束する。
視界が開ける。
そこは、深奥。
“彼”の存在が待つダンジョンへいく




