表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界最強になった俺、史上最強の敵(借金)に戦いを挑む!~ジャブジャブ稼いで借金返済!~  作者: リキッド


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/418

王都にて 18

お待たせしました。

 魔族にも階級制度が存在する。人間達のそれとは微妙に異なってはいるものの公から男までの五爵と名誉爵とされる一代限りの爵位がある。力こそが全ての基準である魔族だが、寿命は人間などと比べ物にならないだけに家がもたらす権力と名誉は想像以上に大きい。


 単純にいるかどうかも解らん魔王とやらを頂点に爵位によって強さが落ちてゆくものと考えていいが、当然の如く例外も存在する。それが昨夜戦ったハルトマンとかいう銀髪の魔族だった。そういえばレイアが昨日名前を口にしていたな、今思い出した。


 奴は侯爵相当の家格ながら次代の魔王筆頭と目されるほどの力を有していた。膨大な魔力とその制御、そして固有の魔法により並ぶ者がいないと分かると、途端に増長したという。


「問題は奴を止める者がいなかったことだ。奴の家は思いもかけぬ吉兆に浮かれ、奴の行いを全て容認し、諌める者を力で叩き潰してきた。どんな正論も所詮は力あるものが全てを支配する魔族の掟には逆らえんということだ」


 俺の前の席でスコーンをバクバク食べながら憤懣やるかたなしといった感じのレイアが吐き捨てた。


「で、俺が奴の死を隠すことを協力することに何の関係があるんだ?」


「そこからは私個人の話になる。私の家は数代前の爺様が戦で武勲を立てた事で得た、こちらでいう騎士爵みたいなものに過ぎないのだが、不運なことに不釣合いな力を持って生まれてしまった。両親は喜んでくれたし、昔の私も無邪気に喜んでいたよ」


 これ長くなる流れかな、と思ったのが顔に出たのか、レイアはすぐに終わると首を振った。そいつは失礼した。


「当時、既に図に乗っていたハルトマンの奴に目をつけられたのは60も過ぎたころか、奴は初対面の私に自分の子を産めと迫ってきたよ。自らの優位を確信している傲慢な面は今思い出しても殺意が沸く」


 そのカップはホテルの備品だ。割るなよ、暇なときに〈鑑定〉したらセットで金貨3枚もしたんだからな。

 それにしても60歳か。解っちゃいたが改めて口にされると種族の差は凄いな。あの口振りじゃ60でもまだ小娘みたいな印象を受けるし、今のレイアも20代前半に見える姿をしているのだ。


「当然、奴の無用に高くなった鼻をへし折って追い返してやったが、それ以降奴の執着はさらに酷くなった。家の権力を公然と使用してこちらに圧力をかけてきた。無論我が家も武門の誉れ、易々と膝を屈するはずもないが、既に当家を離れた元家人が数人変わり果てた姿で送られて来た時に抵抗の無意味を悟った」


 ホテルの使用人が気を利かせて新しい茶を持ってきた。レイアは洗練された仕草で礼を言うと話を続けた。リノアもその境遇に思う所があるのが、黙って話を聞いている。


「それからは大して変わらん。奴は私を気に入った装身具のように扱い、私はそれを粛々と受け入れた。それがもう100年ほど続いたが、昨日劇的な変化が起こったというわけだ」


 彼女はこちらを見て口の端を吊り上げた。昨日見た彼女を俺は氷の美貌と評したが、今の彼女には強い情念が感じられる。よほど鬱憤が溜まっていたのだろう。話を聞くに数百年だ、そりゃあ色々と積もるだろう。

 

 それにしてもレイアがそのハルトマンとやらに従っていた理由もいまいち分からない。こうして相対しているとわかるがどう見ても彼女の方が遥かに格上に感じる。それを尋ねると陰のある微笑を浮かべた。


「勿論隠れて研鑽を積んだのさ。隙を見て何度殺してやろうかと思ったことか。だが、性根の腐った奴に限って小心なもので、私の前では隙を見せなかった。力で押すだけなら圧倒できる自信があるが、奴には厄介な魔法がある」


「君も見ただろう。奴はありとあらゆる距離を無にしてしまう。奴自身の家に伝わる最秘奥で転移魔法と呼ばれているが、効果は剣を交えた我が君が一番分かっているはずだな」


「あれは移動系の魔法なのか。気配もなく突然現れるから難儀したよ」


 ああ、アレやっぱり転移なのか。セラ先生が俺の修行をつけてくれた時に使った移動手段だ。相手が使うとどうなるのか感覚がわからなかったので確証がなかったが、俺が対応できたのは<構造把握>と<空間把握>を十全に使い地下聖堂内の空気の流れでさえも把握できたからだ。先生は魔導具を使って転移していたようだが、奴は自身の能力でそれを行っていたらしい。あの魔族、そう考えると結構凄い奴だったのかもしれないな。

 俺があの転移魔法に対処できたのは、スキル込みの第六感じみた予測と、もう一つの理由だ。


「初見で転移に対応し、あまつさえあの屑の首を狩った方の仰る事とは思えぬが、奴は持って生まれたその力と習得した転移魔法だけで蹂躙できるほどの実力だったからな。だがそれゆえに修練を怠った。自らを超える力を持つ相手と殺しあう経験がなかったからその技能を磨く必要を感じなかったのだろう。無様なことだ」


 レイアの言うとおり奴の一番の敗因は、単純に未熟すぎることだった。強大な力とはいえ単純に振り回すだけではただの的だし、転移魔法も馬鹿の一つ覚えの様に相手の背後ばかり狙っていた。俺があっさり倒してしまったがレイアによると戦闘ではほぼそれしか行っていなかったようだ。


 俺ならば<転移>を時間差で使い、その挙動をずらしたり相手の動きを誘ったりして惑わせるな。いきなり目の前に転移して虚を突くのもいい。強力な一撃はそれだけで相手を誘導できるしあえてそれを見せることで警戒を促し、それにより他の手段も活きてくる。

 奴がそういった小技を好む性格には見えなかったが案の定そうらしい。全てにおいて自分を上回る格上の相手と戦った経験がないんだろう、こういった引き出しは苦戦しないと思いつかないからな。

 逆に俺はそういう考えが染み付いているように思える。自分に関する記憶は全くないが、いかに相手を出し抜いて勝つことばかり考えているからな。


「魔族は致命傷を受けても回復する手段があるのだが、それを行う間もなく死んだ。君が張った<結界>のおかげで転移を使えず、遠くに逃げられなかったせいもあるが私にとってこれほど都合のいい話もない」


 ようやく本題に入ってくれるようだ。長い前置きだったが、俺は魔族とはいえ女性は言いたい事を全部言わせてしまった方が結果として話が早く進むとの経験則を持っている。特に相棒は、その……アレなのだ。


 気を遣ったリノアが席を立った。元々昨夜中に戻るはずがこちらについてきてしまったのだ。店のみんなも心配しているだろう。彼女にはまた後でウィスカに戻る際の土産も相談しているので、後で店による予定だった。



 話を戻すが、俺は昨夜彼女と<誓約>を交わしてる。<誓約>と言うと大仰だが、内容は大したものではない。


 ここに魔族が現れたことを口外しないこと、ハルトマンの死体を俺の〈アイテムボックス〉に保管すること、期限は彼女が望むまでとする。その二つのみである。

 こちらのデメリットはこの死体は中々の価値がありそうなので売り飛ばせないのが残念だった。が、約束を反故にするほどではないし、口外しない件に関しては元々そのためにかなり強い〈結界〉を張って隔離したから今更だった。グレンデルの件がやっと終ったと思ったらその後で魔族が来襲したなんて話になったら大騒ぎどころではないからな。

 相棒には既に伝えて了承をもらっている。そのことをレイアに尋ね、渋々ながらも受け入れてもらった。

 

 彼女としてはこの件を知る人物は限りなく少なくしたかったが、俺とリリィはお互い今何をしているのかが大まかに分かるので既に意味はない。隠そうと思えば隠せるが、意図的に隠せば逆に怪しんでくれといっているようなもので俺はしていない。


「私にとって有難いことにあの<結界>の中はありとあらゆる外部からの力を遮断していた。例えどんな変事があっても誰も気付かないほどに。そして君の〈アイテムボックス〉に死体が隠されていれば奴は行方不明だ。誰も死んだなどは疑わんよ」


「そこまで都合よくいくのか? 流石に何年も現れなければ疑う奴が出るだろう」


「人間の時間の単位で考えてもらっては困る。我々の世界では十年程度など瞬く間に過ぎるものだよ、それにたとえ数十年所在不明でも奴ならば……と思う奴も少なくない。本質的にどうしようもないほど子供なのだ、あの馬鹿は。親からまともな教育を受けていなかったのだろう。でなければ人間の国に約千年ぶりに大悪魔が現れたと感じて、調査もせずにいきなり一万数千キロルの距離を転移して直に見に行くなどという馬鹿を普通はしない」


 魔族の国ってそんなに離れているのか。というか一万数千キロルを転移するってとんでもない能力じゃないのか。俺はそちらが気になったが、レイアは自分の思いつきに夢中だった。


「筋書きとしてはこうだ。奴は人間の国で現れた悪魔を自分で使役すべくこの地へ向かったが運悪く取り逃がしてしまう。業を煮やした奴は逃げた悪魔を追うが、途中で私を置いて転移してしまった。転移距離がかなり離れていて私は奴を探すこともできずその場で待機することにしたが、いつまで待てども帰ってこないため、単独で帰還をすることにした。奴の家にはそう報告するさ」


「それを向こうは信じるのか? かなり無理のある話に聞こえるが?」


「問題ない、似たようなことが既に4回ほどあった。私が苦労して戻れば奴は一人で既に戻ってきて私を遅いと罵る。あの時は漏れ出しそうになる殺気を堪えるのが大変だった。

 それにハルトマンが殺されたなどと言われてすぐに信じる奴はおらんよ。戦っているところを誰かに見られているならばともかく、それくらいに奴は有名だったし死体が出てこなければどこかをほっつき歩いていると判断される男なのさ。君が生きている間は迷惑をかけないと約束する」

 

 確かにすぐに帰ろうと思えば転移魔法で帰れるのだから心配する奴も少ないのか。こちらに害はなさそうなので放っておいていいが、もうひとつ気になっていることを聞いてみた。


「それは分かったが、君はこれからどうするつもりなんだ? 俺は約束を違えるつもりは無いが、俺の監視でもするつもりかい?」


 レイアは昨夜俺の頼み通りに地下にあけた大穴から派手に飛び出してもらった。さらに、いかにもな悪魔の翼を生やして見せつけるように王都上空を飛び回ってくれたらしく公爵から説明を求められて困ってしまった。その時は魔法でそれらしい物を飛ばしてますと言い訳をしたが信じてくれたか怪しい所だ。

 その後、リノアが先にレイアを見つけ、行く所が無さそうなのでホテルに呼び込んだ形だ。


「いやなに、先ほども説明したが私は奴の帰還を待っている設定だろう? 一応数ヶ月はこの地で動かずに待っていたほうが真実味があると思う。その間君に礼をしたい、具体的には行動を共にしたいのだ。なに、これでも私は物分りはいいほうだ、あの屑の都合のよい女を百年以上も続けていたのだからな。どんと任せておけばいい」


 なに言っているんだろう、この人。俺としたことが一瞬思考停止してしまったぞ。ただこの人完全に善意で言ってくれているのはこの曇りのない笑顔で分かる。初めての印象がアレだったが、今は頼れるお姉さんという雰囲気だ。だが、どうしようか……。


「それに私はこう見えて色々と見聞を重ねている。伊達に人より長く生きているわけではない。色々と役に立ってみせるぞ。君もその若い姿で不似合いなほどの力は色々と苦労があるだろう、経験豊富な私なら細かい所まで手を貸してやれるというものだ」


 こちらが断る理由が思い浮かばない提案に思わず頷きそうになったが、俺の一存では決められない。〈念話〉でリリィに聞いてみるが、色よい返事はもらえなかった。


<絶対にダメ!! ユウに変な女は要りません!!>


 と、取り付く島もない。どう断ったものかを悩んでいると、食堂の扉が勢いよく開き、相棒が突撃してきた。は、さっきまで王城にいたはずなんじゃ……。


「これは初めまして。私はレイア・クリストン。昨夜この少年に全てを救われた者だ。君の事は見ていたよ。こちらの少年とは深い繋がりがあると解っているから、邪魔をするつもりはない。ただ、彼に恩を返したいだけなのだ」


「あんたは私が見える魔族なのね。その肌の色も珍しい、魔族は深い色の肌ばかりだと思ってたわ」


 レイアが差し出した手をリリィは躊躇なく取った。大きさ的に手の上に手を載せた感じになってるが……それよりも俺は背後が気になっている。リリィが突撃して入ってきたからちょっとした騒ぎになっている。いきなり重厚な両扉が勢いよく開いて、誰も入ってこないのだ。さらに芸術品のような両扉だったから使用人が色々調べている。いや、相棒がすいません。


「ちょっとユウ、どっち向いてんの! ユウが持ち込んだ話でしょ!」


 リリィの声に振り向くと……話がついたのかな?


「特例中の特例でレイアを認めることにしたわ。よく考えれば私じゃできないフォローも期待できるし、断る理由を探す方が難しいしね」


 それさっき俺が考えてたよな……俺の考えはリリィも伝わってたと思うが、口には出すまい。


「君は本当に興味深い人間だな。相棒が妖精というだけでもかなり珍しいが、取り巻く状況はそれ以上だ。退屈だけはしそうにないね」


「ユウといると驚く暇がなくて逆に冷静になるくらいよ」


 ある程度俺の情報をレイアに流したらしいリリィが頷いている。その評価は酷くないかい、相棒よ。


「悪魔を倒す話がいきなり上位魔族を倒している人に言われたくないわ。しかも一人たらしこんでるし」


「流れ的にそうなっただけだって。狙ったわけじゃない」


 こっちだっていきなり現れて驚いたんだ。転移魔法なんて訳のわからない方法でやってきた連中にどのように対処しろというんだ。


「相棒の了承が取れたのならこちらとしても不満はない。短い期間かもしれないが、よろしく頼むよ」


「こちらこそよろしく頼む。改めて我が君と呼んでいいのかな?」


「そんなものはいらない。ユウでいいよ、その代わりにこちらのレイアと呼ばせてもらう」


 差し出した手が握り返される。さて、この件はこれで落着だな。


「これでも予定が詰まっているから俺はもう行くが、君達はどうするんだ?」


「私はソフィの元へ戻るわ」


「ふむ、そうだな。この街を色々見回ってみるのも良いかな。予定を聞いたが、もうこの街にはあまり長居はしないのだろう?」


「ああ、殆ど終わってるから後は戻るだけさ、尤も最後にして一番大きな出来事が君達だったけどな」


「違いない。私もまさか人間の町を見て回る日が来るとは思いもしなかったよ」


「大丈夫だと思うが、一応正体が露見しないように気をつけろよ。そういえば、金は持っているのか? 見回るにしても先立つものはいるだろう」


 俺は〈アイテムボックス〉から金貨の詰まった袋を放り投げた。あの暗殺者どもから奪った金の残りだ。

たしか三十枚ほど入っていたはず、当座の金としては十分だろう。銀髪の魔族を放り込んだあとで所持品を調べてみたが、金貨銀貨はあったものの大きさが違っていてこちらで使えるとは思えない。使えたとしても出所を疑われるか、相当足元を見られる事は間違いないからレイアが自分の金を使わないほうが良いだろう。


 咄嗟に受け取ったレイアが中身に気付いて断ってくるが取り合わずにホテルを出た。レイアにリリィが何か言っているようだが、


 予定外の人物に時間を食ってしまったが、俺は本来の予定であるリットナー家に向かうことにする。





 貴族街は昨日の大騒動などなかったような閑静さに包まれていた。だが、よく周りを見ると要所に人が立っているのが分かる。平静を保とうとする公爵の手の者だろう。昨日の出席者は騒がしい野次馬などにはならないだろうが、万事手を抜かない公爵らしさが窺えた。


 もはや勝手知ったるリットナー伯爵家のバックドアから入り込み、メイドたちや家宰に挨拶をしながらバーニィの居場所を聞く。彼は庭にいるらしいので向かうと俺が昨夜開けた大穴を覗き込んでいるバーニィを見つけた。


「よう、昨日はおつかれさん。調子はどうだ」


「俺は大したことしてないよ。むしろそっちが大丈夫か? とんでもない数の魔法を使っていたじゃないか」


 こいつは謙遜してるが昨日は一人で10体近い悪魔を完全に制圧し、グレンデルをその手で討ち取っているのだ。その事実を知っているのは俺とクロイス卿ぐらいなものだが、それがどれほどとんでもない事かいまいち理解していないようだ。


 やはりこいつは外の世界に連れ出すべきだな。自分もかなり世間知らずだと解っちゃいるが、バーニィもなかなかのもんだ。


「俺はいつもどおりだ。ウィスカのダンジョンに潜ってる日は魔法をこれくらいは使うからな。その穴は小さすぎたかな? 加減がわからなくて適当になっちまったが」


「とんでもないよ! あの後の祝賀会でも芝居だって事信じられなくて本当にグレンデルが逃げ去ったんじゃないかって疑った奴が結構いたくらいだよ? 公爵閣下が上機嫌だったからみんな信じたようだけど」


 そりゃ孫娘が生贄にされて機嫌いいはずがないからな。事情を知る人間でもそう思えたということは部外者たちはなおさらだろう。暗黒教団とかいう連中の件はこれで済んだと思ってよさそうかな。これ以上俺ができることもないし、後は偉いさんたちの仕事だ。


「これでもう教団本部の干渉はなくなるんだろ?」


「ああ、元々兄さんが枢機卿に昇進すれば防げた話だったんだ。兄さんの昇進を嫌がったグレンデルがやって来た所に運悪くシルヴィア様が……っていうのが今回の話だからね」


「ああ、初めて会ったときのお前、死にそうな顔をしてたもんな」


「そりゃね、自分の首でどうにかなる話じゃなかったから。アンジェラまで巻き込んでしまったしね」


 そういえばあのメイドとは訳アリっぽかったな。戻ったバーニィがガチ切れしていたし。


「じゃあ後は昇進を待つだけか、それが決まれば安泰だな」


「ああ、上手くいけばね……」


 バーニィの顔があまり冴えないので事情を聞いてみたら、どうも強力なライバルがいるらしい。その枢機卿を決める選挙があるようだが、その他国の相手は財貨を惜し気もなくばら撒いて票の取り纏めを図っているようだ。バーニィの兄貴も当然指を咥えて見ているはずもなく、王国や公爵の支援を得て巻き返しを図っているようだが芳しくはないのだろう。


「いや、そんな心配することはないよ。兄さんは近々最高司祭と会談をするらしいんだ。兄さんは俺と違ってとても優秀だから、そこで逆転してくれるさ!」


 バーニィは強がっているのが丸わかりな態度だ。ここまできたら最後まで手を貸してやるのが人情ってもんだが、俺に何かできることがあるのか? 相手が金をばら撒いているらしいが、国が支援をするといっているのだ、借金持ちが出張る場面じゃない。となるとその会談が勝負の場だが……。


「そういや、その最高司祭ってひとは()()()()なのか?」


「うん、ずっと北の国の侯爵だって話だね。本部の頭おかしい連中は研究ばかりであんまり関わらないみたいだよ。知ってのとおり洗礼を受けちゃうと人間性がね……グレンデルが例外中の例外だったんだよ」


 確かに、公爵も原理主義派は基本閑職に飛ばしたと言っていたし、あの人形のみたいな奴らが組織運営とか無理すぎるな。ともかく、最高司祭がこちらの味方なのは確かなら、そこで何か手助けできそうな物は……これなんかどうだろう。


「伯爵は今こちらに?」


「ああ、書斎にいるよ。少し前にクロイス卿が来たからまだ話をしてるんじゃないかな」


「今、お会いしても平気だろうか?」


「むしろ、来たら案内するように言われたよ。家としては昨日からまだちゃんとした礼も言えてないんだよ?」


 呆れたようなバーニィと共に屋敷の書斎に向かう。案内もせずに場所がわかる俺を不思議そうに見ていたが、


「あそこだろ? お前と伯爵が儀式やめようって言い争っていた所だろ?」


「なんで知って……って、覗かれてたのか、気配なんて感じなかったぞ」


 バーニィは力なく肩を落とすが、確かに俺の<隠密>は目の前を通っても気付かれない領域のシロモノになった。だが、自らを鍛え上げた彼とスキルで手に入れた俺、このまま成長すればいずれ彼の方に軍配が上がると思う。


 そう慰めつつ、俺達は伯爵家の書斎に向かう。そこには二人の男が話し合いをしているはずだった。


 俺は朗らかな声で談笑する声が漏れ聞こえる部屋の扉をノックした。


 


 残りの借金額  金貨 15002532枚 


 ユウキ ゲンイチロウ  LV128 


 デミ・ヒューマン  男  年齢 75


 職業 <村人LV143〉


  HP  2084/2084

  MP  1454/1454


  STR 363

  AGI 341

  MGI 357

  DEF 332

  DEX 290

  LUK 208


  STM(隠しパラ)572


  SKILL POINT  505/515     累計敵討伐数 4699

楽しんでいただければ幸いです。


後日談長いです。ストックがあると思えば書き溜めができるという話でもありますが……


あと、もしかしたらタイトル名を変えるかもしれません。「借金返済しか」って話じゃないですからね。

むしろそれ以外を色々やってますんで。

この王都にて もいずれ相応しいタイトルつけようかと思っています。


次は水曜日に投稿できればと考えています。


最後になりますが、ブックマーク、感想を頂きありがとうございます。

本当に執筆の原動力となっています。楽しんでくれる方がいる限りこれからも頑張ってまいります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ