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世界最強になった俺、史上最強の敵(借金)に戦いを挑む!~ジャブジャブ稼いで借金返済!~  作者: リキッド


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王都にて 15

お待たせしております。

切りのいいところで終わったのでちょっと短いかもしれません。



 儀式が始まった。俺は今、目深にフードを被って膝を折っている。同じような格好をした奴らが他に三人、同じ体勢で控えている。役割としては従者、雑用、場の賑やかし、といったところか。居なくてもいいが、居ると場がそれっぽくなるのは確かだ。


 ここを選んだのは伯爵兄弟だ。立ち位置的に最もグレンデル高司祭と近い場所に位置しているからで、いつでも仕掛けることができるのが利点だ。連中が儀式を軽視しているから、こういったことはこちらの自由になる。おかげで邪魔される事なく周到な準備を整えているが、逆に敵の行動が気になる。いくら俺達を軽く見ているとはいえ、もう少し何か妨害があっていいのではないかと思えてしまうのだ。



 初見となる悪魔教団の儀式だが……大体想像の範疇だった。大掛かりな祭壇と篝火、それに何かの香を焚いているのだろう不思議な芳香が漂う中、俺の斜め前にグレンデル高司祭が低い声で何事か喋っている。

 

 殆ど雑音にしかならないので聞き流しておいてもいいのだが、俺は幸か不幸か<交渉>レベルが最大の10だった。この恩恵は相手との会話を有利に進めるというより、こちらの武器になる要素を見つける確率が大幅に上がるという系統だった。その一環で様々な言語を理解できるという副産物がある。話が逸れるが、俺は必要なかったので取得していない<多言語理解>というスキルがある。これ良いじゃないかとリリィに聞いてみた所、微妙すぎると駄目出しを食らった事がある。

 <交渉>の副次効果である理解と<多言語理解>は決定的な違いがある。たとえば”ライル・ガドウィン”という単語をランヌ王国とずっと北西にあるグラ王国の文字で書いたとする。文字は全く違うし発音もかなり変わるのが<交渉>では分かるが<多言語理解>では勝手にライル・ガドウィンと頭で翻訳される。生活するだけなら便利だが、微妙な違いが理解できない。自分の知っている文字と全く異なっているのに意味はわかるという状況になるらしい。

 

 そのお陰で俺はグレンデルが話している言葉が古エノク語だということを理解した。それが分かった所で何か出来るというわけでもないんだが……。ちなみに<多言語理解>が選ばれなかったもうひとつの理由は、既に<交渉>を最大値に上げ切った後だったことも挙げられる。

 どちらが優先的に発動するのかが解らないため、別に要らないよねとなった。


 

 何故この緊迫した状況でそんな事を考えているのかと問われれば暇だったのだ。バーニィが知らせてくれた予定表によると俺はこの体勢をあと一刻は続けねばならないのだ。いきなりグレンデルに接近するのは不自然すぎるから、ここで頭を垂れている事に文句はないが暇であることに変わりはない。リリィはソフィア達と楽しく話しているようで、こちらから声をかけるのも憚られる。



 焚かれている香は何らかの効果を発揮しているらしく、俺の<魔力感知>が周囲の状況を教えてくれる。詳細は分からないが、この地下の儀式の間(俺が始めて悪魔と遭遇した伯爵家の地下で、やはり地下聖堂だったらしい。正式には暗黒大聖堂というどっちだよと突っ込みたくなる名称だ)全体に濃厚な魔力が充満している。香りを出す香木か、あるいは器が何らかの魔道具なのかもしれないが、これは連中の持込みだった。我々のほうでは対処できない問題でフェンデル伯爵が不満を申し出たが、低俗な田舎者に本場の作法を教えてやると抗弁されては頷くしかない。やはり主導権は向こうにあるということか。

 この”主導権”という奴は本当に厄介で、これをどちらが握っているかで状況がひっくり返る。この儀式で我々がどんな対応策を見出そうとも、所詮はこちらは受け手にすぎない。敵の出方を見てからでないと対策が取れないのは仕方の無い事だが、本当に厳しい。


 自分たちで状況を作り出せる機会を決められる奴がいつでも主導権を握っている。教団の連中は必要ならこの儀式の内容を変更することさえ、やろうと思えば可能なのだ。それにこちらは従うほかない。自分の思う状況を相手に強いることができる”主導権”こそが、戦いで何よりも大事なんだと俺は思う。


 だからこそ、俺がその主導権どころか()()()()()をひっくり返そうとしているのだが。




 儀式の中盤に差し掛かったのだろうか、俺のこの体勢が若干辛くなってきた。しかし俺の周りの三人は慣れているのか身じろぎもしない。リリィもここの空気が本質的に合わないのか、大人しかった。

 さっき<マップ>で確認したが、ここには招待客が225人と伯爵家の者が34人存在している。客の中にはソフィアたちはもちろん、俺は顔を上げてないから見えないが公爵の姿もあるようだ。

 招待客の中には実に様々な顔がある。ソフィアを始めとする他国の人間やこの国で教団の存在を知る上級貴族たち、それに俺が呼んだリノアも大層粧し込んだ姿でやってきている。あいつ、あんな格好でまともに動けるんだろうか。俺は腕の立つ人物を呼んだのであって、舞踏会のお相手を呼んだのではないのだが。

 それに気になる奴らがチラホラいるな。この一件を見届ける役目の他国の人間だろうか、明らかに素人ではない気配を醸している奴も紛れている。なかなか面白い連中が集まっているようだ。


 クロイス卿は公爵から離れた壁際にいた。事が始まったらすぐ動き出せるようにしているのだろう。


 もちろん全てが万全にいっているわけではない。その筆頭がシルヴィアのメイドのアンジェラだ。昼間に早くこの場所を離れるようにと伝えているのに、<マップ>上では全く動いていない。シルヴィアは先程まで共にいたようだが、今はもう裏に控えている状況だ。間違いなく何かあったと考えるべきだろう。



 だが、俺にはそれを伝達する術がなかった。リリィと意思疎通はできるものの、彼女がクロイス卿やバーニィに事情を伝えることができない。二人はリリィが今のままでは見えないし、リリィも二人の顔を知らない。別行動を続けていた事がここで裏目に出てしまった、そして俺もここから今更動くわけにもいかない。


 <マップ>では存在を確認することはできるものの、それがどんな状況なのかを窺い知ることはできない。高望みしすぎだとは分かっているが、もどかしい事この上ない。死体ならば<マップ>に反応が無くなるので最悪の状況ではないと分かっているからそれだけは救いだ。



 何もできずに悶々としていると、主役たる生贄役のシルヴィアがやってきた。


 こちらの手の者に眠らされて横たわったまま祭壇の上部に横たえられた。

 目を引くのはその両手に枷が嵌められている事だろうか。随分と古めかしい枷だが、生贄に相応しい悲愴感を強く与えてくれた。ついでに客席から物凄い殺気が溢れてくる。出所は言わなくてもわかるだろう……心の底から憎む敵に自分の孫が手枷をされていたら、俺でもそうなるわ。


 殺気を感じたのであろう、グレンデルがその彫りの深い顔を愉悦に歪めた。貴族という存在を苦しめれば苦しめるほど奴の喜びになるのだろう。俺は既にこの件では心が冷え切っていて今更何も感じないが、このグレンデルという「破滅願望者」にさっさと終焉を与えてやるだけだ。

 それが誰にとっても救いになるだろう。




 シルヴィアが到着してから儀式は本格化したようだ。今までグレンデルだけ言葉を発していたが、今は側近たちも唱和している。この情景だけ見れば確かに悪魔教団らしく重厚で怪しい雰囲気が出てきたところだ。

 かなり煩くなってきたのにシルヴィアは覚醒する気配がない。薬か魔法で眠らせているのだろう。これから起こることを考えると好都合だ。幼い少女には衝撃的過ぎるだろうからな。



 場面的にはそろそろ煮詰まってきた所だ。間もなく仕掛けるのにいい頃合だな。大まかな流れとしてはバーニィが何かの騒ぎを起こし、全員の注目があいつに移ったときに俺が行動を開始する手筈だ。公爵と共にグレンデルへ恨み骨髄に徹しているだろうバーニィだ。絶対に最高の時期に仕掛けるに決まっている。


 バーニィは既に此方まですぐの位置に居て好機を今か今かと待ち構えている。俺は最後にシルヴィアの状況を確認するために<鑑定>をすることにした。もしすぐに起き上がれないほどの深い眠りに落ちていたら、バーニィに彼女を安全に避難させてもらわねばならない。魔法の眠りはいきなり覚醒させると後々後遺症が残る事があると”ヴァレンシュタイン”の皆から聞いたことがあるのだ。

 


 俺は<鑑定>を発動し、我を失った。



「貴様らァっっ!! 皆殺しだッ!!」


 俺は噴き上げる激怒と共に10人の側近たちに全力で魔力をブチ当てた。後先考えるほどの理性は残っていなかった。感情のままに自分でも制御できぬほどの魔力を放っていた。


「何をす…………ググ…ォアアアァアアアアァア!!!!!!」



 魔力そのものは実体のない塊だが、魔法の素養がある者なら何か当たったくらいの認識になる。だから俺が何をしたかは分かっても、これからどうなるのかは分からないだろう。


 彼らは狙い違わず苦しみだす。彼らが言う受肉、体が変質しだす奇怪な音が聞こえてきたが、俺はそれどころではない。誰よりも早くシルヴィアに駆け寄ると掛け値なしの全力で<オールヒール>をかける。遠距離でも魔法は効果を発揮するが、”手当て”の言葉通り、自分の手から直接行ったほうが”効き”は格段に違う。

 


「おお、悪魔だ!? 悪魔が降臨されたぞ!?!?」


「さすがグレンデル高司祭だ! 伝説は事実だったのだ!!」


「なんという雄雄しい姿だ……」



 背後で彼らを賞賛する声が止まない。教団の本懐を遂げた彼らを称えるのは当然だ。ただし、悲願だった悪魔化を成功させた彼らを褒めるのはこちらのサクラだ。既成事実という奴で、この状況を我々は歓迎しますよという意思表示を行っている最中だ。

 もちろん俺はそんな事を気にしている時間はない。もう既に5回、立て続けに最上位回復魔法(オールヒール)を唱え続けているものの、状況は好転する気配が欠片もない。


「グググォォォォォアアッ!」


「な、なにをされる!? 乱心か、お気を確かにされい!」


「オオオオオオオォアア!!」


 理性を失い暴れる悪魔共が周囲を破壊し始めた。始めは歓迎する素振りをしていた者達も、顔色を変えて逃げ始める。何人かは取り押さえようと試みるも虚しく弾き返される。


 これも全部仕込みだ。「涙を流すほど歓迎してます」よ、と全力演技中だが、あちらは向こうに任せる。こっちは本当に危険だ。



「ユウ、シルヴィア様はどうされたんだ?」


すぐ側に控えていたバーニィが駆け寄ってくる。本当なら彼が一番初めに行動するはずだったからその驚きは理解できるが、俺は立て続けに<オールヒール>を唱え続けている。


 全ては<鑑定>の結果によるものだった。



シルヴィア・フォレス・ウォーレン


 ヒューマン  女  年齢 7

 職業 <公爵令嬢>

  HP  2/23

  MP  11/11 

 

スキル  <魔法使いLV2><水魔法LV1><吸命LV9>

 


これ以降にも様々な情報の羅列があったが、瞠目すべきなのはHPと謎のスキルだ。消えかけている生命力と聞いたことのないスキル。俺はそのまま<吸命>を<鑑定>した。



  吸命  ランクAスキル


 対象の生命力を失わせる能力。主に呪いのアイテムとして装身具などに付与される。このスキルの保有者は一定時間ごとに己の生命力を吸い取られる。その割合はレベルに応じて変動する。



 糞ッたれがっ!! 何故連中がこちらに気味が悪いほど無関心だったのかようやく理解した。俺たちがどんな対策を練ろうが、シルヴィを手中に収めた段階で連中にとっては既に終わった話だったのだ。儀式を行っている最中に彼女が生命力を吸い尽くされるのは避けられないからだ。


 さらにこの広間に充満する魔力を含んだ香が事態の発覚を遅らせた。良く見れば明らかに魔道具である古ぼけた手枷だが、スキル発動中であったにもかかわらずこんなに近くに居た俺が見抜けないでいたからだ。もう少し発見が遅れていたら最悪の事態になっていただろう。



 俺はあれからずっと回復魔法を使い続けている。状況を確認すべく広間を見渡せば10匹の悪魔が所構わず暴れまわっている。だが、順調に客の避難は行われているようで、計画通りに長椅子や机などで障害物が作られ、こちら側との仕切りになっている。


 この仕切りは安全確保のためでもあり、これから行われることへの目撃者を作らないための措置でもある。こちらの計画もある一点を除いてほとんど順調だった。

 参加者に紛れ込ませていた公爵家の手の者たちが様々な魔法を使用して攪乱している。その勢いはこの祭壇の間を埋め尽くすほどだが、当然の如く悪魔たちに効果を及ぼすことはない。だが、参加者たちは凄まじい戦いが行われていると思うことだろう。これもこれからを考えれば必要な仕掛けだったが……。


「シルヴィアお嬢さんが死んでしまえば全ては水の泡だぞ!!」


「ユウはそのまま回復魔法を! 僕は悪魔どもを牽制する」


 俺はもう何度目かわからない<オールヒール>をかけた。回復魔法の効果がないわけではないようで、シルヴィアの生命力の低下は収まっている。ただし、使用した回復魔法の全てを吸収されてしまい、俺はここから動けないでいた。


 バーニィは無作為に暴れるレッサーデーモン相手に立ち回っているが、広い空間で10体同時に相手取るのは流石に厳しく防戦一方のようだ。こちらに注意を向けさせないだけ善戦しているといっていいが、何をやっているのか! あいつの実力はこんなもんじゃないだろう。さっさと瞬殺して()()()をなんとかしてほしい。


 不気味なのはグレンデル高司祭のほうだ。悪魔化しているのは間違いなく、巨体を蹲らせているのだが……他の連中より二周りほど大きい気がする。そして悪いことに奴から凶悪なほどに危険な香りが漂ってきているのだ。


 今すぐシルヴィアを抱えてここから立ち去りたいが、危険な状態の彼女を不用意に動かしていいものか疑問が残る。回復魔法を覚えているものの、使用したのはウィスカの街の宿の老夫婦とジュリアたちの手傷を癒したくらいだ。こんな重篤な患者を診るのは初めてで、何かの拍子に彼女を死なせかねない。体力表示的には小石が触れただけでも死んでしまうのではないかと怖くて仕方ない。シルヴィアを診る医者(本職)の力が必要だった。HP表示はあくまで状況の数字化に過ぎず、目安に過ぎない。失血死寸前でも天寿を全うしてもHP表示は1だ。前者は血を補えば助かるだろうが、後者は手の尽くしようが無い。それを判断するのは俺では不可能だった。



 こんなことなら村で幽霊やってたときにもう少し司祭の魔法を見ておくんだった。

 安静にさせるべきなのか、もう動かしてもいいのかの判断がつかない。俺は仕方なく祭壇の陰に隠れるようにゆっくりと移動することしかできない。




「グォォォ……オオオオオオ!!!」


 とうとう元グレンデル高司祭が立ち上がった。予想通り他の悪魔どもより一回りは大きい体躯を誇っている。その腕などは大人の胴ほどもあり、最も印象的なのはこめかみ辺りから生えた2本の禍々しい巻き角だろうか。


 内包する魔力といい雰囲気といい明らかに他の悪魔とは別格である。俺は意識はシルヴィアの回復に向けなから奴の<鑑定>を試みる。



 グレーター・デーモン 悪魔種


 魔族が使役する下級悪魔種の中でも上位種にあたる。レッサー・デーモンをはるかに凌ぐ強靭さと暴力性を誇る。僅かながらも知性を宿しており、数種の魔法を使う個体も確認されており、無作為に暴れるレッサー・デーモンを指揮することもある。

 悪魔族が持つ魔法耐性の高さは強化され、九割近い威力を減衰する。

 その強さゆえにその数は極めて少なく、記録でも数十体ほどしか認められていない。

 HP 5540/5540 MP870/870  経験値 9990



 中々の強敵が現れたようだ。こっちは殆ど身動きが取れないって時に面倒な……あ、目が合った。


「オオオオオッッ!」


咆哮と共に奴の周囲に魔力が湧き上がる……が、何も起こらない。いや、()()()()()()



 上級悪魔とやらは下級のよりも大分マシな頭をしているらしい。奴は今、確かに魔法を行使しようとした。しかもはっきりとこちらを標的にして、だ。

 先ほどから唸り声にも似た咆哮を上げ続けているが、向けられる明確な敵意は隠しようもない。


(無作為に暴れるもんだと思ってたが……上級だけあって毛色が違うようだな)



 そうこうする内に、またも奴の周囲に魔力が集まってゆくのを感じる。一応無詠唱になるのだろうが、徐々に集束してゆく魔力を感じ取れるから詠唱しているのと同じことだな。いや、グレーター・デーモンとやらに言葉を発する機能がないのかもしれない。魔法を使えるということは知能はあるはずだしな。


 だが、いくら大広間だとはいえ、あの規模の魔力を使用した魔法など撃たれたらこの地下空間がどうなるかわからない。俺やバーニィは上手く立ち回れてもこちらには横たわるシルヴィアがいるのだ。今の彼女は小石一つでどうなるかわからん状態なのだ。だから、()()()()()()()()


 <吸命>による生命力低下は回復魔法で相殺されているものの、未だに危機状態であることに変わりはないことを<鑑定>が教えている。

 

 外傷こそないものの、絶対安静の身なのは確かだった。今すぐシルヴィを抱えて退避したいが、グレーター・デーモンの視線がこちらを捉えて離さない。ここで回復魔法を使い続けたほうがまだ得策だと思える。



「ユウ! 気をつけろ!! そいつはデカイのを狙ってるよ!!」


 10匹の悪魔たちを相手取って時間を稼いでいるバーニィも巨大な魔力の収束に気付いたようだ。俺よりもよほど危険な状況のはずだが、声に焦りはない。大した奴であるが何時まで遊んでいるのか、さっさと数を減らせよな。もしかして暴れさせる事に後で意味があるのか?



 

 さて、どうしたもんかな? ここで一番最良の手は、上手く時間を稼ぐことだ。できれば遠距離攻撃を続けさせたい。あの巨体が暴れ回られたらたまったもんじゃない。攻撃に回ればすぐに終わらせる自信はあるものの、シルヴィの方にすべての意識を集中させていたいからできれば後回しにしたい。となると……


「うわっ。すげー炎だ」


 俺の周囲は灼熱の炎で覆われていた。発生源はもちろん敵の魔法だ。かなりの魔力を注ぎ込んだお陰で地獄の業火のような光景が広がっている。もちろん俺は<結界>で身を守っており、シルヴィも無事である。錬度の高い<結界>は周囲との温度差も遮断する。石が溶けるような超高温も<結界>内は元の地下の気温のままで涼しいくらいである。


 炎は俺の周囲を舐めるように広がり、石造りの祭壇がけ落ちてマグマになっている。視界は閃光のような赤に塗りつぶされているが、俺は内心喜んでいる。これならばしばらく時間が稼げそうだった。今の俺が心掛けるのはまず第一にシルヴィの容態維持と援軍を待つ時間を稼ぐこと、これに尽きる。


 魔法の効果が終わり、炎が消え去るとグレーター・デーモンは生存している俺を見て怒りに震えているようだ。またもや周囲の魔力を集めだしたが、俺はそれを妨害すべく微細な魔力をぶつけてみた。すると目論見通り奴の周囲の魔力が簡単に霧散した。魔法使いの詠唱はこの魔力の固定をする作業なのだ、だからこそ長い時間をかけて暴発を防いでいるのだが、無詠唱でこれを行おうとすると魔力の集中に苦慮するしこうやって簡単に妨害される。俺が普段使っているのは妨害を許さないほどの速度で魔法を放っていられるからだ。<魔を司るもの>という魔法の究極系スキルはその異常な消費ポイントに見合う効果を発揮してくれる。

 魔力の蓄積、魔法の起動、威力調整を瞬時に適切に行ってくれるのだ。確か合計1000ポイント以上使っただけの事はある。全て三桁以内の消費で収まったからあのバグスキルが使い放題だったのだ。



 集めた魔力が消え去ったことに気付いたのか、新たに魔法を使おうとするが、それも妨害する。すると怒りが頂点に達したのか、すぐ近くに居た悪魔の一匹を殴り飛ばした。いいぞ、怒り狂え、正気を失ってまた無意味に魔法を使え。


 これでまた時が稼げるな。



 残りの借金額  金貨 15002232枚 




 ユウキ ゲンイチロウ  LV120 


 デミ・ヒューマン  男  年齢 75


 職業 <村人LV138〉


  HP  2042/2042

  MP  1403/1403


  STR 351

  AGI 333

  MGI 346

  DEF 318

  DEX 275

  LUK 202


  STM(隠しパラ)562


  SKILL POINT  480/490     累計敵討伐数 4698


楽しんでいただければ幸いです。


余談です。

最後に出てきた<魔を司るもの>ですが、第五話で少し触れました。

主人公が適当に取ったのでかなり抜けています最初は<魔の心得>から<魔の使徒>、

<魔導のしもべ>、<魔導の光>、<魔導王>、<魔に属する者>、<魔を率いるもの>、

<探求者>、<真理者>、<覚者>、<光と闇を識る者>、<魔を司るもの>と続きます。

消費ポイントはそれぞれ順番に20、50と続き、後は全て95ポイント必要です。

レベルが1上がるとスキルポイントはレベル100まで5上がる設定ですが、

主人公は取得時に色々とやらかしたので残スキルポイントがずれてます。

バグをそのまま利用すると悪影響が出る典型例なのですが、本人がステータス

を見ないので全く気にしてません。


このポイントを有効活用する人物はまだ出てきていません。まだ一割も揃ってない

メインキャラクターが出揃うのはあと50話くらいかかりそうな気配が……超がんばります。


こういう死に設定を活動報告で楽しくお伝えできればと考えました。

主人公が今までどれくらい稼いだのとか、各取得アイテム総数とか私の管理用ともいいますが。

(今更恥ずかしくて使えなかったなんていえない)


 この場を借りて感想を頂いた方、ブックマークに入れて頂いた方、そして

誤字脱字を指摘していただいた方に厚く御礼申し上げます。誤字脱字が数百件来て

恥ずかしくて泣きそうになりました。これからすぐ直します。


それと同時に皆様と繋がっているという現実にテンションが上がります。

他の皆さんがこれによって更新速度を維持しているというのが良く分かります。

自分も負けずにがんばります。本当にどうもありがとうございます、


 次は日曜日予定ですが、早まればいいなと思います。

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