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093●帝王の傍らにあるもの
「帝王陛下のご容態はいかがであろうか?」
「医師たちが懸命に治療に努めておる。」
「あれから、もう20年。お人が変わられたように、休みなく、仁政に励まれてこられたからのう。」
「闘いもなくなった。税も我らが心配するほど、軽くされた。」
「優しいお言葉を日々、いただいた。」
「ご自身のことより、民のことを憂いておられた。」
「ご無理ばかりされていたからのう。」
「このご年齢になるまで、よくぞ、よくぞ・・・。」
病床に伏す帝王。そのベッドの傍らには、
静かに5つの石が置かれていた。
帝王は、その世界線に微塵の後悔もなかった。
彼の傍らにある、
ファウスト、メフィスト、マルガレーテ、
そしてヴァーグナーとヘレナだけが、その真実を知っていた。




