079⚫️帝王日記 その1
日の出とともに目が覚めた。
寝心地は悪くはない。余としては、許容範囲であるとしてやろう。
庶民はこのような場所で暮らしておるのか?
光栄に思うがよい。天蓋はないが、ベッドとして睡眠には耐えられる。
今日で3日目である。
紙とペンらしきものを見つけた。
金銀の装飾もなく、粗末ではあるが、記すには足る。
そこで、日々の経過を記すことにした。
島はほぼ円形である。中心部が小高い丘になっている。
樹木や草花が豊富である。食用となる果実も実っている。
余が滞在している小屋は、15部屋しかない。
だが、光はよく入る。
海が見える。
この間の観察では、海中生物も多様だ。
これまで果実を食してきた。
肉も取りたいところだが、獣はみあたらぬ。
魚は捕まえられぬが、貝類は捕獲可能だ。
ただ、そのまま食するのは好まぬ。
どうすれば、火を起こせるのか見当がつかない。
飲水には困らん。近くに泉がある。
飲んでみたが、体調に変化はない。
ただ、余以外に、だれも見当たらん。
大声を出してみた。
誰も何も返答がない。
余を誰だと思っておるのだ!帝王である!
何故、余を探しに来ぬのだ!
ええい、忌々しい、ロイめ!
あの時、余に怯えて逃げ出しおったのだな。
手紙が残っておった。
なあにがあ、本気でありがとう’だあ!
貴様、何様のつもりだ!
余は帝王である!
そのような不遜な態度は改めよ!
命令である!
陽が水平線に沈む。
波音だけが聞こえる。
ええい、静寂が忌々しい!
忌々しいぞ!




