055●自分の道を行く
マンジ、ヤハチ、ユニコーンことハバタキは、
大陸の端にたどり着いた。
ボレリア、ラベリア、そして部族国家の海岸線と内地を見分した。
最果ての港で、3人が話をする。これからどうするのか。
「ユニコーン、俺たちは国に戻るぞ。お前はどうする?一緒に来るか?」
「食料も必要なものも、ちゃんと用意する。だから、一緒に来ないか?」
しばらくハバタキは考える。
学ぶことが多い旅だった。
マンジもヤハチもいい連中に違いない。
しかも、自分より強い。
ふたりに付き従えば、確かに安全だろう。
だが、ハバタキには目的がある。
闘血鬼の伝統と文化の復活、そのための支配からの解放。
だから、あの公国を、まず、倒さなければならない。
「ありがたい言葉だが、オレは先に進む。」
「この先って。海を渡るのか?」
「確かに交易船は出ているし、向こうの大陸にも国はあるけど。あっちは、また文化や習慣がちょっと違うぞ。いいのか?」
ハバタキは迷うことなく答える。
「ああ。オレはオレの集団を作る。やらなければならないことがあるんだ。」
「俺たちが、その集団にはなれないのか?お前、いいやつだから、その集団って作れるような気がするんだけど。」
その言葉にハバタキは、一瞬の躊躇を見せる。
いや、だが、オレがもっと強くなって配下を指揮しなければ。
それに・・・
このふたりを、
自分の種族の復興のための戦いに巻き込むのは、よいとは思えない。
命を軽んじない、優しいふたりだから。
ハバタキは、自分の思考に驚いた。
いつから他人のことを気にするようになったのか。
これはトウケツキにあるまじき発想だ。
ハバタキは、静かに首を振ると言った。
「本当にありがたい。こんな気持ちになるとは、思ってもいなかった。だけど、マンジとヤハチにもやるべきことがあるんだろう?オレはオレの道を行かなければならないんだ。」
3人は手を握り合い、抱き合い、そして別れる。
ふたりは公国へ、ひとりは海を渡り異なる大陸へ。
再会の時は、まだ遠い。
だが、それは確かに訪れる。
運命が、彼らを再び引き寄せる日まで。




