043⚫️欲望という名のもとに
「どうしてトドメを刺さないんだ?」とハバタキが聞いた。
「いや、トドメを刺したら死んじまうじゃないか。」とマンジが答える。
「俺たちが、あいつらの縄張りに入ってきてるんだから、悪いな、ちょっと邪魔するだけだから、って気持ちだな。」とヤハチ。
「だが、せっかくの食糧を手に入れる機会だったぞ。」とハバタキ。
「いやいや、肉ならいつでも村や街で買えるだろう。しかも美味い。」とヤハチが笑う。
「そうだけど・・・そうだけど、さ。なんか惜しい気がするんだよな。」とハバタキは呟く。
「それはわかるさ。飢えていた記憶は俺にもあるからな。もっと欲しい、もっと取っとかなくちゃ、って考えるよな。」とマンジ。
「だけどな、ユニコーン。みんなで協力して分かち合えば、ムダな労力は要らん。しかも、ムダに命を奪うこともない。いいこと尽くめじゃないか」とヤハチ。
ハバタキは考える。そういう理屈もあるのか。
だけど、胸の奥底から湧いてくる、この貪欲なまでの渇望はなんなのだろう?
もし、剣ではなく銃やビーム兵器があれば・・・。
自分は躊躇なく、即射していたかもしれない。
マンジやヤハチは、どうやってこの欲望を制しているのだろう?
「見知らぬ人の優しさにいつも頼っているばかりじゃ、自分の欲は抑えられないってことだろうな。」とマンジが穏やかに言った。
「自分が、自分の肉体と心の主でないとな」とヤハチが静かに言った。
オレは、いったい、誰のモノなんだ?




