025●それはおめでとう!
さやちゃんに誘われて、久しぶりに「秘宝を求めてコース」に来た。
「さやちゃん、何回目なの?」
「えへっ!1001回目!」
「えっ?!そんなに?!すごいなあ!」
「よくできてるんだよ!毎回、感動が少しずつ違うの!」
ふたりで道を行く。
装備はソレイユさんにもらったものをベースに、好みで改良してある。
剣は雷牙という特売品を手に入れた。
けっこう、いいのよね。
あっ、弓矢もオマケでついてきた。
静雷っていう矢が100本もついてくるんだから、とってもお得感あるよね。
・・・気をつけないと、誘導されてどんどん買ってしまいそうよね。
「あっ、なっちゃん!めずらしいキャラクターがいるよ!」
「ホントだ!ヒトみたいだけど、ツノが生えてるよね。本数もいろいろある!」
「わたしたちの前に、剣を抜き槍を構えるとは、フトドキモノめ!わたし、さやかがお相手するよ!いくぞお!」
「まって、さやちゃん、わたしも行くから!」
さあ、楽しまなくっちゃ!!
最強と言われた第1グループのリーダー、千面鬼は戸惑った。
脱出ポッドから出てみると、
赤や青、金や銀で装飾された城はあるわ、
フルアーマーの騎士はいるわ、わけのわからないモンスターはいるわ・・・。
彼はリーダーとして、この地の征服を10体の手下に命じた。
「誰だ?!我々の前に立ちはだかるのは?!女の子ふたり?ええい、かかれ!」
センメンキの号令の下、ヒコウキが飛び出す!・・・倒された。
デンワキが大声をあげて、挑む!・・・倒された。
ソウジキが深く息をして、突っ込む!・・・倒された。
インサツキが大量の紙をばら撒き、襲いかかる!・・・倒された。
ダッコクキが畑から穀物を薙ぎ払いながら近づく!・・・倒された。
アミキが何かを編むような独特の構えで行く!・・・倒された。
「ええい、みんなで一斉にかかれ!個人で行くんじゃない!」
センメンキが叫ぶ!
カンソウキが周囲の水分を吸い込む!
ケイサンキが突入角度を求める!
エイシャキが強い光を放つ!
ハバタキが宙を舞う!
・・・みんな倒された。
「くっ!我はセンメンキ!行くぞ!」・・・倒された。
ハバタキがやっと起き上がる。センメンキを抱き起こす。
「ハバタキ・・・わたしはもうダメだ。お前は行け!行ってトウケツキの自由と誇りのために生き延びよ。我らは檻の中のドラゴンであってはならない。お前が最後の希望。頼んだぞ…ガクッ・・・。」
ハバタキは、その言葉を胸に、涙を拭い、飛ぶようにひたすら走った。
彼の脳裏には、倒された仲間たちの笑顔が浮かぶ。
「そうだ・・・センメンキ様の意思を継ぐのは、オレだ・・・。」
彼は、遠い故郷と仲間たちの悲願を背負い、
たった一人でこの奇妙な世界を駆け抜ける。
母星は今や、ルシファーの統治のもと、力による服従は禁じられている。
生肉、あまり好きじゃなかったけど、あれは儀式みたいなもんだった。
オレたちが闘血鬼であるための、
自分たちの歴史や風習を守るための、大切な習わしだったのだ。
彼は誓う。
いつか、きっと仲間たちを解放するぞ!
「なっちゃん、やったあ!エンディング・テーマだあ!いつ聞いてもいいね!」
「これ、しかも生演奏だよ。これだけの楽員を集めるのタイヘンだよ。」
「う〜ん、そうだね。あっ、バイオリンのソロだ!うまいなあ!」
「あれ?ソレイユさんだ。なんだろう?」
ソレイユの勧めで、なつさやのふたりは倒した10体と、
別に身柄確保された30体、あわせて40体をグレッグ大佐に引き渡した。
「どうしました、艦長?」
「いや、また、あのふたりの力を借りてしまった、と思ってな・・・。」
「いいじゃないですか。結果オーライ。」
「いや、ルナ・・・だけど、リストの1体、足りへんねん。」
「あっ、また名前で呼んでくれたあ!」
「’おまけ’、よかったネ!」
「いや、’操舵手’、そこに合いの手をいれるんか?」
「だって、ふたり、いい感じなんだもん!」
グレッグは顔を赤くし、周りのクルーたちも、和やかな笑顔を見せる。
「そういうあんただって、ええ感じの家族なんですやろ?優しい夫さんと3人の子どもたち。ええやん。うらやましいわあ。」
「あっ、艦長、言い忘れていました。子ども、5人です。」
「えっ?なんで2人も増えたんや?」
「この間のおやすみ期間中に、双子を産んだんで〜す!」
「いやあ、それはおめでとう!・・・なんか、話がズレてってへんか?」
ハバタキは長い苦難の旅の果てに、ひとりの男に出会った。
彼は「ラベリアの帝王」と名乗った。




