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異世界召喚で杖になった俺は、魔女の弟子と共に魔女の仇を取る  作者: 月ノ裏常夜


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11.帝国兵

声のした方向を見ると、軍服を着た数人の人物がこちらに銃を向けている。

彼らは皆同じ軍服を着ており、それは東の魔女の家を襲った者が着ていた軍服と一致する。

帝国兵で間違いないだろう。

俺たちは今川辺にいる。

声をかけてきた帝国兵は川の上流側にいるが、残念ながら下流側にも別の帝国兵が回り込んでいる。

そうなると残る逃げ道は川を渡るか空に逃げるかだが、果たしてどうするか。


「挟まれたみたいね」

「そうだな」

「あんたが川に行けなんて言うからでしょ」

川辺は身を隠す場所が少ない。

自分の姿を見たかったからとはいえ、今川辺に来たのは失敗だったか。

「いや、お前が魔法をつかったからだろう」

あの爆発のせいで見つかったのは明白だろう。


「それを言うならあなたが干渉したせいで派手になったのよ」

「そんな事よりさっさと逃げるぞ」

今は言い争いをしている場合ではない。

「どこに逃げるのよ」

川の上流側も下流側も帝国兵がいる。

「どうする、川を渡るか?」

そうなると川を渡るしかない。


「まさか泳げって言うつもり?」

「泳げるのか?」

「無理よ」

予想はしていたが無理か。まあ魔女なら泳ぐ必要もないのだろう。

「魔法を使って、水面を歩けたりしないのか?」

だが何も泳ぐ必要はない。川を越えられれば方法は何でもいい。


「できないし、できたとしても撃たれるわよ」

水面上は遮蔽物が無い。

相手が銃を持っている以上、川を渡るのは危険か。

「空を飛ぶのは?」

そうすると飛んでいくしかなくなる。

「ホウキをしまった状態じゃ無理よ」

そういえばそうか。

下手にホウキをだしたら、その瞬間に撃たれる危険性がある。

「ならどうするんだ?」


「戦うしかないわね」

先ほど言っていた戦う覚悟を見せる時が早くも来てしまったという事か。

「殺せるのか?」

「師匠の仇をとるためなら何人だって殺せるわよ」

戦う前に一つ気になる事がある。

「こいつら、撃ってこないのか?」

撃とうと思えばいつでも撃てる状況だ。


「大勢の魔女の弟子が生け捕りにされたって話は聞いてるわ」

なるほど。殺したくない理由でもあるのだろう。

奴らが俺たちをただの魔女の弟子の一人と認識しているのか、東の魔女の弟子でありその研究成果である杖を持っているというところまで把握して捕まえに来たのかはまだ分からない。

ただ魔法が使える魔女の弟子というだけで、帝国兵にとっては生け捕りの対象になっているのだろう。

「捕まったらどうなる?」

殺す気が無いのはいいが捕まったらどうなるのかは気になるところだ。


「そこまでは知らないわよ」

さすがにまだそこまでの情報は掴んでいないか。

「貴様、さっきから何をぶつぶつ言っている!?」

帝国兵の方が俺たちに再度怒鳴りつける。

いや、だが今の言い方は何かおかしい。


「ぶつぶつって言うほどの事じゃないでしょ」

レイラも帝国兵の言葉に違和感があったようだ。

「俺たちに見えない相手とでも話していたのか?」

帝国兵は銃を向けながら距離を詰めてきた。

「いや、見えないって事は無いと思うけど」

帝国兵の言葉に対する違和感の正体に気が付いた

「まさか、俺の声が聞こえないのか?」

そうだ。俺の声が聞こえないとすれば、まるでレイラが一人で何かを言っているように聞こえる。


「かもしれないわね。何か言ってみたら?」

「おい、お前達、何故俺たちを追ってくる?」

試しに俺は帝国兵に呼びかける。

だが帝国兵たちは答えることなく、俺たちに銃口を向けたままゆっくりと距離を詰めてくる。


「もう少し大きな声をだしてみたら?」

「本当に俺の声が聞こえないのか!?」

少し大きな声で話しかけてみるが、反応は無い。

「やっぱりダメみたいね」

「誰と話している?」

帝国兵はレイラの口ぶりから、誰かと話していると察したようだ。


「誰って、この声が聞こえないの?」

念のためレイラが率直に問いただす。

「俺たちには聞こえない声と話しているとでもいうつもりか? ふざけるな!」

だが帝国兵の神経を逆なでしただけだった。

どうやら本当に俺の声が聞こえない様だ。


「ふざけてないんだけどね」

「黙れ、その杖を捨てろ」

帝国兵も、杖が魔女の武器であるという認識はあるようだ。

それでもまだ警告するだけで発砲はしてこない。

「嫌よ」

当然レイラは拒否の言葉を吐きすてる。

「投降すれば悪いようにはしない」


「なら、南の魔女は今どうなってるのかしら」

既に捕まっていると言われている南の魔女。

悪いようにはしないというのであれば、すぐに捕まっているであろう南の魔女がどうなっているのかは知りたいところだ。

「それは我々の知るところではない」

一般兵士には知らされていない機密事項なのか、知ってて話さないのかは定かではないが、捕まった南の魔女がどうなっているのか分からないのに、大人しく投降する奴はいないだろう。


「それで投降する訳ないでしょ」

レイラも俺と同意見らしい。

「いくら魔法が使えても銃には勝てん。諦めろ」

「あなた、魔女と戦った事があるの?」

「いや、無い。だがお前は魔女の弟子だろう」


「何故分かるのかしら?」

「杖を持って出歩くやつは、魔女の関係者だろう」

どうやら帝国兵にとって杖を持っている者は敵と言う認識の様だ。

「杖を持ってるだけで決めつけるなんて乱暴じゃない?」

まさかレイラは魔女の弟子ではないと言い張ってこの場を逃れようとしているのだろうか。

「ならさっきの爆発は何だ」

やはりあの爆発は帝国兵にも見えていたらしい。


「知らないわよ」

「お前がやったんだろう」

「たまたまここに居ただけよ」

さすがにここにきてそれを言うのは無理があるだろう。

「ならその杖を渡せ」

案の定帝国兵もその言葉を信じるつもりは無い様だ。


「嫌よ」

そしてレイラも、この状況で杖を渡すほどレイラは馬鹿ではないらしい。

「東の魔女の弟子が逃げたと聞いている。お前の事だろう」

「あら、情報が早いのね」

駆け付けるのが早いと思ってはいたが、既に捜査網が敷かれていたか。

「魔女の弟子風情など我々で十分だ」

帝国兵も魔女の弟子は魔女よりは弱いと思っているようだ。


「じゃあ、試してみる?」

「下手な真似はよせ。我々も生け捕りにしろと言われている。投降するなら悪いようにはしない」

どうやら帝国兵には俺たちを生け捕りにしなければならない事情があるらしい。

「捕まったらどうなるか知らないのによく言えるわね」

「この人数で囲まれているのに勝てると思うのか?」

確かに俺たちは帝国兵に挟まれるような状況でとても逃げられる状況ではなさそうだ。


「囲んでるだけでしょ」

「何?」

「霧は使わなくていいのかしら」

「お前などアレを使わなくても生け捕りに出来る」


「本当は持ってないから使えないんじゃないの?支給されてないんでしょ」

「く…」

図星だったのか帝国兵は何も言い返せない様だ。

「西の魔女も一個しか持ってないみたいなこと言ってたし、まだそんなに数が無いんじゃないの?」

確かに魔女の弟子であるレイラが魔法を使う事を警戒するならば、先にあの霧を撒いておいた方が確実に取り押さえられる。

それをしないという事は持っていないといっているようなものだ。

だとしたらまだ勝機はある。

「ごちゃごちゃ言ってないで、さっさと杖を捨てろ」

杖を捨てろと命令するという事は、それは裏を返せばこちらの魔法を警戒しているという事でもある。


「さっきの爆発見たでしょ?」

「それが何だ」

「あれは私の魔法よ」

それを聞いた帝国兵が色めき立つのが分かる。

「だったらどうしたというんだ」


「ああなりたいの?」

レイラは先ほど自分で作ったクレーターを指差す。

「威力の高い魔法は使うのに時間がかかる、それまでに止めればいいだけの話だ」

どうやら帝国兵もある程度魔法の知識はあるようだ。


「でも、あたしを殺したらマズイから撃てないんでしょ?」

言いながらレイラは杖を構える。

どうやら帝国兵が撃ってくるよりこちらが攻撃する方が早いとおもっているようだ。

「本当にやるのか?」

念のため俺はレイラに最後の確認をする。


「あれが無いなら十分勝てるわよ」

レイラの意志は変わらない様だ。ならば俺も覚悟を決めよう。

銃声が響く。

同時にレイラ足元の石がはじけた。

しびれを切らしたのか話していた兵士が発砲したのだ。

「これ以上つまらんことをいうと、次は当てるぞ」

どうやらレイラの足元に向かって発砲したようだ。

いきなり射殺するのではなく、まずは威嚇射撃をするとはなかなか人道的だ。


「今のを当てておくべきだったわね」

それを見たレイラは大人しくなるどころか、逆に頭に血が上ったようだ。

「貴様いい加減にしろ」

先ほど発砲した兵士がもう一度銃を構える。その銃口はレイラの頭に狙いをつけている。次は威嚇では済まないという意思表示だろう。


「おい、殺すなと言う命令だろう」

それを見た別の兵士がたしなめる。

「ふん、殺さなければいいのだろう」

なんだか物騒な会話をしているな。

一発ぐらい当てても死なないだろうと思っているのだろうか。

ざっと見て相手の兵士は五人ほど。

「霧が無ければ、あんた達なんか何人来ても敵じゃないわよ」


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