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「えっと…。長様?ここは?」


先程、長様は、急に異形へ変化され、私を連れ去りました。


そして今いるのは…。




お家?のようです。

皆様と話ていた、話しの内容では…、

長様は、洞穴に行くと言われませんでしたか?


周りは木の板壁に屋根…床もしっかり木の床です。


洞穴は、岩や土の壁だと勝手に思っていただけで、木の壁の洞穴もあるのでしょうか?


それとも、ここは小屋でしょうか?


長様は私を小屋?の中にある椅子に優しく下ろして下さいました。

ご自分は、異形への変幻を解いて、始めに御目通り願った姿になられると、私の向かい側にある椅子に腰掛けながら、


「よっこらしょ。ここは、わしの家じゃ。ほっほっほ。」


と、私の疑問を読み取ったように、話されました。


「お家?ですか?あれ?先程居た場所が、お家と伺っていたのですが……?


えっ…と……、洞穴が、お家ですか?」



「ほっほっほ。面白い事を言うお嬢さんじゃ。

先程の家は、確かにワシの家じゃが、どちらかと言うと、会議や来客用じゃな、人が集まる用の場所じゃ。


ワシが、基本的に生活しているのは、ここよの。」


長様は、優しく目を細めながら、説明してくださいました。


「ですが、レオンハルト様は、洞穴に行かれるのですよね?こちらに居て良いのでしょうか…。」


「ほっほっほ。

先程のダリア話を聞いていて、さらには、ワシの異形の姿をみても、怖がらないとは…。肝の座ったお嬢さんじゃな。」


「あ。何も、されてはいませんし、優しい目をしてみえますから、恐怖は感じていません。

ただ、レオンハルト様に、迷惑をかけていることを心苦しく思って情け無くなっているくらいです…。」


「なるほど、流石、竜の落とし子を拾うだけあるの…。」


「あ!!!そう言えば、あの子は…。大丈夫でしょうか…。」


「ここに預ける気で、来たのじゃろう?1人置いてきたわけでもないのに、過保護よのお…。」


「あ。そうなのですが…。私から離れると泣いてしまうのです。ですから、可哀想で、つい…」


「なるほど、竜の涙がわかるとは…。ふむ…そうか…。」


長は、すこし髭のある顎を摩りながら、目を閉じ、ふむふむと、相槌をうちはじめた。思案しているようだ。


「お嬢さん、あんた、大気と記憶に関する魔力があるようじゃの?

ふむふむ。

お嬢さん…。目を閉じていても人の動きや、判別ができるかい?」


「え?ええ、私は、以前目が不自由でしたので…。今は公爵家のお医者様に治していただきましたが…。」



「ほうほう。なんとまあ、その不自由だった目のおかげで、それは今のところ音に特化した能力として自然に使えているようじなぁ…。

さらに、音を記憶して輪郭などをイメージできるんじゃないかい?」


「え?はい。なんとなく、周りの状況はイメージできますが…私に、魔力ですか?音と記憶に?」


「人間誰しも、生命力の中に魔力を持ち合わせているものなんじゃが…。

魔力を使うには、それなりの量がいる。

公爵家の血筋の人間は、元々その量が多い。

だが、血筋に関係なく、たまに居るんじゃ。魔力を使えるくらいの魔力量がある人もな…。

だが、だいたいは、それに気が付かず過ぎていく。お嬢さんも、耳がいいくらいに思っていたんじゃないかな?」


「はい。目が不自由だったので、音には敏感になっていましたから、その為かと思っていました。」


「そうじゃな、その不自由のおかげで、研磨されたと言えるな。しかも、音だけでなく、大気の魔力であり、さらにその記憶力…。

ふむ…。お嬢さんは、適切な訓練をしたら、人の心が読めたり、周りの地形を読んだりできるかもしれんな…。

しかも大気じゃろ…。攻撃魔法としては、風や、雷なんかも使えるかもしれないぞ…。頭の中に不快な音を大音量で叩きこむなど、まあ、色々考えられるなぁ…。ワシらは耳がいいから、苦手な音などを与えられたら、逃げ出したくなるかもしれん。


こりゃ、恐ろしい人材じゃ…。」


長様は何やら、ボソボソと1人考えこんで呟いていますが、私には、さっぱり理解できません。

音を聞き分けたり、記憶するのは、お屋敷の皆さんが驚いたくら得意なので、その事を言ってみえることだけは、なんとなくわかりますが…。


私が、人様の役やレオンハルト様の立つなら、いいのですが…。

これといって今のところ、迷惑しかかけていませんし…。今も、皆さんに心配させていますよね…。


あ。そうです。

洞穴です。洞穴では無いようなのに、ここに来た理由をまだ伺っていません。


ですが、長様は、まだぶつぶつと考えにふけっていて、話しかけていい雰囲気ではありません。


話しかけるのを躊躇ってしまいます…。

そう思い、眉をハの字に下げて、長様を見つめていました。


しばらくすれば、長様と目が合いました。

困ったように微笑めば、

「ああ、すまんのう…。ついつい考えにふけってしまった…。まあ、お嬢さんが、戦いに備えて、その能力を鍛えたいというなら、教えんではないぞ…。」


「え?いえ、結構です。今のところ不自由はしていませんが…。」


「なんと!向上心のない!」

長様は、大きく目を見開き驚きました。


「えっと…。私、これといいまして、戦う予定は無いのですが…。戦えた方がいいでしょうか?」


「いいに決まっておる!!!」


「でも、戦うと言う事は相手がいますよね?お相手を傷付けてしまう事は…、ためらいがあると申しますか…。私には、不相応と申しますか…。」


「何も、相手を傷つけるばかりではない。自分や大事な者を守る為にはあって困ることはないじゃろうて…」


「あ。では、攻撃系ではなく、生活を豊かに出来る能力を教えてください。そうですね…。例えば、遠くからでも、レオン様など、思った相手に言葉を伝えたりできたら、とても便利ですよね…?どうでしょう?」


「ふん。まあ、それでもいい。力の使い方を教えてやるから、それを応用して使うんだ。力の使い方は、自分で考えて感覚で使うしかない。」


「では、次期当主殿が来るまで、老いぼれと、訓練じゃな。」


「あ!そうでしたわ!こちらは洞穴では無いのですが…どうやって…」


今いる場をレオンハルト様が見つけられるのか、心配にらなり、口を開けば…


「まあ。それは、外に出たらわかるから、付いてきなさい。訓練は外でやるからのぉ。ちょうど良い。」


長様は、よっこらしょと立ち上がり、入って来たとは別の出入口に行くようです。

どうやら、裏口のようです。

言われた通りについていけば…。





裏口から出た目の前には、洞穴があった。


「ほっほっほ。ここは、洞穴の出口じゃ。

ここは、洞穴と言われているが、実際は洞穴では無く、貫通したトンネルじゃが…

それを知るのは、歴代の公爵家当主と、わしの世話係だけじゃ。

洞穴は、入って少しすれば大きな空間が広がる。

そこには…。まあいい。

その空間には、わかりにくい場所に、ここへ繋がる道がある。それを見つけ出さなければならない。

いわば、当主となるなら、ここを自力でみつけなければならんのじゃ。」


「あの、聞いてもよろしいでしょうか?

その…大きな空間には、なにがあるんでしょう?」


恐る恐る、先程長様が、濁した言葉を疑問に感じ、問えば…。


「それは……」


長様は、暗い顔になり、下を向いた。


気長にお待ちいただき、ありがとうございます。

ぼちぼちしか進みませんがまた、気長にお待ち下さい。

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