『異世界に来たけど、生活魔法しか使えません(第一章)』
細かいことを細かく書いて、小さくて平凡な日常を編み上げている。現実の生活感と並行しているアナザーワールドな感じ。
一度世界に慣れてくると、淡々と流れていく川のように進んでいく。角の取れた滑らかな石のように、サラサラと進んでしまう。あまり深く心に入りこまず、浅瀬を歩いている感じ。
最初はバンバン読み飛ばしてたけど、気づいたらリズムに絡め取られていた。激しい起伏ではなく、日常を大切にする感覚が、読み手に受け入れられているのかも。
"成り上がり"ではあるっぽいけど、分かりやすいゴテゴテ感がなく。貴族から始めて王族に近づく感じも、非現実感を抑えこんで、よりリアルなフェイクを撮ろうとしてるのを感じる。
『薬屋のひとりごと』とかも女官始まりだし、そんな感じの架空現実が、今ピッタリなのかな。
成り上がりは欲しいし、中で生活はしたいけど、あまり苦労はしたくない。だから、"生活魔法"でリアルなシステムや摩擦を程よく簡素化して、生活運営ストレスを減らしているんだな〜って思った。
これがなくて単に生活を描かないと、多分リアルが足りなくて安っぽい"チート"になっちゃう。プラスではなくマイナスを減らす形を取り、その作用影響も程よく調整されることで、読み手にストレスを与えないのにリアルではある、という欲張りを達成できるような卒のない解を見つけてる気がする。
あと単純に、量を書いてるのがすごいと思う。
私にはできないかも。




