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呪われた?旦那様、お約束通り半年が経ちましたので離縁させていただきます  作者: 涙乃


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エピローグ②

「メリッサ様」


「どう?クリフ、失恋の痛みは?」


高らかな笑い声と共に、メリッサが姿を現していた。


マクスには、相変わらず視えていない。けれど、アンディがエリーを守るように抱きよせているので、自分の出る幕はないと一歩下がる。黙って壁際で静観することに決めたようだった。


一方、アンディにはメリッサの姿が視えていた。メリッサと一瞬目線を交わし、無言で頷く。


「は?私は、失恋などしていない。エリーとは、ちょっとした誤解があるだけだ。私達は夫婦だ。必ず上手くいく」


「ほんっとーに、いつまでも子供なんだから。ふふ、まぁ、そこが可愛いのだけどね。失恋の痛みがつらいでしょう?

それくらいの痛みではぜんっ一一一一一一ぜん、足りないけど。

ふふふ、大丈夫。私が慰めてあげるわ。一緒に行きましょう、ね?」


「はっ?なんだ?体が動かない。メリッサ何をしたーーーーうわーーーー」


メリッサは妖艶な笑みを浮かべながら、クリフォードへ手をかざす。すると、クリフォードは、突然現れた魔力が込められた鎖により、その身を拘束されてしまう。身動きがとれず、半狂乱になりジタバタ暴れ叫ぶ。


「最初から周りくどいことなんてせずに、こうすれば良かったわね。ねえ?クリフ。長年分かり合えなかったのだもの。ずーっと私は、歩み寄ろうとしていたのに……。本当に酷い人。私達には、言葉は必要ないわね?大丈夫、理解できなくてもいいのよ。これから、たーっぷりと、その身体に教え込むから、ね?」


拘束された状態で、クリフォードの身体を宙に浮かべる。自分の置かれた状況に恐怖を覚えたクリフォードは、「近づくな」と懇願する。メリッサは、楽しむように、じりじりと距離を詰めると、人差指でクリフォフォードの顎を掬い上げた。


「ま、ま、待て待てメリッサ。落ち着け!

これは何だ?一緒に行くとは?一旦、これを解いてくれ、分かるよな?メリッサ。話し合おう」


「お頭の弱いクリフには、難しかったかしら?時間なら、たーぷりとあるから、大丈夫よ。

あなたの腐った性根を叩き直すから。ふふ。誰にも見つからない場所でね。」


「メリッサ、お、お、お前は、やっぱりヤバイ奴だな。だ、だから、苦手だったんだ。無駄に美人な癖して、性格が歪んでるだろ!!」


「あーら、そんな無駄口を叩けるのは今のうちだけよ。ふふふ、あそこでは、私は何をしても咎められることはないの。この意味分かるかしら?ふふ」


嫌がるクリフォードを宥めるように言い聞かせると、メリッサは指を弾く。


「おい、よせよせよせよせ、メリッサーーーーやめてくれーーーーー!!!

ぎゃーーー一!」


テーブルの上には、いつの間にかオルゴールが置かれており、クリフォードは、絶叫と共にオルゴールに吸い込まれていった。


「エリー、オルゴールを持っていてくれてありがとう。おかげで色々出来たわ。

ふぅ、これで、厄介ごとが片付いたわ。

久々に家族に会ったら、皆驚いていたわ。まぁ、こんなに年数が経ってしまっているから当然よね。あまりにも老けているから驚いたわ。だって、兄が父みたいになっているのだもの。皆からは、魔女呼ばわりされて、揶揄われたけどね。元気そうで良かったわ。

そうそう、私が合図したら、王命が下るわ。

おめでとう!アンドリュー、あなたが新たな辺境伯よ。汚れ仕事を引き受けている分、家族は、私には甘いから。

さてと。ざっと100年くらいは、クリフを調教……いいえ、教育して過ごすわね。

そうね、マクス達はそのまま不老にしておこうかしら。マクスは、元気になったと喜んでいるみたいだしね。エリーがこの後どうなったのかも知りたいし。報告要員も兼ねてもらいましょう。

領民が不思議に思わないように、記憶操作の魔法をかけておくから心配しないで。

あなた達の子孫に会えるのを、楽しみにしてるわね。

あ、そうそう、大事なことを言い忘れていたわ。それまで、そのオルゴールをよろしくね。じゃあね」


ひとしきり話し終えると、メリッサは光に包まれた。すぅっと吸い込まれるようにオルゴールの中へと消えていった。


メリッサが消え去ると、嵐が過ぎ去ったように静寂に包まれる。


呆気にとられて、皆しばらくは、放心状態だった。沈黙を破ったのは、アンディだった。現実に意識を取り戻すと、おもむろに懐から包を取り出す。


「エリー。これを受け取ってほしい」


包みにくるまれていたのは、一輪の赤いコダの花だった。


「アンディ、これ、ちょっと潰れてる」


「あぁ、そうだな……。なるべく気をつけたつもりだったが、すまない」


少し潰れているけれど、とても嬉しい。


「エリー、約束通り迎えにきた。だから、

今度は君が約束を……あの時の僕の願いを叶えてくれたら嬉しい」


「アンディ」


今、あの時の言葉を口にするのは、恥ずかしい。羞恥心を堪えて、真っ赤になりながらも、あの時の言葉を紡ぐ。


「わ、私の傍にいる権利をあなたに」


「それだけじゃないよね?伴侶としてが抜けてる。結婚しよう!エリー」


エリーの頬に手を添えて、熱い眼差しを向けるアンディ。その瞳の奥には、情熱的な感情が宿っていた。

エリーがそっと目を閉じると、優しく唇が触れ合うのを感じた。


青いコダで、ずっと想いを伝えてくれていたアンディ。白いコダは、旦那様へむけての決別のメッセージ。そして、迎えに行くという意味を込めていたのね。


「アンディ、でも、いつ邸に忍び込んだの?」


「ん?邸を訪れたのは、今日が初めてだよ。全て整えてから、迎えに行くと決めていたから」


アンディの言葉が本当ならば、辻褄があわない。では、離縁届けは誰が持って行ったの?


「だって、離縁届は……?」


「あぁ、そのことについては、詳しくは分からない。親切な誰かが、僕に報せてくれたんだ。離縁が成立したことや、色々とね。エリーへの……その……酷い仕打ちの事も……」


「っ!」


親切な誰かって、メリッサ様なのね。じゃあ、アンディは、知っているのね……。私が、襲われるように強引に純潔を奪われたことも……。


「アンディ、私……穢れている。あの頃とは……違う。あなたには知られたくなかった。早急に離縁が認められたから、白い結婚であったと、誤解してくれたらいいと思ってしまった。浅ましい考えを持ってたの……」


「エリー、そんな顔をしないで。エリーは、昔も今もこれからも、僕の大切なエリーに代わりない。僕の気持ちは、誰にも負けないつもりだよ。何発かお見舞いした気がするんだが、不思議なことに顔に全く傷がつかなかったんだよね」


「アンディ?もしかして旦那様と?」


「エリー、離縁したのだから、旦那様じゃない。あんな奴とは一切の関係はない。記憶に残す価値もない。もう、何も心配はいらないよ。これからは、ずっと一緒だから」


「オホン!あー、お取り込み中に失礼します。気のせいでなければ、

私には、旦那様が吸い込まれたように見えたのですが……。後ほどご説明いただければと思います。今は、ご遠慮致しますね。では、失礼致します」


いけない、マクスがいたのだったわ。

マクスの退室を確認すると、アンディと共に笑い合う。


「エリー、君に触れたい……」


アンディの空色の瞳が、徐々に欲情の灯火が灯り熱を帯びていく。


「アンディ……」


エリーは、アンディの頬の傷を、慈しむようにそっとなでる。


アンディは、エリーの手を取ると口づけを落とす。


「アンディ、ここでは、ちょっと……」


「エリーの部屋へ行こう。首に手をまわして」


「きゃぁ!アンディ」


アンディにより横抱きにされたエリーは、そのまま私室へと運ばれて行く。

急展開に思考が、追いつかないでいた。


「アンディ、待って」


「待たない、もう、待たない!」


恥ずかしがるエリーの手を軽く抑えると、アンディはエリーを組み敷く。


「エリー、ずっと、ずっと、会いたかった。まだ夢を見ているようだ。エリー愛している……もう誰にも渡さない!」


「アンディ……嬉しい。私も、ずっと想っていた……」


二人は、会えなかった日々を埋めるように、お互いの想いを確かめ合ったのだった。



◇◆◇


アンディとエリーは、結婚して2人で辺境の地を守って暮らした。


3人の子供に恵まれて、孫が生まれて、ひ孫が生まれて、賑やかになった。


2人が亡くなってからも、子供達の傍にはいつもマクスが見守っており、美味しい料理をビルが作り、平和な時が流れた。


100年経った時、メリッサは再び現れなかった。


100年ではまだ…クリフの教育が終わらないのだろうか?


あのオルゴールは、2人の子孫に今も大切に受け継がれている。




 ~fin~



















最後までお付き合いくださった方がいるか分かりませんが、ありがとうございました!

 ブクマや評価いただけますととっても嬉しいです!

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