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小学生達の夏休暇期待生活

「優く~~~ん!今日は夏らしく私を癒して~!」

「無理です。」

 この会社には、小学生でありながら夏休みを正しく認知しておらず、大人に混じって仕事をしている小人がいた。

「だから~。夏休み期間はクールビズ強化期間として、このオフィス用に改造した水着を…。」

「着ません!第一、その水着って女性物ですよね!?私、絶対に着ませんから!」

「ええ!?そ、そんな…。」

「…お前、どうして優がそんな水着を着てくれると思ったんだ?」

「まったくです!」

「あはは…。あ、橘先輩。この資料のここの部分なんですけど…。」

「ん?ああ、これはな…。」

 優は相変わらず、多くの大人に囲まれながらも、その力を会社のために思う存分奮っていた。

「ところで優君。さっきの電話だけど、そっちの私情用のスマホからかかってきたわよね?」

「ええ。それが何か?」

 私はスマホとタブレットをそれぞれ1つずつ所持している。タブレットは仕事からの電話だったりメールだったり、添付ファイルを開いたりと、仕事を効率よく進めるために使っている。一方スマホは、仕事以外のちょっとした調べごとや、ちょっとしたメールのやり取り等をするために用いている。ま、菊池先輩が言っていたように、タブレットは仕事、スマホは私情で使っている。ですが、仕事関係で電話してくる時は、ほとんど職場に電話がかかってくるし、デスクにはPCもあるので、タブレットを使う時は休日出勤の時や急ぎの仕事くらいだったと思う。それ以外ですと…ちょっとしたメモ帳代わりにも使えて便利です。

「誰からの電話だったの?」

「学校からですけど。」

 この瞬間、

「どう、なさりましたか?」

「え?急に菊池先輩と工藤先輩が固まった!?」

 菊池先輩と工藤先輩の動きが止まる。

「…優。手帳を開いて話をしていたようだが、何の話をしていたんだ?」

 工藤先輩は険しい顔で、私の顔を真正面で見ながら話しかけてくる。

「何でも、夏休みの自由研究のことで集まりたいから、来月の第一週の週末に学校に集合するように言われただけですけど…。」

 そう言った瞬間、二人の顔色が良くなっていく。

「そうか…。なら、いいんだ。」

「そうね。それくらいならいいかしら。」

「?…そうですか。ありがとうございます?」

「何故に疑問形?」

「分かりません。」

 ですが、お二人の顔色が少し良くなったようでよかったです。

「それじゃあ、午後もお仕事頑張りましょう!」

「そうね。全ては優君のために!」

「いや。そこは会社にしておけよ。」

「工藤先輩。この資料の確認、お願いします。」

「橘か。分かった。」

「あ、桐谷先輩は問題ないですか?」

「それでしたら、ちょうどここの部分の書き方が分からなくて…。」

「あ、ここはですね…。」

 こうして、お昼休憩が終わり、午後の仕事が始まる。


 一方、とあるテレビスタジオでは、

「…今日も平日に撮影させてごめんね。」

「別に構わないわ。今もこうして勉強時間も確保できているし、教えてもらっているし。問題ないわ。」

「そう。それじゃあそろそろ夕方だし、軽く夕飯を食べてから帰る?」

「…食事しながら今後のスケジュールについての対談、といったところかしら?」

「そうね。それじゃあ、ちょっと近辺の店を調べるから、ちょっと待っていてね。」

「ええ。」

 女子小学生モデル、潮田詩織とそのマネージャー、峰田不二子が撮影後のミーティングをしていた。内容は今日の夕食についてである。今日は比較的早く終わったため、用事を全部夕方までに消化することができ、この後、どこかで会食する予定をたてていた。そして、

「…さて、この問題集も解き終わったことだし、ちょっと時間が空いちゃったわね。」

 峰田が店を探している間、暇になった潮田は、

「…やることもないし、今後のスケジュールでも確認しようかしら?」

 時間を効率的に活用するため、スケジュールの確認を始めた。残り僅かとなった7月。もうそろそろ真夏の季節がやってこようとしている中、残り僅かな7月にもある予定があった。それは、

「そういえば、今週末空いているから、この日に予定を入れようかしら?」

 早乙女優との勉強会である。潮田は優と一緒に勉強するための時間を人知れず確保していたのだ。だが、肝心の本人にはまだ報告しておらず、今の今まで黙っていた。

「急に伝えたら断られそうだし、今の時間なら学校から帰ってきているだろうし…。」

 潮田は少し悩んだ後、

「よし。」

 潮田は電話をかけることを決意し、スマホのダイヤルボタンを押した。

 そして待つこと数秒。

「もしもし?」

「あ、私だけど。ちょっといい?」

「…?は、はい。どちら様でしょう?」

 早乙女は電話に出て、対応を始めた。

「潮田詩織よ。」

「そう、ですか。それでご用件とは?」

「…何よ。お久しぶりとか、その後どうしているとか聞かないの?」

「えっと…聞いた方がいいのですか?」

「…ま、別にいいけどさ。」

「はぁ。」

「ところで今週末、予定空いている?」

「今週末、ですか?」

「ええ。」

 潮田は自分の予定表を確認しながら伝える。

「ちょっと待っていてください。…ええ。空いていますよ。」

「そう。それならその日、私と一緒に勉強会しましょう。」

「…はい?」

「だから、私と勉強会をしましょう、と言っているのよ。」

 ちょっと不機嫌になりつつも、内心、楽しみにしていた。

 

 というのは、実は、一緒に誰かと勉強したことが無いからである。自分で勉強し、壁にぶち当たったら、自分で調べ、対策を練り、その都度超えてきたためである。そのため、誰かと一緒に勉強する必要がなかったからだ。だが今回のテストは、自分が習ってきた範囲とは他に、中学生で習うような問題もテスト範囲となっている。今回も自分一人で乗り越えるつもりだったが、色々と忙しかったため、時間が足りないのだ。なので、時間を効率的に活用するためにも、先月言っていた頼みごとをお願いしているのだ。といっても、初めて人と一緒に勉強する、という行為そのものにちょっとだけ憧れを抱いていたり、楽しみだったりする。


「はぁ…。でしたら、私より他の人を誘った方がいいのではないのでしょうか?」

「分かってないわね。私は、あなたが一番いいと思って誘っているのよ。」

「そうですか。分かりました。それで集合場所はどこですか?」

「そうね…。昼前の駅前、ということでいいかしら?」

「分かりました。それではその日にまたお会いしましょう。」

「ええ。勉強道具、ちゃんと持ってきなさいよ。」

「分かりました。」

 こうして、潮田と早乙女の通話が終わる。 

「店決まったわ…何しているの?」

「いや、ちょっとね。それより、今日はどんな店なの?」

「あ。それはね…。」

 そうして、峰田が知らないところで、潮田と早乙女の約束は確固たるものへと変化していった。


「…優君。また電話?」

「ええ。」

「今日はよくかかるな。同じ日に仕事以外の用件で2件もかかってくるなんてな。」

「そうですね。休日でしたら、菊池先輩か工藤先輩のどちらかですのに。」

「…ちなみに、菊池からどんなメールが送られてきているんだ?」

「大したものではありませんよ?ただちょっと、画像が送られてきたり、近況を報告してきたり。それぐらい、だと思いますね。」

「…どういった内容なのかは凄く気になるが、まぁいいか。」

「何よ?あんただって、大した用件じゃないでしょ。」

「まぁそうだな。今どうしているんだ~とか、電話かけて話をしたり聞いたり、部屋に入ったりもしたぐらいか。」

「あぁ~!?優君の部屋に勝手に入るなんて!なんて、なんて羨ましいことをしているの!?」

「ったくお前ってやつは。はぁ。」

「あははは…。」

「橘先輩。今日はありがとうございました。明日もよろしくお願いいたします。」

「おう。」

 こうして、早乙女優の予定が埋まりつつ、時は動き続ける。


 同日の夜。

(早乙女君と一緒に…えへへ♪)

 とある少女は夕飯を食べながらニヤニヤしていた。その少女の近くに座っていた大人二人は、

(夏休みが始まるから、ちょっと浮かれているのか?)

 と、誤った憶測を元に、温かい眼差しを送っていた。この大人二人は、その少女の笑顔を見て安心し、家族3人で温かい夕ご飯をとる。

「…何か、いいことでもあったのか?」

「うん!再来週の週末にね、みんなで自由研究の話をするの!それが楽しみで…!」

「そう?それならいいわ。」

「それより、今年も風間さんの娘さんと一緒に勉強会するのか?」

「うん。だから、来週はちょっと出かけることが多くなるかも。」

「そうか。しっかり勉強するんだぞ。」

「うん。お父さん、お母さん。」

 こうして、桜井綾は夏休みを人一倍楽しみにしていた。

次回予告

『小さな会社員と女子小学生モデルの勉強会生活』

 週末。優は潮田との約束を果たすため、午前中から社員寮を出て、待ち合わせの場へと向かう。そして優達は勉強会をある場所で始める。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか?

 感想、評価、ブックマーク等、よろしくお願いいたします。

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