↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/234

小学生達の自由研究案思考生活

 7月の第3週。

 学校では夏休み間近で、夏休みの予定についての話題で持ち切りであった。

 それは小学6年生も同じであった。

「綾。今年の夏休みはどうする?」

「う~ん…。今年も7月中に集まって、2人で一緒に宿題やろう。」

「そうね。」

 かくいう、風間洋子、桜井綾の2人も、夏休みを楽しみにしていた。そんな話題が学校中を飛び回る中、

「は~い。静かにしてくださ~い。授業を始めますよ。」

 担任、小野口春がクラスの生徒に声をかける。

「それでは今日、来週からある夏休みについてのお話をしますよ。」

「「「は~い。」」」

 こうして、小学生達の夏休みに関する注意喚起を、担任は行う。

 まず行ったのは、手紙の配布である。内容は、夏休みを送る上での注意事項はもちろんのこと、来年は中学生になるので、その心構えのことも書かれていた。毎年のことをいつも手紙として配られていたので、生徒は飽き飽きしていたが、来年から中学生になるという事実を告げられると、急にソワソワしだしていた。そして、みんなは夏休みを今か今かと待ち望んでいた。

 だが、それは、

「それでは、今年の自由研究は班ごとに行ってください。」

 担任の一言によって、

「「「…え?」」」

 急に静まりかえる。

「班は…、そうですね。修学旅行の時と同じ班にしましょうか?」

 その発言で、

「「「え~。」」」

 生徒全員の士気が下がる。だが、

「いいですか?必ず夏休み中に終わらせること。夏休みが終わったら、みんなの前で発表してもらいますからね。」

「「「・・・。」」」

「返事は?」

「「「…はい。」」」

 担任に口答えできるはずもなく、肩を落としながら返事をする。それを見て、

「はい、よくできました。それでは残りの時間は自由研究のための話し合いにします。机をくっつけて、話をしてください。」

 こうして、残りの時間でみんなは自由研究のことについて、話し合いを始める。


「さて、それでどうする?」

「どうする、と言われてもね…。」

「う~ん…。綾は何かいいアイデアある?」

「え?ごめん。特にいいアイデアはないかも。」

「そう…。」

「「「「・・・。」」」」

 こうして、優と修学旅行をしたメンツは再び話し合いを始めた。だが、話し合いは最初の二言三言で詰まってしまい、全員、どうしようかと考え、無音の時間が4人を包み込む。

「と、とにかく!この紙になんでもいいから書き込んでいって、そこから候補を絞り出そうぜ!」

 と、とある男の子が紙1枚と鉛筆1本を中央に置く。

「「「分かった。」」」

 3人はそのアイデアに賛同し、雑談のような話し合いが始まった。

 といっても、本当に雑談の延長戦のようなもので、

「ねぇ?今朝のニュース見た?」

「うん。なんか先週、ヨーロッパの方でちょっとしたテロ?みたいなことが起きたらしいって、お父さんとお母さんが言っていたよ。」

「それもあるけど、私はやっぱり、潮田詩織に関するニュースかな。」

「あ!やっぱりそれだよね!それ!」

「俺もそうだな。やっぱり気になったのは、」

「「「「潮田詩織の隣にいた女の子!!!!」」」」

「あの子って一体誰なのかしら?」

「ね。1月近くたっても何一つ正確な情報も入ってこないし、噂ばっかり飛んでいるよ。」

「確か、外国人とか、そもそも女の子じゃないとか、色々あったよね。」

「だな。」

 こうして、雑談をしていくうちに、紙は黒くなっていく。

 そして話し続けること十分。

「…こんなもの、かしらね?」

「できたの?」

「できた、けど…。」

「これ、本当に調べるの?無理じゃない?」

「潮田詩織と謎の女の子のプロフィールって…。」

 無理難題どころか、個人情報保護法に反するような研究内容になってしまっていた。

「それじゃあ、テレビ局のことについて調べる?」

「う~ん…。なんか、大ざっぱすぎないか?もうちょっと具体的に決めた方が…。」

「なら、テレビ局で働く人達に話を聞くとかいいんじゃない?」

「なら、それに決めましょう!」

「ちょっと待って。」

「え?」

「なんだよ。せっかく決まったのにケチつける気か?」

「別にそれでもいいけど、誰がテレビ局の人と話をするの?」

「…言い出しっぺ?」

「私は無理よ!こういう時は男子がやるべきじゃ…。」

「こういう時だけ男子に頼るとか辞めてくれよ!大体、どうやってテレビ局に入るつもりなんだ?」

「それは、誰かに許可をとって…。」

「誰かって誰?誰がやってくれるの?」

「「「・・・。」」」

「…別の案、考えましょうか?」

「「「はい…。」」」

 話し合いは遅々として進まず、それでも話合いを続行していく。


「…そういえばさ。お前の家って、ケーキ屋だよな?」

「え?う、うん。」

 ここで同じグループの女の子、神田真紀が肯定する。

 実は神田真紀の家はケーキ屋を経営している。日夜、ケーキを求めて多くの人が来店している。かくいうこのグループの面々もお世話になっている。

「ならさ。なんかいいアイデアない?」

「いいアイデアと言われても…。お父さんとお母さんがケーキ作っているし。私は普段レジにいるから。」

「そうなのか?」

「確かに。私が買いに行った時もレジにいたし。」

「私も。いつも美味しいケーキで誕生日会しているよ。」

「そう?いつも家をご利用いただきありがとうございます、なんて♪」

 ここで、風間はケーキ、と案を記す。

「風間。ケーキなんて書いたって、誰も作れないし、意味無いんじゃないか?」

「そんなことないわよ。一人、心当たりがあるし。」

「心当たり?…あ。」

「うん。そういうことよ、綾。」

「確かに、出来そうかも。」

「というより断言できるんじゃないかしら?」

「「???」」

 風間洋子と桜井綾の無音での意志疎通に戸惑う二人。

「あー…。その、訳を聞いてもいいか?」

「訳も何も、うちの班には後一人いるじゃない?それが答えよ。」

「「あ。」」

 ここで二人も気付く。

「うん。だから、今度聞いてみようかな?」

「そうね。一応あの子も同じ班だしね。」

「だな。」

「そうね。」

「それじゃあ、あの子に連絡しようか。」

「どうやって?」

「「「え?」」」

 桜井綾の問いかけに固まる3人。

「誰か、あいつの電話番号を知っている奴は?」

「「「・・・。」」」

「それじゃあ、家を知っている奴は?」

「「「・・・。」」」

「・・・。」

「「「「・・・。」」」」

 全員固まる。それもそうだ。全員、何一つ、あの少年との連絡手段を持っていなかったのだから。

「…そうよ!確か、連絡用として全員分の電話番号をメモした紙が…!」

「あれね。あのこのだけ無いのよ。」

「なんで…!?」

 言いながら桜井綾は気付く。何故電話番号が無いのかという理由に。

「そうよ。多分、先生が関係していると思うわ。」

 その風間洋子の発言に、

「ち。」

 男の子は舌打ちをし、

「「「・・・。」」」

 女の子達は下を俯き、握りこぶしに力を注ぎこむ。

「…それじゃあどうする?他の案にするか?」

「「「・・・。」」」

 男の子の発言に再び無音で返事を返す女の子達。

 だが、

「…保健室。」

 桜井綾はふと、ある少年が保健室登校していることを想い出す。それは、

「「「え???」」」

「そうだよ!保健室の先生なら…。」

「なるほど。あの先生なら知っているかもしれないわね。」

「それはありえるね。」

「だな。そうと考えれば、」

 ここで男の子は、

「後で先生に聞きに行こうぜ。」

 ニカっと笑い、言い返す。

「「「うん。」」」

 女の子達も同意見となり、みんなの意見が一致した。だが、自由研究で何をやるのか、まだ決まっていない。


 給食の時間が終わり、昼休みが始まった時、

「それじゃあ行くか。」

「「「うん。」」」

 一同は保健室に向かう。

「「「「失礼します。」」」」

「…あら?みんなそろって怪我したの?」

「いえ、その…。」

「?何か訳があるのね。いいわ、私が話を聞くわ。」

「はい。実は…。」

 4人は事情を説明した。

「…なるほど。自由研究をするため、連絡先を教えて欲しい、と。そんな感じかしら?」

「は、はい。」

「う~ん…。ちょっと困ったわね。個人情報を勝手に教えるのは…。」

 と、保健室の先生は顔を曇らせる。

「そ、そうなんですか…。」

「ま、先生の言う通りよね。」

「え~?」

「なんだよ。教えてくれねぇのかよ。」

 その様子にそれぞれ難しい顔を見せる。

「…そうね。なら、今ここで電話してみる?」

 先生からの思いがけない問いかけに、

「「「「え????」」」」

 数秒、顔が固まる。そして、一番に意識を取り戻したのは、

「い、いいんですか!?」

 桜井綾だった。

「別にいいわよ。ま、私のスマホでかけて、そのままあなた達に渡すなら、なんだけど。それでいいかしら?」

 そんな提案に4人は、

「「「「はい!!!!」」」」

 元気に返事した。

「それじゃ、電話をかけてみるわ。」

 先生はポケットからスマホを取り出し、電話をかける。

「…ところで、先生はなんで、電話番号を知っているのですか?」

「え?」

「そうね。私もちょっと聞いてみたいわ。」

「その子にだけ融通利かせている、とか?」

「それってずるくね?」

 各々の感想を述べていることに、先生は若干難色を示す。

「ずるいって…。あ、もしもし、早乙女君?」

 先生は電話に集中する。

「ごめんね。こんな時間に電話をかけて。用?え~っと…。」

 先生は4人を見る。4人は、

((((電話を貸して!!!!))))

 という意思を目で訴える。

「…とにかく、君の同級生達が、君に用があるらしいのよ。電話、代わるわね。」

 と、先生は桜井綾にスマホを渡す。桜井は大切な物を扱うかのように受け取り、恐る恐る耳の近くにあてる。

「…もしもし、早乙女君?」

 そして、桜井綾はその人、早乙女優に話しかける。

「あの。今度、自由研究の話をしたいのだけど。」

「「「「・・・。」」」」

 4人は固唾を飲んで見守る。

「…え?日にちと場所?え~っと…」

 ここで4人は気付く。具体的なことは何一つ決めていないのだと。桜井綾は目線で、(どう言えばいい?)と訴えかける。ここで見かねた風間洋子は、(電話貸して。)と、ジェスチャーする。桜井綾はその意思に従い、電話を渡す。

「もしもし?今綾から私に代わったわ。日時と場所についてなんだけど…。」

 チラッと3人を見てから、

「来月の8月第一週の週末、昼頃に学校に集合でいい?」

 この風間洋子の発言に、

「「「…え???」」」

 3人は困惑を隠せなかった。何せ、今まで話も、決めてもいなかった予定をペラペラと語ったからである。幸いにもその日、誰も予定が入っていなかった。

「…そう。ありがとう。それじゃあ2週間後に学校にね。」

 電話を切り、

「先生、ありがとうございました。」

「え?え、ええ。」

 風間からスマホを受け取る先生に対し、

「おい!勝手に予定決めやがって!」

「そうよ!その日、私達に予定があったらどうするつもりよ!?」

「それじゃあ、その日に予定がある人はいる?」

 その風間洋子の発言に、

「「「・・・。」」」

 三人は黙り込む。それは肯定を意味していた。

「ならいいじゃない?」

「…ま、いいけどさ。」

「私も洋子ちゃんの案に賛成だよ。」

「洋子はいつだって私達のことを考えて行動してくれるし。」

 女の子2人のよいしょもあり、男の子の鬱憤も晴れていった。

「これで早乙女君と話がついたわね。それじゃ、そろそろ昼休みも終わるころだし、次の授業の準備をしなさい。」

 先生の先生らしい発言に、

「「「「は~い。」」」」

 間が抜けているが、しっかりと返事を返す4人だった。

 こうして、小学生達の夏休みが始まろうとしていた。

次回予告

『小学生達の夏休暇期待生活』

 桜井綾達から電話をもらった時、優は仕事の最中であった。菊池と工藤は優の様子を気にするが、無害だと知り、一時期安堵する。だが、電話がかかってきたのは学校からだけではなく、ある子からも電話をもらうこととなる。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか?

 感想、評価、ブックマーク等、よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。