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お互い様

 王宮に辿り着き、グランド女王の部屋に行くと、グランド女王、キャス、アリエルの3人は起きて待っていた。


「遅くなって申し訳ないです」


 俺を見つめて何も言わずに溜息をついてくる。


「どうしたんですか女王まで、遅くなったのは申し訳ないですが、黙り込まれても困りますよ」

「なら言うよ、サハラ、君洗脳されているのわかってないでしょ?」

「何言ってるんだキャス、俺が洗脳? されてるはずないだろう。それよりもアリエル、洗脳されたフリしなきゃダメだろう」

「サハラさん、あたしね、次の長期休日が開けるまで休む事にしたの」

「なんなんだ? 俺の知らないところで話が勝手に決まっていってないか?」


 勝手なもんで、俺がいない間に話が決まっていっているようだった。しかもその内容を俺に話そうとしない為、余計に苛立ち、この場にいるのが嫌になってくる。


「なら女王、魔法をかけ直してください。そうしたらサッサと帰りますから」

「サハラさん……」

「なんだよアリエル」

「あたしの事、もう要らない?」

「は? 別に今そういう話はしていないだろ?」

「言って! あたしはもうサハラさんには必要なくなったの?」


 何訳のわからない事を言い出すんだと思いながらアリエルを見つめると、涙を流している。


「なんで泣いてんだよ」


 アリエルが左手の薬指にはまった真円の指環を掴んで引っ張ろうとする。


「サハラさん答えて!」

「バカ! 辞めろ! それ外したらどうなるか……」

「わかってるわ。わかってるから聞いているの」


 アリエルは真剣だ。今にも俺の答えによっては指環を外して、従属化の契約を破棄して死ぬ気のようだ。


「たかだかレグルスとリバーシをしただけで、なに死のうとしてんだよ!」

「そう……それがサハラさんの答えなのね」


 言うなり指環を一気に引っ張りだした為、高速移動でその手を押さつけて止める。


「なんで止めるのよ! あたしはもう要らないんでしょ! レグルスとリバーシでもしていればいいじゃない!」

「お前だって洗脳されていた時に、リバーシが楽しいだとか、レグルスは素直だとか言ってただ……ろ……」


 自分で言ってハッと手で口を塞ぐ。


「洗脳されて……いた時?」

「サハラ、気がついた?」

「あれ? 俺、え? 洗脳されて……いた?」

「どうやら洗脳が解けたようですね。ですがそれはアリエルさん同様まだ洗脳にかかりやすい状態のままよ」


 俺は知らず知らずのうちに洗脳され、レグルスとリバーシしか頭になくなっている状態になっていた。しかもアリエルが洗脳されていた時に俺がアリエルに言った時とまるで同じ様な状態になっていた。

 申し訳なさでアリエルを見れないでいるとグランド女王がアリエルと俺の手を取ってこう言ってきた。


「これで、お互い様ですね」

「あー、それが狙いだったからサハラ次第だって言ったんだぁ」


 驚く俺とアリエルを他所にグランド女王は次に移る策を口にしてきた。


「アリエルさん、貴女は先ほども言った様に次の長期休日まではここでお休みよ。それでサハラ様ですが、サハラ様には引き続き女体化して長期休日まで過ごしてください」

「そんなことしたらまたサハラさんが洗脳されちゃうわ!」

「ええ、可能性はあると思いますわ。ですからサハラ様が適任なんです」


 どういうことかと言うと、女体化している限り、どれだけ洗脳されていようと必ず魔法をかけ直す為に王宮に現れる。そこでアリエルがいれば洗脳は解け、リセットされながら凌げるというものだ。


「俺、なんだかきつい役割ですね」

「長期休日までの辛抱ですわ。それとサハラ様、サハラ様はここから朝になったら、アラスカさんのところまで移動して戻ってもらっても構いませんよ」

「それはどういう……」


 アリエルが顔を赤くしながら俺の腕を掴んできた。


「妬けちゃうなぁ。じゃあもう遅いから僕は寝るとするよ。じゃあね〜」


 言うなりキャスはテレポートして姿を消した。


「それでは私もお邪魔したら悪いわね」


 そう言って去ろうとする。


「ちょ! グランド女王! 俺、女体のまま……」

「ふふ、大丈夫ですよ、アリエルさんに教えておきましたから」


 そう言うと部屋を出て行ってしまった。

 アリエルと2人きりになるのはすごく久しぶりだが、罪悪感があってかアリエルをまともに見れない。


「アリエル……その、ゴメンな」

「うううん、あたしの方こそ……サハラさん以外の人を……受け入れちゃってゴメンなさい」


 お互い顔を合わせないまま、悪かったところを一つ一つ口にして謝りあっていく。それはまるでお互いの穢れを落としていく様だった。


「明日以降、また洗脳されていたら」

「あたしが救い出すよ。何度でも、何度だって」


 ここでやっとお互い顔を見合わせ、そっと口づけををした。


「サハラさん……」

「アリエル、すまないが俺、女体のままだから戻してほしいんだけど」


 そう言うとアリエルがニンマリと顔をさせ、そのまま抱きついてきた。


「出会いからやり直そ?」

「出会いって……待て! 待て待て待てー! 俺はあの時心は女だったけど今は違うんだぞ!」

「気にしない、気にしない。イチャイチャしよう?」

「や、やめろーやめてくれー!」



 チーン!


 犯されてしまった。


「もう、お嫁に行けない」

「あたしが貰ってあげるよ」


 お互い笑い合いながら抱き締め合い続けた。



続きはまた明日。


第1章は飛ばしていきます。

第2章既に書き進み中です。

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