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策の全貌

 翌日から長期休日が来るまでの間、俺は洗脳される事も多少あったが、アリエルのおかげでなんとか凌ぎきり、ついに長期休日が始める前夜になった。

 この日までにアリエルとは出会いから今まで過ごしてきた経過を追う様にお互いを確かめ合った。



「いよいよ明日が終わったら長期休日ですね」

「ええ、サハラ様、アリエルさん、よく頑張りましたね」

「どっちの事かなぁ?」


 キャスが余計な一言を言うと、アリエルが顔を真っ赤にさせて俯いてしまい、俺も言葉を失ってしまう。


「キャス様、どちらもですよ」


 この女王の返しにはキャスも乾いた笑いしか出なかった。しかし老いはここまで羞恥心を無くすものなのだろうか?




「それで後はどうするんでしたっけ?」


 さっさとこの話題を変えるためこの後どう行動するのか尋ねる。

 グランド女王がチェックメイトとですわとトドメの策を用意している様で微笑んだ。


「サハラ様、明日は間違いなくレグルスに誘われます。ですがご安心ください。明日は終了と同時に私の元へ来れますわ」


 ふふふと笑っていう。


「集まる場所は……罠を張っておきましたから、後は捕らえるだけで、その後はサハラ様ご自身の手で神殿まで連れて行ってください」

「何から何まで本当にお世話になりました。キャビンの血って本当に凄いんですね」


 キャビンの血、それは天才的な魔法能力はもちろんだが、それを遥かに上回る先を見通す能力のことだ。

 その昔、まだキャビン魔道王国が閉鎖国家であった頃から、難攻不落にして決して何者をも近づかせなかったのは、相手を1知れば瞬時に10を悟る力を持つためであった。


「残念ながらサハラ様には通用しなかった様ですけどね」

「え? どういう事?」


 アリエルが不思議そうに俺に聞いてくる。俺もなんの事かわからず首を振る。それを見てグランド女王は微笑みながらこう言った。


「私の、お父様にはならなかったですわね」

「あ……」


 その一言で思い出す。過去の大戦で俺がキャビン魔道王国に助けを求めに行った時の事を……



「それで、お礼の話ですけど……うちのエアロに子供を宿して貰えれば結構ですわ」




 は、め、ら、れ、た。


 グランド女王が考えていたのはレグルスの事だけではなく、しっかりこの国の事まで計算され尽くされた策だった。



 キャビン魔道王国、常に女性が王となり国を統治する。不思議と思わなかっただろうか? 今の今まで王という存在が出てこなかった事を。それもそのはずで、この国では子供を宿す相手は身分などは一切問わない。ただの種馬なのだ。ただし、しっかりとした恋仲の場合は権威は一切与えられないが、王宮暮らしが約束され、そうでない場合であっても多額の褒賞は貰えるらしい。

 そして今知る最初は女王の部屋だと思っていた、俺とアリエルが過ごしたこの部屋こそ、その為だけの部屋だった。



「これでアリエルさんも心苦しさが無くなりますわね」


 そしてトドメの一撃を入れられ、アリエルも撃沈する。


「待ってください、もし産まれてきた子が女の子じゃなかったらどうするんですか?」

「その時は魔法で女体化し永久化をかけてしまうので問題ありません。本人の自我もない頃ですからそのまま成長していきますわ」


 ……末恐ろしい国だと思った。



『アリエルどうしよう……』

『これはどうにもなりそうにないかも』

『嫌じゃ、ないのか?』

『嫌かと聞かれれば嫌よ。でも……これ以上は言わせないで……』

『割り切ってするよ……』

『うううん、それだとそれはそれでエアロ王女が可哀想だから、しっかり相手をしてあげて』

『……分かった』



 俺は引き受ける事にした。すると女王が嬉しそうな顔を見せながら上を見つめて口にする。


「お母様が成しえなかった事を私は成しましたわ。残念なのは私ではなかった事ですけど、それでもお母様を上回りましたわ!」



 俺は必要ない限り、2度とこの国の女王に関わらない様にしようと心に誓った。



「それでは成功の暁にはエアロをお願いいたしますね」

「そのエアロ王女が嫌がる可能性は無いんですか?」


 するとグランド女王は「入りなさい」と言い出す。まさかずっと部屋の外に立たせていたとでも言うのだろうか……


「失礼いたします」


 そう言って入ってきた女性は20代前半程のごくありふれた外見で、決して美人でもなければブサイクでも無い。グランド女王もその母親であるアテンダントもそうであったため、間違いなく血なのであろう。


「エアロ、こちらがサハラ様ですわ」


 そう言って一人一人紹介していき、それが終わると俺と子供を作る話になっていく。ここで嫌がってくれればと願うが、俺の僅かに残った希望もそこで潰えてしまった。



「光栄ですわ。ぜひ相手をお願いいたしたいと思いますサハラ様」


 逃げたい。




上の上を行くキャビンの血のお話になってしまいましたね。

後4話で長かった第1章終わります。

第2章からは少しのんびりと明るい? 雰囲気の学院生活のお話になると思います。

またタイトルのワールドガーディアンに関わるお話はもう少し後になります。


本日中にあと2〜3話または4話の第1章分更新出来ればしてしまいます。

第2章からは少しのんびり更新になるかもしれません。


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