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アンチ・ハロウィン  作者: 日雀青柚
第五章 犬の手を借りる
40/56

◆2

 真鵬は行きの電車の中でエンに渡された、ヨウの報告書のコピーに目を落とした。

 そこにはヨウが小耳に挟んだという『スリップ事故が多発する道路』についてヨウが知っている限りのことが達筆な字で書かれている。言動はがさつだが、字だけ見ると育ちのいいお坊ちゃまのようだ。


 報告書によると長野県に通ずるとある静かな国道のそばに、かぼちゃを名産品としているその地域では有名な町があるらしい。昔からかぼちゃを育てているその町は至って普通な田舎町で、特に異変などはなかった。また、国道そのものもなにか問題があるわけではなかった。


 そんな平和な地域だったが、ここ二週間ほどで状況は一変した。


 まずどういったわけか、よく道路に割れたかぼちゃが散乱するようになった。地元の有志が毎日回収しても翌日にはまたかぼちゃが散乱している。犯人もわからず、対策の打ちようがないためにキリがない。そしてかぼちゃの中身によって滑りやすくなった道路を走った車がスリップしてしまい、事故を起こす。そしてこの現象の副産物として散乱したかぼちゃを目的として鳥が集まるようになってしまい、フンなどに悩まされるようになってしまった。


 さらにほぼ時を同じくして夜になると人魂のようなものも目撃されるようになった。最初はひとつだったのが日が経つごとに増えていっているらしい。

 この人魂は最初こそ大人しかったものの、数が増えてくると人を襲うようになった。無意味に車を取り囲んだり、車の窓が開いていると石などを投げてくるという。

 最近では人魂に驚いたドライバーが動転して運転操作をミスしてしまい、国道に沿って生えている木にぶつかって死亡してしまった痛ましい事故も発生している。


 散乱するかぼちゃの量も段々とエスカレートしていき、いくら回収しても意味がない。最近ではもう誰もかぼちゃの掃除をしなくなったという。

 そして気味の悪い人魂のこともあってか今やこの国道は恐れられてしまい、みんな違う道を使うようになった。


 エンの読みでは時期的に考えても異界の門から出てきた人魂が漏れ出した邪気にさらに感化され、人に危害を加えるようになったのではないかということだった。しかしエンでもかぼちゃのことについては予想がいまいちつかないらしく、人魂がかぼちゃ畑からかぼちゃを持ってきているか、もしくは別の霊かなにかが存在し、その霊がかぼちゃを国道に散らかしているとしか言えないとのことだった。いずれにせよ動機が不明なのは間違いない。

 しかしこの話を聞いたからには無視するわけにもいかない。ことによってはさらに事態が悪化し、取り返しのつかないことになるかもしれないと考えたエンは、真鵬の力試しのためにもこの調査に乗り出した。


「エンさ……あー、えーっと、『阪下さかした』さん」

「なんだ」

「どうしてこの格好なんですか?聞き込み調査なら普通に町の人に聞いていけばいいじゃないですか」

「なんて名乗って聞くんだ?悪霊退治のために~なんて正直に言ったところで取り合ってくれないことが多い。不審者扱いされたりすることもあるしなあ。だから警察のふりをして聞くのが一番なのさ。みんな信用するだろ?」

「だからってこんなの……」

「なに、慣れれば楽しいもんよ」


 ちっとも悪びれないでいるエンに真鵬はこれ以上何も言わないことにした。体力と気力を無駄に消費するだけだ。こうなったら反抗するより腹を括ったほうが早い。


「にしても俺若すぎません?いくらなんでも子ども過ぎるんじゃ……」

「んー……ま、大丈夫だろ。これぐらいの見た目のやつもいるって」

「そうですかね」


 とにもかくにも子どもにしか見えない大倉和馬刑事になるのが一番の不安要素だが、堂々とするしかない。


 手始めにエンは問題の国道に最も近いこの町で手がかりを得るため、住民に聞き込みをしていくことにした。


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