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府雨の観察メモ

作者:府雨
最新エピソード掲載日:2026/10/11
「府雨の観察メモ」あらすじ

 二回、たくさん本を捨てた。

 一度目は、高校三年生の時。部屋にあったマンガ2000冊を一度に手放した。

 何度も読んだマンガたちに未練がなかったわけじゃない。でも、脳のメモリをいくらかでも空けなきゃいけなかったから。物理的に。だから売った。

 二度目は、その時まで残していたラノベとか小説を、浪人中に手放した。お金が欲しかったからなのだが、それは僕が躁で、単に売ったり買ったりしたかっただけの、残念な理由だった。

 僕はまた、この部屋にある本を手放すのだろうか。

 そう思うとなんとかして記録に残したくなった。

 特に浪人中に捨てた本には、思い入れがあったはずだった。マンガは、子供の頃から集めていて、筋を覚えているからまだ、そんな感傷はないのだけれど。

 和歌山の父親の元に東京から転がり込んで、本をタンスに入れるのを手伝ってもらった時「お前、結構読んでいるな」と言われたのに。それは幾分か誇らしかったのに。

 例えば模試の結果とか、その時はどうでもいいと思った「勲章」も、残しておけばよかった。

 何も背負わずに、連続性を捨てて、一から本棚を埋める。それは心機一転みたいな言葉になるのかもしれない。でも、ただ捨てただけのよう気もする。

 僕はあと数年でまた違う場所に移ると思う。その時にまた蔵書を吐き出すのだろうか。

 だとしたら、僕の部屋を、記憶ではなく、ここに記録することで過去(今においては現在)とつながる橋にするのもいい気がする。
第一葉
2026/10/11 09:19
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