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異世界一休さん  作者: 空守人者
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第五話 てるてる坊主と新しい家

 異世界へ来て、五日目。


 私は将軍様のお城の客室で、大きな問題に直面していた。


「……広すぎます」


 改めて部屋を見回す。


 寝台が一つ。


 机が一つ。


 椅子が四つ。


 大きな棚。


 窓は三つ。


 私一人が暮らすには、どう考えても広すぎる。


 しかも寝台は相変わらず柔らかい。


 昨夜も身体が沈み込み、どうにも落ち着かなかった。


 結局、毛布だけ床へ持っていき、そこで眠った。


 朝になって部屋へ来た使用人に見つかり、大騒ぎになった。


「一休殿!」


 どんどんどん!


 扉を叩く音。


「はい」


「入るぞ!」


 シンエモンさんだった。


 扉を開けるなり、床に敷いた毛布を見る。


「また床で寝たのか!」


「はい」


「寝台があるだろう!」


「柔らかすぎるのです」


「だからといって客人が床で寝るな! 城の者が『大将軍閣下が異界から来た子どもを床へ寝かせている』と噂し始めている!」


「将軍様も大変ですね」


「原因はお前だ!」


 朝から元気な人だ。


 私は僧衣を整えて立ち上がった。


「それで、今日は何のご用です?」


「大将軍閣下がお呼びだ」


「また難題ですか?」


「今日は違う」


「残念です」


「なぜ残念そうなのだ」


「退屈なので」


「お前は少し退屈することを覚えろ」


     ◇


 朝食の部屋へ行くと、将軍様はすでに食事を終えていた。


「来たか、一休」


「おはようございます、将軍様」


「うむ」


 将軍様は茶らしき飲み物を口にしながら、私をじっと見る。


「聞いたぞ」


「何をです?」


「また床で寝たそうだな」


「よく眠れました」


「そういう問題ではない!」


 やはり怒られた。


「一休」


 将軍様はため息をつく。


「そなた、いつまで城に住むつもりだ?」


「追い出されるのですか?」


「そうは言っておらぬ」


「では、ずっといても?」


「それも困る」


「難しいですね」


「客人として何日か置くのは構わぬ。だが、そなたにはこの国のことを学んでもらわねばならん」


 それは確かにそうだ。


 私はこの世界の文字すら、まだほとんど読めない。


 魔法のこと。


 国のこと。


 お金のこと。


 町の決まり。


 知らないことばかりである。


「それでな」


 将軍様が言った。


「そなたを預ける場所を決めた」


「預ける?」


「王都の外れに、聖堂付属の救護院がある」


「救護院」


「孤児や身寄りのない子どもを預かり、読み書きや計算を教えているところだ」


「なるほど」


「院長はガイアン・オルソという司祭だ。少々変わり者だが、人は信用できる」


「将軍様のお知り合いですか?」


「昔からな」


 将軍様が、少し嫌そうな顔をした。


「私が若い頃から、遠慮なく説教してくる男だ」


「それは会ってみたいですね」


「なぜ嬉しそうなのだ!」


 隣でシンエモンさんが小さく笑った。


「大将軍閣下を平気で叱れる者は、王都でもガイアン司祭くらいです」


「シン・ウェーモン」


「はい」


「余計な説明をするな」


「事実ですので」


 私は決めた。


 きっと、そのガイアンという人とは気が合う。


     ◇


 王都の中心から馬車でしばらく進むと、立派な建物が少なくなっていった。


 代わりに、小さな家や店が並び始める。


 子どもたちが道を走り。


 商人が大きな声で品物を売り。


 洗濯物が家と家の間へ渡された紐に吊るされている。


「こちらのほうが落ち着きますね」


 私は馬車の窓から外を眺めた。


「城よりか?」


 隣のシンエモンさんが聞く。


「はい」


「変わった子どもだ」


「城は静かすぎるのです」


「大将軍閣下の城を市場のように騒がしくするわけにはいかんだろう」


「それもそうですね」


 やがて馬車が止まった。


 目の前には、古びた石造りの建物があった。


 小さな礼拝堂。


 その横に、二階建ての大きな建物。


 さらに裏手には畑らしきものまで見える。


「ここだ」


「ずいぶん素朴ですね」


「城と比べるな」


 入口へ向かう。


 ところが。


「待って!」


 突然、女の子の声がした。


 振り向く。


 十歳くらいの少女が、両腕いっぱいに草の束を抱えて走ってきた。


 茶色い髪を後ろで一つに結び、薄緑色の服を着ている。


「そこ、踏まないで!」


「そこ?」


 私は足元を見る。


 何もない。


「右! 右!」


 言われたとおり右を見る。


 小さな芽が出ていた。


「あ」


「薬草なんだから!」


 少女は私の横まで来ると、しゃがみ込んで芽を確認した。


「よかった……折れてない」


「すみません」


「ちゃんと足元見て歩いてよね」


「はい」


 私は素直に頭を下げた。


 少女が顔を上げる。


 そして、私の姿を見た。


「……何、その服?」


「今日だけで二度目ですね」


「何が?」


「変わった服だと言われるのが」


「だって変だもん」


 ずいぶんはっきり言う子だ。


「お前はサヨだな」


 シンエモンさんが声をかける。


「あ、シン・ウェーモン様!」


 少女は慌てて立ち上がった。


「こんにちは!」


「ああ。その薬草はロッド殿からか?」


「うん。ガイアン先生に届けてって」


 そこで少女――サヨちゃんが、もう一度私を見る。


「この子、誰?」


「一休だ」


「イッキュウ?」


「よろしくお願いします」


 私は頭を下げた。


「サヨ・フローネ」


「では、サヨちゃんですね」


「なんでいきなりちゃん付けなの?」


「呼びやすいので」


「変な子」


「よく言われます」


「自覚あるんだ」


 なかなか手厳しい。


 けれど、嫌な感じはしなかった。


「サヨ」


 建物の中から、太い声が響いた。


「いつまで外で油を売っておる!」


「今行くー!」


 サヨちゃんが大声で返す。


 すると入口から、一人の老人が現れた。


 白髪。


 太い眉。


 丸い顔。


 腹も少し丸い。


 茶色い長衣を着ていて、袖を捲り上げている。


 偉い人というより、どこか近所のおじさんのような雰囲気だった。


「おお、シン・ウェーモン」


「ガイアン司祭」


 シンエモンさんが頭を下げる。


「例の子どもを連れてきました」


「例の?」


 老人が私を見る。


 じいっと。


 頭から足先まで。


「ほう」


「一休と申します」


 私は頭を下げた。


「ガイアン・オルソだ。この救護院を預かっておる」


「よろしくお願いします、和尚さん」


「……誰が和尚だ?」


「あなたです」


「私は司祭だ」


「でも和尚さんみたいなので」


「その和尚というものが何なのか知らん!」


「私のいたところで、こういう場所を預かっている偉いお坊さんです」


「私は坊さんでもない!」


 シンエモンさんが額を押さえた。


「一休殿」


「はい?」


「会って最初から勝手な名前をつけるな」


「シンエモンさんにも言われましたね」


「反省していないな?」


「していますよ」


「なら直せ!」


 ガイアンさん――いや、和尚さんは大きく息を吐いた。


「好きに呼べ」


「ありがとうございます、和尚さん」


「もう諦めた!」


 思ったとおり、話の分かる人だった。


     ◇


 救護院には、二十人ほどの子どもが暮らしていた。


 その中でも私と歳が近い四人を、和尚さんが紹介してくれた。


「シューネだ」


 最初に出てきたのは、十二歳の少年。


 金髪をきれいに整え、姿勢もよい。


「よろしく」


 口調は丁寧だった。


 ただし、私を見る目は少し厳しい。


「異界から来たというのは本当か?」


「そうみたいです」


「そうみたい?」


「私も呼ばれた側なので」


「魔力がないとも聞いた」


「はい」


 シューネは少し眉を上げた。


「魔力なしで、どうやって大将軍閣下の事件を解決したんだ?」


「考えました」


「それだけ?」


「はい」


「……ふうん」


 どうやら、あまり納得していないようだ。


「次、テサイル」


「おう!」


 大きな少年が前へ出た。


 十一歳。


 同じくらいの年齢なのに、私より頭一つ以上大きい。


「テサイルだ! よろしく!」


「よろしくお願いします」


「マンジュウっていう食べ物を作ったって本当か?」


 最初の質問がそれだった。


「本当ですよ」


「うまい?」


「とても」


「今度作って!」


「いいですよ」


「やった!」


 どうやら仲良くなれそうだ。


「モクネ」


 次は、小柄な少年だった。


 黒い髪。


 おとなしい顔。


 私をじっと見る。


「……モクネ」


「よろしくお願いします」


「……うん」


 それだけだった。


「ずいぶん静かな人ですね」


「必要なことしか喋らん」


 和尚さんが答える。


「最後、リッカ」


「一休!」


 突然、九歳くらいの男の子が飛びついてきた。


「うわっ」


「僕、聞いたよ! 絵の竜を倒したんでしょ!」


「倒してはいませんよ」


「魔法なしで!」


「だから倒していません」


「すげー!」


「聞いています?」


 どうやら、この子はあまり人の話を聞かないらしい。


 和尚さんが、ぽん、とリッカの頭を叩いた。


「まず挨拶せんか」


「いたっ! リッカ! よろしく!」


「はい、よろしく」


 ずいぶん賑やかになりそうだ。


     ◇


 その日の午後。


 私は救護院の庭で、サヨちゃんと一緒に洗濯物を干していた。


「なんで私まで……」


「住ませてもらうのですから、お手伝いくらいしないと」


「私は住んでないんだけど」


「サヨちゃんは?」


「今日は薬草届けに来ただけ!」


「では帰ればよいのでは?」


「……ガイアン先生に手伝えって言われたの」


「なるほど」


 二人で濡れた布を紐へ掛けていく。


 空は朝から曇っていた。


 黒い雲が、遠くから少しずつ近づいてくる。


「また降るかな」


 サヨちゃんが空を見上げる。


「雨ですか?」


「三日ずっと雨なんだよ」


「今日はまだ降っていませんね」


「でも夜からまた降るって」


 サヨちゃんが少し残念そうな顔をした。


「明日、お祭りなんだ」


「お祭り?」


「王都の春迎え祭り。町の広場でお菓子とか料理とかいっぱい出るの」


「お菓子」


「そこだけ反応した!」


「大切な情報です」


「でも雨だったら中止」


「それは困りましたね」


「でしょ!」


 サヨちゃんは大きくため息をついた。


 そこへリッカが走ってくる。


「一休!」


「何です?」


「雨止めて!」


「私が?」


「魔法は使えませんよ」


 シューネもやって来た。


「こいつ、魔力ゼロなんだぞ」


「でも頭いいんでしょ?」


 リッカは諦めない。


「頭がよくても、雨は止められません」


「じゃあ晴れにして!」


「同じことですよ」


「何とかしてよー!」


 困った。


 難題というものは、偉い人だけが出すわけではないらしい。


 私は空を見上げた。


 厚い雲。


 でも、西の空は少し明るい。


 風も朝とは変わっている。


「サヨちゃん」


「何?」


「明日の朝まで雨が降り続くと、誰が言ったのです?」


「町の天候魔術師」


「天候魔術師?」


「雲とか風を調べて、天気を予想する人」


「なるほど」


「昨日、『明日まで雨』って言ってた」


 私は少し考えた。


「では、雨が止まるようにお願いしてみますか」


「誰に?」


「お空に」


 皆が私を見る。


「一休」


 シューネが呆れた顔をした。


「祈ったくらいで天気は変わらないぞ」


「そうですね」


「なら何をするんだ?」


 私は干していた白い布を見る。


「和尚さん。この布、少し余っていますか?」


     ◇


「できました」


 私は白い布を丸めた。


 中へ綿のようなものを詰めて頭を作る。


 その下へ布を垂らす。


 紐で首の部分を結ぶ。


 小さな人形のようなものが完成した。


「何これ?」


 サヨちゃんが持ち上げる。


「坊主です」


「坊主?」


「私のいたところなら、こういう姿のお坊さんがいました」


「一休さんみたいに髪がないってこと?」


「そういうことです」


「名前は?」


 聞かれて。


 私は少し考えた。


 雨が上がり。


 空が明るく照ることを願う。


「てるてる坊主、とでも呼びましょうか」


「てるてる坊主?」


「はい」


 リッカが目を輝かせた。


「これを吊るせば晴れるの!?」


「晴れてほしいとお願いするものです」


「晴れる?」


「お願いするものです」


「だから晴れる?」


「そこは分かりません」


「何だよー!」


 リッカが頬を膨らませる。


 私は笑った。


「お願いと命令は違いますから」


 皆で白い布を使い、てるてる坊主を作った。


 シューネは最初、


「こんなの意味ないだろ」


 と言っていたくせに、気づけば一番きれいなものを作っている。


 テサイルのてるてる坊主は巨大だった。


 モクネは小さなものを三つ作った。


 リッカのものは顔が怖かった。


「なぜ牙があるのです?」


「強そうだから!」


「晴れをお願いするのに、空を脅すつもりですか?」


「そのほうが効く!」


 なるほど。


 子どもの発想というものは面白い。


 完成したてるてる坊主を、窓辺や軒下へ吊るしていく。


 最後にサヨちゃんが、自分で作った小さなてるてる坊主を軒下へ結んだ。


「明日、晴れるかな」


「どうでしょうね」


「一休さんは分からないの?」


「未来は見えませんから」


 私は空を見た。


 ただ。


 西の雲が薄くなっている。


 風向きも変わった。


 鳥たちも巣から出始めている。


「でも」


「でも?」


「お祭りには行けるかもしれませんね」


「本当!?」


「たぶん」


「たぶんかぁ」


 サヨちゃんは少し不満そうだった。


     ◇


 夜。


 予想どおり、雨が降った。


 屋根を叩く雨音を聞きながら、私は救護院の寝床へ横になった。


 今度の寝台は硬い。


「これはいいですね」


 非常に落ち着く。


 隣の寝台から、シューネが呆れた声を出す。


「城の寝台より、こっちがいいのか?」


「はい」


「変な奴」


「よく言われます」


「明日、本当に晴れると思う?」


「どうでしょう」


「分からないのに、あんなもの作らせたのか?」


 シューネが窓辺を見る。


 てるてる坊主が、暗闇の中で揺れている。


「晴れてほしいと思うのは、悪いことですか?」


「そういう話じゃない」


「晴れなかったら?」


「そのときは雨の祭りを楽しむ方法を考えましょう」


「……」


「天気は変えられません。でも、過ごし方なら変えられます」


 シューネはしばらく黙っていた。


「お前、変なこと言うな」


「それもよく言われます」


     ◇


 翌朝。


「一休ーっ!」


 大声で目を覚ました。


「晴れたーっ!」


 リッカだった。


「分かりましたから、上に乗らないでください」


 胸の上で跳ねている。


 私は身体を起こした。


 窓の外を見る。


 青空。


 昨夜までの雨が嘘のように、雲が切れている。


「本当に晴れた……」


 シューネが呟く。


「てるてる坊主すげー!」


 リッカが叫ぶ。


「一休すげー!」


「私は何もしていませんよ」


「でも晴れたじゃん!」


 外へ出ると、サヨちゃんも駆け込んできた。


「一休さん!」


「おはようございます」


「晴れたよ!」


「見れば分かります」


「てるてる坊主のおかげだ!」


 私は軒下を見る。


 白いてるてる坊主たちが、朝の風に揺れていた。


「本当にそうでしょうか?」


「え?」


 サヨちゃんが止まる。


「だって、作ったら晴れたじゃん」


「作らなくても晴れていたかもしれませんよ」


「でも……」


「昨日の夕方、西の空が明るくなっていました」


 私は空を指さした。


「風向きも変わっていましたし、鳥も飛び始めていました」


「鳥?」


「雨が長く続くときは、鳥たちはあまり遠くへ飛びません。でも昨日は餌を探しに出ていた」


「じゃあ、一休は晴れると思ってたの?」


「晴れるかもしれない、とは」


「なら言ってよ!」


「外れたら恥ずかしいでしょう」


「そこ!?」


 サヨちゃんが怒った。


 私はてるてる坊主を一つ手に取った。


「お願いすることは、悪いことではありませんよ」


「じゃあ、てるてる坊主は意味あるの?」


 リッカが聞く。


「あります」


「晴らす魔法?」


「違います」


 私は笑った。


「明日は晴れてほしいな、と皆で楽しみにできました」


「それだけ?」


「それだけでも十分でしょう?」


 サヨちゃんはしばらく、てるてる坊主を見ていた。


 やがて。


「うん」


 少し笑った。


     ◇


 春迎え祭りは、大変な賑わいだった。


 町の広場には、たくさんの屋台。


 肉。


 パン。


 果物。


 菓子。


「一休さん!」


 サヨちゃんが手を振る。


「早く!」


「待ってください」


 テサイルが私の横を走り抜ける。


「肉だー!」


「速いですね」


 シューネが呆れる。


「食べ物のことになると、あいつは魔法より速い」


「分かる気がします」


「お前も同類だろ」


 そのとき。


「一休殿!」


 後ろから聞き慣れた声。


 振り向く。


 シンエモンさんが、人混みをかき分けながらこちらへ来る。


「シンエモンさん」


「やっと見つけた」


「どうしたのです?」


「大将軍閣下からだ」


「また難題ですか?」


「その顔を輝かせるな!」


 シンエモンさんはため息をついた。


「王都の商人から訴えが出た」


「何があったのです?」


「売ったはずの馬が、翌朝になると必ず元の主人の家へ戻ってしまうらしい」


「賢い馬ですね」


「感心している場合か!」


「それで?」


「買った商人と売った男が、『金を返せ』『もう売ったから知らん』と揉めている」


「なるほど」


 私は祭りの屋台を見る。


 それからシンエモンさんを見る。


「今からですか?」


「ああ」


「お祭りは?」


「仕事だ」


「お菓子は?」


「後にしろ」


 私は少し考えた。


「シンエモンさん」


「何だ」


「一つだけ買ってからでは?」


「駄目だ」


「二つ」


「増やすな!」


「一つを半分ずつ」


「なぜ私まで食べることになっている!」


「嫌なのですか?」


「……何の菓子だ?」


 やはり甘い物が好きらしい。


 私は笑った。


「サヨちゃん」


「何?」


「行ってきます」


「また事件?」


「みたいです」


「一休さんって忙しいね」


「私もそう思います」


 異世界へ来て。


 新しい家ができた。


 新しい仲間もできた。


 そして。


 新しい難題も、向こうから勝手にやってくる。


 私は空を見上げた。


 雲一つない青空だった。


「今日もいい天気ですね」


「いいから行くぞ、一休殿!」


「はいはい、シンエモンさん」


「返事は一度!」


 どうやら。


 この世界での暮らしにも、少しずつ慣れていけそうだった。


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