第一巻を終えて【あとがき】
この度は『急募。あの、誰かこの勇者に勇者を教えてください。(依頼者:エスト)』をご拝読いただき、誠にありがとうございました。
ここまでの内容が、書籍一巻分相当に当たりますので、一区切りとしまして。
このページは、ここまでの内容を振り返るあとがきとなっています。
さて今回、私は初めて「エスト・ザラック」という女性キャラクターを主人公に置き、彼女の視点で物語を書く形式をとりました。
作者自身はどこにでもいる一般男性ですし、女性の心を一から十まで知り尽くしてるようなイケメンの恋愛達人でもありませんので、読者の方の中には、「女性っぽくないな」と違和感を覚えた方もいらっしゃったと思います。(大目に見てくださいね。泣)
女性視点で書くというと、つい「だわ」「わよ」口調のコテコテした語尾を付けてしまいがちになります。
創作のキャラ付けとしても、口調の多様性はとても重要だと思いますし、こうした口調を用いることで、読み手がより「フィクションをフィクションとして味わえる」ものだとも思います。
逆に言えば、リアリティを持たせたいのなら、フィクション要素を少しだけ削ってみて、現実の女性にも居そうだな、ありえそうだな、というキャラ付けくらいにしてあげると、物語の世界と、私達の現実世界の距離を近付けることができそうだなと感じました。
その結果、主人公のエストは、隣に立つリフジーに対して、心の中ではやや辛辣な物言いをしたり、コミカルなツッコミを入れたりと、多彩な感情を見せていくことになりました。
エストは、架空の国・アルカナンの中に栄えるルードン街で「勇者補佐官」という職業に就く二十代のうら若き女性です。
まだ多感な年齢なので、実際にはもう少しセクシャルなあれこれを考えていても良さそうなものですが、そこは少しだけ控えて書くことにしました。
私の過去作(特に、『友達の妹が、入浴してる。』)を読んでくださった方なら、私が意図的にこの手の流れを封じてることが、お察しいただけたかもしれません。
だって、業務上とはいえ、男性と女性が一つ屋根の下で同居ですよ……?
寝食共にするって、もうそれ絶対どこかであれこれしてんじゃないの? と脳内で真っピンクな妄想を繰り広げてしまっても仕方ないと思うのです。
でも勇者補佐官が、夜の補佐までするなんて予定は今のところないんです。(なんの話だ)
そういったご期待を持たれて読んでいただいた方には、少々心苦しい部分もあります。
ただ、今作はそれらとは異なった繋がり方を意識して書いているので、そっちの毛色も楽しんでいただけたらと思います。
相互理解。精神的繋がり。言い方は色々ですが、エストとリフジーが、お互いのことを少しずつ知っていく中で、徐々にその距離を縮めていけたら、たぶんその先にはまた違った充実感があると考えています。
身体もですが、精神の充実感も、とても大切ですよね。
私が女性視点で描くハッピーエンドは、精神的なハッピーエンドなのだと思います。
この作品の要所要所に、そうした精神的なハッピーエンドをご用意したつもりです。
ファンタジーの世界で、剣や魔法もあって、勇者もいて。それなのに魔王や魔物も倒さない変わり者達の物語ですが、読後に味わうものだけは普遍的なカタルシスであってほしいと願い、書き進めてきました。
ですので、今作のような物語がお気に召すようでしたら、ぜひまた、次回以降もお読みいただけると嬉しいです。
少し長くなってしまいましたが、あとがきは以上となります。
また読者の皆様と、この物語の次回作でお会いできることを祈って、巻末とさせていただきます。
ここまでお読みくださり、誠にありがとうございました。




