第1話 ニュースと転職
『速報です、派遣会社【カブトムシ太郎】福利厚生を不正していたとのことです』
ショート動画メインのMVOというアプリを開くと地上波放送をしているテレビ局のショートニュースが流れてきた。
僕は気になってMVOの検索タブでカブトムシ太郎をいろいろ調べ、ブラウザや生成AIでも調べた。
不安で1時間も寝れなかったのは事実である。
「世間を騒がせていることは事実をここに謝罪申し上げます」
僕の勤めている会社はさきほどの不正が発覚した会社だ。全派遣社員並びにグループ会社社員の福利厚生の不正が発覚して派遣業の業務停止命令が出ている。他にも様々な処分が出ている。
実際派遣されていた人たちは本社に集められてデスクが足らない。
「伊藤くんは後で相談室へ来てほしい」
朝礼はそれで終わり各々業務についた。僕は何かしたのだろうか?
相談室にドキドキしながら向かっていた。
『伊藤、しっかり毅然と挑むんだぞ』『伊藤なら社長にだって言いたいことは言えるよ』
僕はカブトムシ太郎の事務職で障害者雇用でかなり配慮してもらって6年間中途採用で働いていた。
それはそうと僕はSNS依存と自負するほどSNSが好きだ。
仕事中以外はSNSを見ている。
文字主体のZ、画像メインのIMIO、動画主体のMVOなどそれらを開いては閉じてをしている。
ひどい時はご飯すら食べない。
この間の報道以降どのSNSを見てもカブトムシ太郎のことでは、『弱いものから切られていくが、派遣されていた人は後回しだな』と書かれていた。
その情報が正しいならばきっと僕から解雇だ。
コンコンコンと3回ノックをして相談室に入った。
「はいってくれ」
社長の悲しそうな声がする。
「伊藤くん、話は想像つきますか?」
「えぇ、まぁ」
「申し訳ない、キミにはここで6年も頑張ってもらったのに……」
「やはり解雇ということですね」
「あぁ」
この6年間のいろいろな思い出が振り返ってきた。いわゆるフラッシュバックだ。
知ってる、これは症状だ。厄介なことに不安や嫌なことばかりだ。だいたい自分のミスのせいなので決してカブトムシ太郎は悪くない。
僕は発達障害を中学生の頃に診断されて今に至る。
「頓服があるのなら飲もう、それで落ち着いた後きちんと順を追って話す」
失礼しました。
言葉を発したはずだが、そこには何も音はなく僕はただただ闇に落ちていくのがわかる。
僕の意識はここで明確に途絶えた。
気付いたときは僕は家にいた。社長から解雇宣告の予告のようなものはあった。
ただ、その後、不安になりつつフラッシュバックしたのは覚えている。
どこかその後に僕が厨二病のような発言を繰り返した記憶もあったりなかったりしている。
その後、様々な転職機関を使ってすぐに転職ができた。幸いなことに有給が残っていたので退職勧告以降は全日有給消化だった。
「さて、ここからが僕の労働人生第2が始まる」
第2話 転職し健康保険なく医療へ




