間話: 神託の代償
「巫女様、どの土地に種子を蒔いたらいいでしょうか」
「巫女様、明日は晴れますか」
「巫女様、敵にいつ攻撃を仕掛けますか」
コハナの元には、次々と神託を求める人が押しかけてくる。
「巫女様、息子の病気は治りますか?お願いします!神託を下さい!!」
時には、涙を流しながら縋り付く人もいた。
コハナは辟易していた。
「巫女様が、笑ったぞ。これは吉とみた!皆、喜べ!」
「巫女様が、泣いている。これは凶だ、対策を!巫女様、何をすればいいですか?」
表情一つで、周りの反応が変わる。
コハナから、表情を奪っていく。
『お前が争いを無くすなら、残るのはお前一人』
祖母から譲り受けた、銀の腕輪には、戒めの言葉が刻まれている。
刻印をそっと撫でるコハナは、無表情だ。
(逃げたい)
神託の巫女の住処には、湖にある。
湖の女神、ディスティーヌは無表情にコハナを見つめ、何も言わない。
(逃げたい)
湖の端にある石碑をコハナは眺めた。
石碑には、腕輪と同じ刻印がしてある。
(……このまま、私はずっと一人……)
湖の中で禊をするコハナに、未来の映像が流れてきた。
鏡のような湖には、満天の星が映し出されている。
白銀の美しい女神は、どこかディスティーヌと似ている。
崖上小屋。
多くの妖精。
そしてーー
魂の選択を抱えた、若い女性。
気付けば、コハナは走り出していた。
「間話: 鏡湖にて」の前の話になります。
完結に向けてラストスパートです。
完結に向け、⭐︎を頂けると、嬉しいです。




